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セールスフォースの株価:努力と期待値、評価の関係性についての学び

最近、Salesforceというソフトウェアサービスを展開する大手事業者について「業績が良いのに株価が下がる」事案が発生し、話題になっています。このニュースに違和感を感じられた方も少なくないようですが、これに際しては、私たちの手元にもある日々の「努力と、周囲の期待値や評価の関係性」の視点に、本件の納得にも繋がる作用があるかと私は考えます。

上記をもとにこの度は、この出来事をもとに、私たちの学びとなる視点について考慮します。

Salesforceの業績

Salesforceは、企業が顧客情報を管理するためのソフトウェアを提供する大手企業です。最近の決算発表によると、2024年2月から4月までの売上高は前年同期比で11%増の91億3000万ドルに達しました。さらに、同社は5月から7月期の売上高が最大8%増の92億5000万ドルになるとの見通しを発表していました。

株価下落の原因

しかしこの度、株価は大幅に下落しました。その主な理由は、セールスフォースが発表した5月から7月期の売上高見通しが「市場の期待を下回ったから」です。その見通しが市場の期待には届かなかったために、投資家は期待が裏切られたと感じ、株価は時間外取引で一時約16%の下落を記録しました。
※ブルームバーグのデータによると、アナリスト予想の平均は93億5000万ドル。また一部項目を除いた1株利益は約2.35ドルの見通しで、アナリスト予想の2.40ドルを下回りました

日常生活の視点への適用

この状況のイメージを得るために、私たちの日常生活に当てはめて考慮します。

評判の良いレストランの、新メニューの発表

日頃から近所でも評価の高い人気レストランが、新メニューを発表しました。そのレストランはこれまでに素晴らしい料理を提供してきたので、そのニュースは世間的にも話題になり、新メニューへの期待値から(ex.アナリストの予測も追い風に)、通常時よりもさらに予約が取り辛いような期待を集めました。

顧客の感想と評価

レストランは、新メニューの公開日を迎えました。新しい料理はたしかに美味しく、お客様にも好評でしたが、過熱した期待値を持つお客様に際しては「これまでにない驚き」や「特別な体験」の提供には及ばず、顧客への感動体験の提供には繋がりませんでした。
提供された料理の品質は高く、非常に美味しいものだったのですが「この店の新メニューなら、きっと特別な感動を得られるに違いない」との消費者の抱いた期待値の高まりをもとに、「期待していた程ではなかった」との評価となり、レストランの評価は一時的に下がることになりました。

努力と期待値、評価の関係性

Salesforceの業績を見れば、その企業努力は明らかです。売上高は増加し、黒字転換を果たし、初の配当を実施するなど、今年に入ってからも多くの成果を上げています。しかしこの度は「市場(投資家)の期待がそれ以上に高かった」ために、その期待に完全に応えることはできなかったという訳です。

期待と評価は異なることがある

この度のSalesforceの株価の動きから得られる学びは、個人の成長や評価においても、非常に重要な示唆を与えてくれます。
Salesforceの場合、自社の予測値に対しては成果を出しましたが、市場の期待に届かなかったことで、株価(市場の評価)は下がりました。これと同じように、私たちの日常生活でも、手元にある努力や成果が、周囲の期待や評価と一致しないといった事象は起こり得ます。

例えば、私たちが一所懸命にプロジェクトに取り組んで、充分な成果をあげましたが、上司や経営層の期待値がさらに高いものであった為に、社内判断としては、努力や成果が期待に届かなかったと感じられてしまう可能性があります。その結果、プロジェクト自体の達成に反して、思うような評価を得られない場合が考えられます。

一喜一憂せずに成果にこだわる

公言した予算計画の達成は、本来胸を張れる事象である筈ですが、そこに評価が伴わない場合、心理的な働きとして不安を感じられる可能性があります。但し、一時的な評価が期待通りではなくても、一喜一憂せずに自分の手元にあるプロジェクトと、その成果にこだわり続けることが重要です。この度のSalesforceについて発生した事象もその良い例で、市場の反応に一喜一憂せず、長期的な成長を目指して努力を続けることが重要との視点を提供しています。

まとめ

Salesforceの企業努力と、社会(投資家)の評価に関するこの度の事象は、私たちに、持続的な努力と成長の重要性を見直す機会を提供しています。投資家の評価における株価の下落はありましたが、Salesforceは、公言した予測を上回る実績を積み重ねており、継続的な成長を続けています。私たちも同様に、短期的な他者や環境の評価にとらわれず、持続的に努力し続けることが重要です。

身近な例としては、新しいスキルや資格を身につけるために一所懸命に勉強する時、結果として受験する試験で期待していた評価(例えば、合格点)を得られなかった場合でも、自身の成長に目を向け、学び続ける視点を持つことが重要です。評価(合格)は一時的なものですが、そもそもの目標は、今の取り組みや学びの積み重ねを経た、その先の未来にある筈です。取り組みを継続することで、徐々に目標に近づいていき、結果として取り組みの評価も獲得します。

問題解決に際した視点と同様に、評価は、自分以外の他者や環境の判断であるので、それを操作(解決)することはできません。大切なのは、他者や環境の評価に一喜一憂せずに、自分の努力と成果に誇りを持ち続けることです。一時的な評価が思い通りでなくても、長期的な視点を保ち、努力がその影響を受けない私たちでありますように。❀

努力と期待値、評価の関係性

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