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同志に砂糖を送ろう!【 創作大賞2023 イラストストーリー部門】の作品に感想を送る会
どうもこんにちは。
他人のnoteを褒めることに定評がある(自称)おかゆです。
2年前に開催した「スキなnoteに惜しみない愛を。」ぶりに、他人のnoteに勝手に愛を注ぐ会を開催します。(この2年何してたんだ)
今回は、ずばり「創作大賞2023 イラストストーリー部門」の作品を取り上げます。なぜなら、私がこのカテゴリに応募したから!
イラストストーリー部門の応募条件は、1つのお題イラストから自由に物語を膨らませよ、ただしお題のイラストが作中のどこかに登場すること、というもの。
私はこの2人を主人公にして所謂「学園モノ」を書きました。でも、作者によっては全然異なる物語で、名前も性格も違う2人が活躍するってコト・・・!?
・・・おもしれーお題じゃねぇか。
ということで、早速行ってみよう!
(※本記事で取り上げるのは、「#創作大賞2023」と「#イラストストーリー部門」ハッシュタグが付いた作品です。)
1.「麗しの、るなっぴぃ。」全3話 / わき あんずさん
高校生で手芸部員の知花は、大人気アニメ『リリウムキス』が大好き。
ヲタ活帰りにコスプレ道具専門店で『リリウムキス』の衣装を見つけ、つい癖で生地や作りを観察していると、同級生の月野君に声を掛けられた。知花は憧れの月野君と偶然会って慌ててしまうが、月野君から「実はコスプレが趣味で、『リリウムキス』も大好き」と告白される。
私なりに冒頭部分のあらすじをまとめてみました。わきあんずさんの書いたあらすじおよび本編は、ぜひリンクでご覧ください。
イラストのシーンがどのように登場するのかが鍵となりますが、なんとあの2人はアニメの登場人物!
なるほど。私には全く思いつかなかった・・・。
「麗しの、るなっぴぃ。」で面白いと思ったのは、主人公が衣装の知識が豊富で、生地感や作りにすごくこだわるところ。
例えば、知花が月野君と『リリウムキス』のあるシーンをコスプレで撮影することになり、「魅寿」(制服を着ている方)の衣装で使う生地を探しに来たこの場面。
さて、セーラーカラーとは制服の後ろに付いているⅤネックの大きな四角い襟のことを指す。
また、セーラーカラーの形は地域によって大体の傾向がある。
関東襟、札幌襟、関西襟、名古屋襟、それ以外のどれにも属さない変形型。魅寿が着用しているセーラーカラーは関東襟と呼ばれる、襟が肩幅より小さく形状は曲線、切込みは胸より上で止まっているもので、ぐるっと1周するように白い細い3本のラインが走っている。
そうなんだ~!あれって「関東襟」なんですね。今日の今日まで知りませんでした。
生地の選び方、衣装作りへのこだわり、そして最後にそれを着て撮影する時の気持ち。
私はコスプレの世界や衣装作りの世界をほとんど知らないので、知花や月野君を通して新しい扉を開けたような気持ちになりました。
月野君に対する知花の憧れや、月野君の葛藤も同時に描かれています。
まだそんなに本数読んでないけど、イラストストーリー部門の中で一番甘酸っぱいのでは?きゃー!!
知花と月野君の行く末は、ぜひ「麗しの、るなっぴぃ。」で☆
2.「連載を止めるな」/ 謎野新人さん
念願叶って大人気漫画Jに連載が決まった「先生」だったが、巻頭のカラーイラストが「性的だ」「過激だ」「青少年に悪影響がある」と炎上してしまう。担当編集者のTから「差し止め」の可能性を示唆され、先生はTと今後の対応を話し合う。
私なりに冒頭部分のあらすじをまとめてみました。謎野新人さんの書いたあらすじおよび本編は、ぜひリンクでご覧ください。
電車の中で読むとヤバい。
何気なく読んでいたら爆笑ポイントが急に来て、10分以上吹き出しそうになるのを咳払いで誤魔化すハメになった。
お題イラストのシーンは、実はその炎上したカラーイラストとして登場。作中の漫画の第二話以降の展開が話し合われる中で、担当編集Tの発言で爆笑しました。
「そうそう、Jを読むのは青少年ですので、リサにはそういった年代特有の、何か悩みを持たせるものいいでしょう。読者の共感を得られる様な……5秒に1回目玉が飛び出すとか」
「ん、んん?」
やべー悩みだ。病院に行った方がいい。
どうしたらこんなに面白い悩み思いつくんだろ?
