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みんなのディレクション

鳥取県鳥取市で主にホームページの制作を行っている合同会社フットでWebディレクター兼エンジニアをしている岡村といいます。

今回はタイトルの通り「ディレクション」をテーマにしたお話です!

今回の記事を書こうと思ったきっかけ

僕はエンジニアとしてキャリアをスタートしたのですが、名村さんの講座をきっかけにディレクションを学び始め、結果として現在の仕事に活かすことができました。

また、ディレクションの大切さや仕事への活かし方など広く知って欲しいという思いから、ディレクションをテーマにしたコミュニティ(山陰PD研)を立ち上げ、定期的にイベントを開催しています。

で、ディレクションを意識するようになると、色々な側面でディレクションが出てくる。というか、色々なものに通じると感じることが多々あるんです。

それ自体は良いことだと思うのですが、良いことも悪いことも表裏一体といいますか、悪い側面として深く思考せずに便利な言葉として「これってディレクションだよね」と片付けてしまうことが増えたような気がしてきたんです。これは大変よろしくない。

そんなわけで、改めてディレクションってなんだろう?ということを考えるとともに、noteにもまとめてみようと思ったわけです。

※仕事柄、Web制作における内容がメインになると思いますので、その点はご了承いただきたいのですが、お伝えしたい本質はWeb制作に限らないことですので、様々な業種、職種の方に読んでいただけると嬉しいです!

はじめに(お話の結論)

この記事で言いたいことは以下です。とどのつまり「再確認できた!」です。

「ディレクションってディレクターだけのものじゃなくない?」
「ディレクションを意識すると少しだけ幸せになれるかも!?」

そして、予めお伝えしておくとして、
この記事は、陽はまた昇るし、止まない雨はないし、石はそれなりに硬いしぶつけられると痛い。みたいなお話です。(つまり「そりゃそうでしょ」みたいな内容)

記事を読んでも明日から劇的に物事が好転することをお約束することはできませんが、何かしらお役にたてると嬉しいです。

結構ハードルが下がったと思うので、早速本題に入りたいと思います。

※記事内の大部分は僕の個人の経験を元にした見解でまとめられています。どこかで見た、聞いた、といったものは出典元を記載しております。

ディレクション?ディレクター?なにそれおいしいの?

という方もいらっしゃるかもしれないので、改めて紐解いてみたいなと思います。まずは言葉の定義から。

ディレクション
 業務(活動)の一つ(具体的な内容は後述)

ディレクター
 ディレクションを専属で行う人。職種の一つ
 担当(責任)を絞り込んだ形として「アートディレクター」や「テクニカルディレクター」という職種もある。

ディレクション(業務・活動)をする人をディレクターという

※「職務」と「業務」どちらが正しいのか判断に迷うこともあり、組織によっては職務として定義する場合もありそうですが、今回は「業務」として統一しています。また、お仕事以外でもディレクションは行われると思うので、「活動」という表現でも良いのかなと思いましたが決めきれませんでした。すみません!

ディレクションってどんな業務(活動)?

Webサイトの制作をベースに考えるとディレクションの業務には主に以下のようなお仕事が含まれると思います。制作フローのフェーズに沿って主な業務内容をザックリ洗い出してみました。

これは絶対というわけではなく、企業や組織によってはディレクター以外の人が行っているものもあるかもしれません。(企画フェーズはプロデューサだったり、設計フェーズの業務はデザイナーやエンジニアが担当することもあると思います)

僕たちがディレクションの職域として定義している業務(活動)の一例

企画フェーズ
・ヒアリング(ビジネス要件・課題の洗い出しと必要に応じてサイト要件の確認)
・企画・戦略の立案と資料化
・見積書の作成
・クライアントへの提案(プレゼンテーション)
プロジェクトの立ち上げフェーズ
 ・スタッフィング
 ・スコープの策定
設計・制作フェーズ
 ・システム設計
 ・画面設計(ワイヤーフレーム)
 ・各種ガイドラインの作成
プロジェクトの進行・管理(全フェーズ横断)
 ・タスクの管理(進捗の確認・フォロー)
 ・成果物の確認
 ・クライアントへの進捗報告
 ・プロジェクトメンバーとのコミュニケーション

注)タスクレベルに落とし込むともっとたくさんの項目に分けられます。

ここでのポイントは、Webサイトを実際に作る(制作する・・・デザインやエンジニアリング等)ために必要なありとあらゆる業務(制作以外)がディレクションだということです。

ディレクターの役割って何?

では、そういったディレクションを専属で行う「ディレクター」は何のために存在するのでしょうか?

