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議会屋はリーダーに向いてない-LBJ(ジョンソン)とBRJ(バイデン)-

 アメリカ国民は今、バイデン政権の状況をトランプ政権と比べてどう思っているのか気になりますね。

バイデン大統領が就任して一年が経ち、彼の一年の業績が方々で総括されています。今年は次の2024年アメリカ大統領選挙の前哨戦となる中間選挙があります。

現在のバイデン大統領の支持率は中間選挙を戦うには難しい状態ですね。

よっぽどなことがない限りは今年の選挙では共和党が勝利するというのが大方の見方のようです。

バイデン大統領が民主党と国民から期待されていたことは何だったのかを考えると支持率の低下は当然のないように思えます。

 今のバイデン政権の状況を私はかつてのカーター政権のように感じていましたが、昨日1964年前後のジョンソン大統領に関する映画を見て、バイデン大統領の印象と重なるところがあると思いました。

細々と調整する議会屋はリーダーに向いてないとつくづく感じるところです。

・バイデン大統領に期待されていたこと

 バイデン氏に投票した有権者は「脱トランプ政治」を期待していました。バイデン氏自身もトランプ政権時に引き起こされた分断を解消するという趣旨の発言をしていました。

民主党内は左派(社会主義系)とそれ以外で分裂を抱えており、この調整役としてのバイデン氏が期待されていました。

 では結果はどうだったでしょう。まず公約で掲げた巨大な財政支出について、まだ社会主義者(サンダース上院議員やコルテス下院議員)では納得できてないようです。

バイデン政権はすでに相当額の財政出動をして、バラマキを行っていますが、左派系の議員はまだ足りないと攻撃しています。

一方で、バラマキについてやり過ぎだと考える民主党員(ジョー・マンチン上院議員)がいることで、バイデン氏の更なる財政支出政策は難航していて、これにも党内・支持者から批判されています。

 景気回復はされたように見えます。経済成長率も日本と比較したくないほど順調で、やりすぎでした。結果、インフレ対策が今課題となっています。

 移民政策も公約の段階から非現実的なこと(不法移民に市民権・難民受け入れ拡大など)を言ってるとは感じていましたが、対応は滞っています。

 外交においてはアフガン撤退が大きい反発を生みましたし、現在進行しているウクライナ問題もロシアとの駆け引きにミスがいくつも見られます。

環境配慮についても、石油輸出国だったアメリカが今では石油の高騰に対応できず、同盟国と貯蓄分を放出するという意味不明な政策も行いました。

 政権の発足の目的が反トランプだったことは結構なことですが、達成できない理想と理想のために産出できる石油をあえて産出しないなどの足かせを自分にはめていて、1年通してグダグダでした。

・議会と国際政治は違う

 戦後の民主党大統領は大まかに2つパターンがあるように思います(トルーマンは除く)。

①.議会経験豊富なおじさん-ジョンソン・バイデン
②.人気を持つ若手(テレビ映りがいい)-ケネディ・カーター・クリントン・オバマ

 バイデン大統領は①に該当します。バイデン氏の経歴を見るとずっと政治家です。そして特徴的なのは36年にわたる上院議員経験です。これは相当長い議員経験です。

1度当選してからずっと上院議員として議会にいたバイデン氏ですが、議会で大きな役職に任じられていたとは言えません。

ちなみに同じ①に該当するジョンソン氏は上院議員経験12年、そのうち約6年間は民主党上院議員をまとめる院内総務の職業をえています。

 ジョンソン政権はケネディ政権の継続を掲げてケネディ大統領の死後の選挙で勝利しました。彼もまたベトナム戦争や公民権運動の余波で国内・党内に分断を抱えている時代の大統領でした。

 ジョンソン氏も議会経験の豊富さが売りでしたがイマイチ、バイデン大統領はジョンソン氏以上に議員経験はある一方で、ジョンソン氏とは違い議会をまとめる立場にはなかった人で、今のところ政権運営がイマイチ。

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リンドン・ジョンソン大統領

議会で話をまとめるうまさというのは国を率いるリーダーシップと関係ないことがはっきりしたように思えます。

議会を無視することはできないので、議会を熟知していることは政権運営に必要ですが、それは政権内のスタッフの中にいればいい話で、大統領がそうある必要はないようです。

 事実、トランプ政権時のペンス副大統領はトランプ政権と議会の調整役を遂行できていたわけです。

むしろ議会屋は参謀向きであって、小さな権力者としては有能なのかもしれません。

ですが、国際政治の舞台では課題の調整を、個人ではなく国家の官僚を含めた組織ぐるみで行います。

ですから、自分中心の議会屋ではかえって問題を抱えることになることがバイデン政権とジョンソン政権の例から明らかになったように感じます。

 やっぱり基本的に参謀はどれだけ権力欲があってもリーダーになるべきではないと思います。向いてないのです。

・終わりに

 このnoteはジョンソン大統領の映画を見て、書こうと思ったのですが、アメリカの政治映画はおもしろいです。

日本もこういう映画やドラマ作ればいいのにと思います。NETFLIXで「新聞記者」が見れるそうですが、私はコメディにして欲しいです。どうせ批判だらけのどんちゃん騒ぎを数十年単位で行ってきたわけですから(笑)

三谷幸喜氏の「総理と呼ばないで」とか、全く似たような内容だった「記憶にございません」とかは良かったのではないかと思ってます。

私は最近amazon primeの「ALPHA HOUSE」(アメリカの上院議員の生活を描いたコメディドラマ)を日英同時字幕で見ながら楽しんでいます(笑)

 エンタメも多様化してますから政治風刺を全面に押し出したコメディが受けたら、政治に関心が向くのかななんて思ったそんな夜でした。

 


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