それとも、私が少年漫画をあまり読まずに育ってしまっただけで、少年漫画では「5秒に1回目玉が飛び出す」のはよくある悩みなのか?
実はこの「連載を止めるな」は、地の文がなく、ほとんどが先生と担当編集Tの会話です。
最初はどんな感じなんだろう?って思いながら読み進めましたが、2人の会話が面白すぎて地の文なんていらないです。
他にもめちゃくちゃ面白いポイントがあるので、是非「連載を止めるな」で爆笑しましょう!
3.「メリーメリー・ドロップアウト」 / 夏緒冬弦さん
神崎翔子は、とある女子中学校で働く養護教諭。怪我や相談事を抱えて保健室にやって来る生徒に真摯に向き合い、生徒からも信頼を寄せられていた。そんなある日、「山田夜夢」と名乗る1人の女子生徒が転校してきた。彼女の名前、格好、話し方、そして考え方―その姿は、10年前に翔子がネット世界で名乗り、活躍していた「山田夜夢」そのものだった。
私なりに冒頭部分のあらすじをまとめてみました。夏緒冬弦さんの書いたあらすじおよび本編は、ぜひリンクでご覧ください。
いやー、読んで最初に出た感想は、「やられた」です。はい。
各章は誰かのインタビューから始まっていて、一気に世界観に引き込まれました。その後に続く神崎翔子の半生を語った部分や、生徒と会話する場面も、翔子の人間性が感じられて素敵です。
私が好きなシーンは、翔子が保健室のベッドで寝ていた生徒の相談に乗る場面。
へへへと笑いながら、女子は興味を引かれたのかベッドから起き上がり、足を投げ出した。若く艶のあるふくらはぎが眩しい。
翔子と話がしたいのだ。養護教諭としての感覚が反応し、翔子は体を半身に向けた。正対すると相手が委縮してしまう可能性がある。あくまでさりげなく、自然に。「片手間で聞くだけ聞きますよ」というポーズをとる。
翔子は、幼い頃に母親に捨てられ、人が弱者になってしまう社会の構造を憎んでいました。中学生の時は、そんな社会に警鐘を鳴らす「世直しバーチャル配信者」として活躍するものの、今は養護教諭として淡々と働いている。そんな「今」の翔子の、仕事や生徒に対する姿勢が垣間見える場面です。
この物語は、不思議な女子生徒「山田夜夢」を通して、翔子が自分の過去と向き合っていく話だと私は理解しています。そして、「やられた」の理由はかなりシンプル。
現実社会にあるもの、血の通った人間のみを使ってイラストのシーンを完成させていること。
イラストストーリー部門のみなさん、ヤバくないですか!?
私はあのシーンを成立させるために、「異界から来た悪魔」を持ってきましたが、仕事を真面目にしている教師、そしてその生徒のみで完成させているんです。やべー。
参った参った、降参です。物語の詳細は、是非「メリーメリー・ドロップアウト」で☆
4.「俺は100パーセントおじさん」 (全4話)/ ハイザワさん
45歳で会社を辞めた天野芳雄は、惰性をむさぼる毎日を送っていた。老いていく身体、スキルもないまま重ねた歳、しかも独身。「おじさん」である自分の全てが嫌だった。
「美女になって人生やり直せたらなあ」。そんな叶わぬ妄想を抱いていたある日、天野の前に自分は悪魔だと名乗る女子高生が現れ、ある契約をもちかけられる。
私なりに導入部分のあらすじをまとめてみました。ハイザワさんの書いたあらすじおよび本編は、ぜひリンクでご覧ください。
私、いらすとや大好きなんですが、いらすとやの絵から放たれる空虚感がたまに怖くて、サムネイルに使っている記事を読む勇気が出ない時があります。
でも、勇気を出してリンクを押して良かった・・・!第1話を読んでいる最中、無意識に「おもしろーい!」と声に出ていました。
私が思わず吹き出してしまったのは、主人公の天野が「美女」になるため、悪魔のメイカと契約を交わす場面。
もちろん、一か月分の契約料は払ってもらうけどね。契約するのが当然といった素振りで、メイカは言った。
「……代償は? 金か?」
「血圧が上がる」
「血圧?」
「うん、めっちゃ高血圧になる。」
美女になる代償は「高血圧」。人間にとって、リアルすぎる代償です。
そして、ここまで読むと分かる通り、あのお題イラストの白衣を着ている女性の中身は、45歳の「おじさん」なのです。うひゃー、面白い設定!
