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アメリカの混乱―盲目な理想主義者による民主主義の破壊―

 1月6日アメリカでは上下両院合同会議が開かれ2020年の大統領選挙の結果を認めるか否かの審議が行われていた。日本時間深夜に始まったこれはいくつかのYouTubeチャンネルで生放送されており、私も午前3時から共和党上院院内総務のミッチー・マコーネル氏のトランプ大統領の主張を全く容認しないという発言を聞いて共和党がこの不正選挙運動をどのように考えているかを改めて理解して眠りについたわけだ。

そして朝起来て見ると速報で議事堂内にトランプ支持者が乱入、議会大混乱との報道を見て驚いた、というか呆れた。思い返せばトランプ氏はTwitterを通して1月6日は「Trump march」と銘打ち支持者に参加を呼び掛けていたのである。(この時にこうなると予想していたとは思わないが)

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不正選挙運動を選挙結果判明後から続けたことで勝てるはずのジョージア州上院選挙も落とし、民主党が上院多数を占めることに加担したことの罪は重い。あれだけ保守・自由主義的な政策を数多く強烈なリーダーシップを持って実施し歴代大統領の中でも公約の実現率が高かった大統領がここまで晩説を汚し続ける様は残念でならない。

 トランプ支持者はもはやトランプ信仰のもと急進的な理想主義者となっている。昨日深夜「#世界をひっくり返そう」という言葉がTwitter上で踊っているのを見かけたとき、彼らは世界同時革命論者と何ら差がないことを言っているではないかとその愚かさにため息が漏れた。共和党上院議員の中にはトランプ氏を支持する者もいるようだが、不正選挙の立証もできないで不正選挙を訴える現状打破を求めるのは法治国家としてあるまじき姿であり、認められるわけがない。

 私はトランプ支持者がなぜ議会に入れたのかも疑問だが、あの光景を見て日本の安保闘争時の警備隊と揉めるデモ参加者の姿が重なった。

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アメリカの保守政治を牽引した大統領が法治国家の破壊を間接的かつ結果的に行った事実は覆ることはなく、この一件がこれまでメディアが報じたトランプ氏の印象と重なってしまうことが残念でならない。トランプ氏のこれ以上の運動は共和党にとってもアメリカ保守派にとってもそしてアメリカという国家そのものに対してもいいことではない。アメリカの混乱で得をするのは中国などの権威主義国家、そしてトランプ氏を攻撃し続けてきた民主党(特に左派)そのものだ。

 陰謀論者が陰謀を語ること、理想主義者が理想を持つこと、これは結構なことだがその陰謀、理想に共感する人間だけの間で細々と行動してもらいたい。一部の理想主義者の理想が完全に現実に表出することはありえないこともまた理解してもらいたい。一部の理想主義者の理想が現実になったときそこには全体主義社会が広まっているのだから。個人は常に思想の自由がある。みんなそれぞれ少しずつ考え方が違うのだからこれを許容するべきだ。これを無理やり是正しようとしたとき、自由が社会からなくなる。自由の国アメリカで価値観を破壊しようとしていたのは民主党左派だけではなく盲目な支持者という名の信者だったということは本当に残念だ。


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