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「おかさんは何をしている人ですか?」という質問に完璧に答えるのは難しいのでこれを読んでください。

「おかさんは何をしている人ですか?」という質問にいつもうまく答えられない。「学校の運営をやっています。でも教員じゃないです。」と言うと、「ファウンダー?」と聞かれることがある。うっふっふ、違います。

肩書としては、Loohcs(ルークス)高等学院の事務局長と教育コンサルタントである。しかし、他校の事務局長はおそらくこんなにドップリ現場に入っていないと思う。学生と一緒にチャリ旅に出かけたり、「無人島に行きたい」という学生たちとの野外活動に備えて野外救急法の国際資格まで取りに行く。事務局長という肩書は、私の仕事を説明するには不十分だ。

いつも曖昧にしか説明できないので、一度自分の仕事をちゃんと書いてみることにした。

運営事務局の統括

運営事務局の仕事は、幅広い。入学書類の作成、手続き、問い合わせ対応、各種手配、予算管理、備品発注、保護者の方とのやりとり、通信制高校とのやりとり・提出物管理、出席管理、大学出願書類の準備。
もちろん前年度の資料などはない新規校なので、入学書類および各文書作成など全てが一からである。開校前に学校印を作ろうとした時なんか、「学校印には何という文字が彫られてるんだろう?」とそこからである。もちろんググっても出てこない。仲良しの某0高に聞いてみたところ、「うちは学校印作ってない。作った方がいいかな?」という回答が返ってきた。結局ほかの学校の文書に押してある印鑑を解析して文字を決めた。もう手探りもいいところである。
(そしてこの折角作った校長の印だが、なんと組織の再編成を行う段階で「校長」という役職が消滅した。本学組織の中で長とつくのは、「理事長」「学長」「事務局長」だけだ。)

「事務局長」と言いながら、実際は事務局の構成員が私だけという時期もあった。最近では事務局を一緒にやってくれる仲間ができたのでとても助かっている。

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本校の発信は今年に入ってようやく本格的に出来るようになって来た。
今は何よりもこの最高な学校の中身を知っていただく事が急務なので、記事作成とSNSでの発信がメインだ。その他ウェブサイト改修、DTP作成、取材対応、イベントの企画・告知・運営、外部イベントへの出展等。

オープンキャンパスの企画・運営を学生が担ってくれている。最近では入学相談会の学校説明はほとんど学生にまかせている。昨年度最後の会では、写真撮影まで学生が行ってくれたので本当にやることがなかった。ミーティングの議事録には「お菓子係ーおかちゃん」と書かれていた。お菓子係とは、お菓子を買ってくる係。最初は広報部に労いの意味を込めて買っていたのだが、参加者に配ることで会話のきっかけが生まれたり、緊張を解きほぐすことに一役買うので、無くてはならない係になった。

学生たち自身が「自分の学校」という意識を強く持って、「もっとルークスのことを知ってほしい、伝えたい」と行動してくれるのがとても嬉しい。

カリキュラム設計と外部との調整

・特別講師アサイン
ルークスでは毎月最低でも2人、社会で活躍する第一線の方を特別講師としてお招きしている。月間のテーマにあわせた特別講師の方を選定し、来ていただけるように交渉する。

・アクティビティの設計
週に1時間のアクティビティの内容設計。アクティビティとは、原体験を育む時間で、体を動かす、自然に触れる、現場に赴く、様々な方の話を聞く、の4つのテーマに沿って内容を決める。例えば体育。ルークスの校庭といわれる代々木公園に行ったり体育館を借りたり。社会科見学では江戸博物館や浅草など東京に住んでいるからこそ行かないような場所に行ったりした。

・外部との調整
企業との共同プロジェクトの調整、地域とのコラボ企画など、学校と外部を繋ぐ糸口を探す。学生がおもしろい体験をできるように、とにかくいろいろな方をルークスに巻き込んでしまおうという活動を密かに行っている。

学校の先生的な役割

授業は持っていないが、職員室もない学校なので、常に学生の近くにいる。出社する日はなるべく1番に学校に行って、「おはよう〜」と学生を迎え、他愛もない話をしながら始業を待つ。時々授業のサポートに入ったり、マイプロのアドバイスをしたり、一緒に何か企画したり。校外学習の引率、行事の取り仕切り。学生たちが何か困ったことがあったらいつでも話せるような距離にいることを心掛けている。

学生たちと話していると、自分の仕事が後回しになってしまうことも多いが、やっぱり現場が1番好きだ。学生たちはおもしろいし、愛おしい。

逆に「おかちゃん大変そうだから手伝ってあげる」と学生が手伝ってくれることも他の学校ではあまり無いことかもしれない。

教育コンサルタント

今年最も比率が高くなるのは、この仕事だ。他校のカリキュラム構築、授業設計、先生の業務改善、学校の魅力化など、様々なことに携わらせていただいている。

「学校を変えたい」「教育を変えたい」その想いを持っている人は多いし、行政も様々な改革を試みている。一方でその「やり方」が分からない人が多い印象がある。せっかくの想いや投資が、結果に結びつかなかったり、誰かの負担を増やしてしまうことになってはもったいない。

私がコンサルに懸ける思いは「現場の先生を幸せにする」ということに尽きる。
留学していたアメリカのハイテックハイ最大の魅力は、『先生が生き生きと楽しく働いている』ことだった。ジョン先生いわく、「学校組織は、困った時に助けてくれる存在。基本的には自分たちに裁量をくれて、応援してくれる存在」だそうだ。
先生たちの心理的安全性が確保されているからこそ、クリエティブな授業を生み出せる。「クリエイティブな目が輝いている学生」を育てたいのなら、まず、先生をそうさせる環境が必要だ。そういう先生の姿を見ていたら、生徒にとって教師が憧れの職業になるのではないだろうか。先生が幸せであれば、学生が幸せになり、それは学校そのものが良くなることだ。

ルークス高等学院は、ある意味で実験的な場所である。常に最先端の教育論文や海外の事例を参考に、授業や手法をつくる。学生の反応や成長度合いによって、柔軟に変化し続ける学校だ。絶対の指針として、必ず学生を成長させるという完全成果型の学校でもある。
私たちが日々研究し実践していることが、他の教育現場でも役立つと感じるものがたくさんある。それを必要な所へどんどん届けて行きたい。

日本全国をフラフラして、たまにお土産を持って帰ってくる存在でありたい。だから私の今年の目標は、寅さんです。





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