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不確定旅日記02

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台北は二度目。都会だし、歩いている人の感じもさほど日本と変わらない。街路樹が太く、うねうねした枝が垂れ下がっているので南なのだなと思うが雨が降っていて寒い。

ホテルは通りに面したビルにフロントのカウンターだけがあり、通りに出てからバスターミナルの建物に一旦入り、細い通用口を通って宿泊する建物に案内されると素っ気ない応接セットのある狭いロビーに、影のような管理人が座っている。エレベーターホールにはゴミの分別法の張り紙があるので住んでいる人もいるようだ。カードキーをかざすと、泊まっている部屋のある階にだけ行く事ができるのらしい。

ドアノブにキーをかざしてもうまく扉が開かず、チャイムを押すと部屋で書き物の仕事をしていたAさんが開けてくれた。「どうぞよろしく」と簡単な挨拶。
部屋は天井が高く、小さな台所とベランダには洗濯機もついている。荷物を置いて小さな鞄に必要なものを詰め、出かける少し前に餅に気付いて立って食べる。芋のような薄甘い餡が入ってきな粉がかかっている。「タロイモですかねえ」とか言いながら、口一杯の大きさで飲み込むのに苦労する。

初日はみんなで食事をするらしい。店に向かう前に蒸し餃子を食べに行く。狭い通路の端に張り付くように並び空席を待つ。「ちょっとだけ食べてすぐ席を立つのはそういう文化だから失礼ではないらしいよ」。大きな蒸籠が積み上がっては運ばれていく。食事前の食事はとてもおいしかった。会食は立派な店で大きな円卓を囲む。16人だったか。料理が出る度に皆で写真を撮る。ナス炒めに入っている葉っぱの正体がわからないが強く爽やかでおいしい。他にも角煮や蟹のおこわなど。そのあと何組かに分かれてまた何か食べに向かう。4人ほどでおつまみが美味しいという居酒屋へ。お洒落な店。モツなどを煮て冷やしたようなのが美味しかったがだいぶ満腹で悔しい。檳榔の花のサラダが珍しく、少しスリリングで楽しい。檳榔の実は噛みタバコのような嗜好品だが台北の街中では禁止らしい。

人についてきたのと方向感覚が希薄なので、自分が今どこに居るのかまったくわからない。東京でも、家から遠い場所で酒を飲むと不安になるのに。大通りでタクシーを探す。夜のアスファルトが雨で余計黒く、信号を反射してきれいだった。

まだまだ続く


そんな奇特な