天野は悪魔と契約を交わし、美女「天野マリア」として人生を再スタートさせるけれど、中身は人生の荒波に揉まれてきた45歳。周りからチヤホヤされて浮かれる一方で、同僚で「おじさん」の美馬に、かつての自分の姿を重ねてしまう。
天野の、「おじさん」、というか、かつての自分に対する嫌悪感、憐憫、そして美馬に対する同情が、ユーモラスな文章で描かれていて、とても引き込まれました。
「美女」という人生を手に入れた天野の行く末とは。続きは、「俺は100パーセントおじさん」で☆
5.「確定事象対策室出向 霧島由紀」(全7話)/ 篠崎要さん
北海道警察公安部の霧島由紀は、警察官として日々職務を全うしていた。ある日、霧島は本部の上層部から指示を受け、「異能対策課 確定事象対策室」と言う政府直轄のオカルト組織から、ある少女の調査依頼をされる。対象は、「白井絵空」という女子高校生。異能対策課で未来視ができる巫女によれば、白井絵空は「世界を滅ぼす」可能性があるという。
私なりに第1話~第2話分のあらすじをまとめてみました。篠崎要さんの書いたあらすじおよび本編は、ぜひリンクでご覧ください。
最後まで読み切って、思わずパソコンの前で拍手してしまいました。プロやん・・・!
私がこの作品に親近感を覚えてしまうのは、そう、霧島由紀と同じ、公安警察が出てくるお話を書いたからです。
私は本作を読みながら思いました。霧島さん、潜入調査ちゃんとしてる!!うちの華蓮ちゃん(私が投稿した作品に出てくる、警視庁公安部の女の子)大丈夫か!?と。
この作品の何がすごいって、実際の組織(警察の公安部)とオカルトな設定が、バランス良く溶け合っているところ。「異能対策課 確定事象対策室」、本当にありそう!って思いました。
本作の中で好きだなと思ったのは、霧島の過去にも通じる、この一節。
口にすべき言葉を選ぶうち、何も口にできなくなっていく。悪い癖だ、と彼女は思う。言うべき言葉や選ぶべき道が多く感じられると、彼女は何も選べなくなる。その一つ一つを選んだ場合の、その先に訪れる決定的な変化に足踏みをしてしまう。そうして結果的に訪れた沈黙に、すべての答えを保留されてしまう。
霧島は過去の経験から、「選択すること」をすごく恐れています。私は人生の大切な選択をこの数年でかなり保留にしている認識があるので、なんだか共感してしまいました。
霧島は、この後選択せざるを得ない場面に立ち向かいます。その行く末を、ぜひ「確定事象対策室出向 霧島由紀」で見届けてください。
(これは余談ですが、霧島が使用する弾丸が「銀の弾丸」と描写されていて、最近コナンファンとなった私は悶絶しました。シルバーブレッド!)
<まとめ>
創作大賞2023の投稿締め切り後、イラストストーリー部門の作品を読み始めました。本当は、自分の作品を書き上げたらすぐに読むつもりでしたが、なんせ書き上げたのが締め切り5分前・・・。
ここには挙げきれなかった作品もたくさんありますが、読んでいる中で面白いなと思ったのは、他の投稿者のみなさんがどのようにお題イラストの場面を作り上げていくか、です。
特に、白衣を着た方は、拳銃を持っているのにしんどそうだし、足は裸足だし、ストッキングは破れているし。この状況に至るまで、彼ら、または彼女らにどんな日々があったのか、作者によって多種多様で、本当に面白い。
noteさん、来年もイラストストーリー部門のコンテスト開催して下さい~!
私が応募した作品はこちら。ついでに読んでいって頂けると嬉しいです!
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