クライアントの要求を理解し、それをクライアントを含めたプロジェクトメンバーへ正しく伝達し、目標やゴールを共有したうえで、与えられたリソース(人・時間)とコスト(予算)をもって、決められたタイミングまでに完了させる責任を持つこと。

と僕は理解しています。
もっと端的に言えば「ディレクターとはプロジェクトを円滑に回す人」とも言えます。(他のサイトでは、統括する人、監督みたいな表現をしているとこもありました)

そのためには、クライアントと自組織で構成されたプロジェクトメンバーを横断して関係する人たちとコミュニケーションをとり、働きかけを行い、プロジェクトを進行する必要があります。

ときには進行中に想定外の問題が発生し、その問題を解決しながらもプロジェクトの計画を進行させなければいけません。ですが、制作陣は自身に与えられた役割(デザインの制作や開発といった業務)がありますので、プロジェクト全体を把握し、俯瞰して対応するというのはなかなか難しいものがあります。

ですから、ディレクションを専属で行う人が必要なんですね。

ディレクションをするために必要な知識や能力(スキル)は?

次は前述したディレクションの業務内容を実践するためにどのような能力が必要か?を考えてみます。これも、色々なうたわれ方があって正解というものは無いと思うのですが、マイナビクリエイターさんの記事「決定版!Webディレクターに必要な22のスキル」にて非常によくまとめられているなーと思ったのでご紹介します。

記事では、必要とされるスキル項目を6つの分野にグルーピングして紹介されていました。ここではその項目のみ抜粋します。

ヒューマンスキル
 01. リーダーシップ
 02. マネジメントスキル
 03. コミュニケーションスキル
 04. スケジュール・予算管理能力
問題解決能力
 05. 課題抽出スキル
 06. アクセス解析の知識・スキル
 07. 統計学の知識・分析スキル
マーケティングスキル
 08. Webマーケティングの知識・運用スキル
 09. 一般的な広告・PRの知識
企画・提案スキル
 10. 企画力
 11. ドキュメント作成スキル
 12. プレゼンテーションスキル
 13. インターネットビジネスの知識
 14. 情報収集・活用スキル
制作知識・スキル
 15. Webデザインの知識・スキル
 16. 編集・ライティングスキル
 17. フロントエンド言語の知識
 18. バックエンド言語の知識
 19. デバイスの知識
インテリジェンス
 20. 権利関連の知識
 21. 経営関連の知識
 22. 英語力・英会話スキル

おぉぅ、多いじゃねーか…
ただ、項目を見ると「確かに!」と思い当たるものばかりです。
これで分かることとして必要とされる知識・能力は「Web制作の全領域にわたる」ということです。それは多いわ。

多分理由は簡単で、知識を持っていなければクライアントやプロジェクトメンバーと正しく会話ができないためです。

例として「フロントエンド言語の知識」や「バックエンド言語の知識」に関しては、正しく理解していなければマークアップエンジニアやバックエンドエンジニアとの会話が成立しませんし、誤った理解の元にクライアントへ説明すると高確率で問題に発展すると思います。

仮にエンジニアから言われたことを一語一句そのまま伝えたとしても、それに対するクライアントからの質問があったとき、その場で判断し回答するには知識が無いと難しいですよね。

「それならエンジニアを同席させればよいじゃない!」というご意見もあるかもしれませんが、デザイナーもエンジニアも自身の役割があります。

場合によっては直接説明するのが有効な場合もありますが、毎回やるのは非効率ですし、説明を踏まえてクライアントとの折衝まで求めるの?Webディレクターの存在意義が無いよね?と思うわけです。それこそ「御用聞き」になってしまいます。

ですから、デザインやマークアップを実務として行う必要はありませんが、知識としては知っているのが好ましいと僕は考えます。
(ちなみに、僕の場合はディレクターとエンジニアを兼務しています。大変です)

時々「未経験でWebディレクターに!」みたいなツイートを見ることもありますが、不可能では無いにしても相当大変なキャリアパスだろうなと思います。

ちなみに、知り合いの方で未経験からWebディレクターとしてバリバリお仕事をしている方がいらっしゃいますが、その方は「アシスタントディレクター」としてスタートしていて先輩ディレクターを巻き込み、引き込みして経験と実績を積んでいるそうです。これ、良いですよね!!

このスキルってディレクターじゃなくても必要なものあるよね?

話は戻しまして、前述のスキルを見返すと、何もディレクターに限らないものも結構ありません?

ヒューマンスキル
 01. リーダーシップ
   →複数人で仕事してたら必要になることもあるよね
 02. マネジメントスキル
   →自分自身の仕事も管理はしないといけないよね?
 03. コミュニケーションスキル
   →社内でもコミュニケーションは必要だよね?
 04. スケジュール・予算管理能力
   →自分の仕事もスケジュール調整とか発生するよね?
問題解決能力
 05. 課題抽出スキル
   →「クライアントのビジネス上の課題」とはいかなくても、プロジェクトや自身の仕事の課題とは向き合うことあるよね?
 :(略)
企画・提案スキル
 :(略)
 11. ドキュメント作成スキル
   →デザインの指示書とか、コーディングガイドラインとかドキュメント作成の機会あるよね?もう少し掘り下げると、チケット管理システムでのチケットへの記入とかコミュニケーションツールでのやり取りも該当するよね?(名村さんの文書術はオススメです:PR)
 12. プレゼンテーションスキル
   →自身の成果物を説明するのもプレゼンだよね?
 :(略)
 14. 情報収集・活用スキル
   →制作ツールや手法の最新情報とかググるよね?ググるよね!
制作知識・スキル
 15. Webデザインの知識・スキル
 16. 編集・ライティングスキル
 17. フロントエンド言語の知識
 18. バックエンド言語の知識
  →このあたりは本業として必須ですよね!
 19. デバイスの知識
  →デザイナーもエンジニアもいっつも振り回されてるアレですよ!
インテリジェンス
 20. 権利関連の知識
  →デザイナーなら「知的財産権」の理解とか必須ですよね!エンジニアだって、OSS(オープンソースソフトウェア)の利用は日常茶飯事と言っていいくらいだからライセンス周りのお話は抑えとかなきゃですよね!
  :(略)

と、考え方によっては全部必要じゃね?と思えるほどですが、より身近と思うものを中心にピックアップしてみました。

理解の度合いや範囲は異なれど、職種に関係なく関わりがあると言って良いと思うんです。

前半の「ヒューマンスキル」「問題解決能力」なんかは職種どころか業種に依存しないものですよね!

「ディレクターがいない = ディレクションしていない」ではない

たまに「ディレクター不要論」みたいなお話を見聞きすることがあるんですが、何を隠そう僕もディレクションを学ぶ前まで「ディレクターは不要」と思ってるタイプでした。(世のディレクターのみなさま、ほんとうに申し訳ありません)

これは僕が正しくディレクターとディレクションを理解せず、自分の視界に映る範囲の理解だったからです。(当時自分の身近にいたディレクターさんは前述のスキルを持っていなかったし、業務もしていなかったのです)

逆に僕の知っているフリーランスのデザイナーさんやエンジニアさんやパートナー企業さんにはディレクターが不在でも素晴らしい仕事をされているケースも見てきました。

ただこれ、今考えると「前者はディレクターはいてもディレクションしていない」「後者はディレクターは不在でもディレクションしている」状態だったのです。

つまり、ディレクターはいなくても誰かしらディレクションをしていたんですね。

プロジェクトが円滑に進み、無事に納めることができればお客様としては何も問題ないわけで「なぜWebディレクターがいないんだ!」とはならないと思います。

ですから、肩書はデザイナーやエンジニアであっても、状況に応じてディレクションをすることは十分にあり得るのだと思います。(フリーランスとしてお客様から直接お仕事を受ける場合は十分ありえることだと思います)

ディレクターはいた方が良い。けど、いなくても正しくディレクションが行われていれば仕事は回る

ディレクションに必要なスキルを一つでも多く身につけると仕事の質が上がるし幅が広がると思う

以上をふまえて、皆がみんなディレクターになる必要は無いけど、ディレクションを学ぶことでプロジェクトやその中のチームで仕事をするうえで、円滑に仕事が回るだろうし、仕事自体のクオリティも上がるんじゃないかと思うわけです。

もちろんデザイナーやエンジニアなど現在本業としている職種をさらに高めるという選択肢もありますが、幅広いスキルを持っているというのも魅力的ですよね。

例えば

エンジニア ✕ コミュニケーション能力
 →エンジニアはコミュ障だなんて言わせないぜ!
デザイナー ✕ ドキュメント作成スキル
 →経験やノウハウを言語化して情報発信!

どうですか!仕事の質を高めたり、新たな可能性を感じません!?

まとめ

はい、というわけで、
最初にお伝えしていた本記事の結論にたどり着くわけです。

「ディレクションってディレクターだけのものじゃなくない?」
「ディレクションを意識すると少しだけ幸せになれるかも!?」

「ディレクションはディレクターだけのもの」と敬遠するのではなく、ディレクションに触れて、学んで今の自分に還元することで、仕事がしやすくなったり、評価されたり。などなど、少しでもプラスに働けば良いなと思う次第です。

Twitterなどで情報発信をしているディレクターさんをフォローしてみるでも良いですし、ディレクター向けのウェビナーやセミナーに参加するのも個人的にはオススメです!きっとご自身に活かせる情報や知識が得られると思います。

もしよろしければ、色々な方のやり方やご意見もいただければと思いますので、感想を頂けたり、Twitter等で絡んでいただければ嬉しいです!

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