愛してない
手を触ると、思いがあふれてしまうから、いつの日にかその手を振り払った。
私は一人なの、ひとりでいいんだよ、だれとも、だれとも。
走って走って逃げまどって、転んだ時に差し伸べられた手が前のものとは違うことに気づきながら、そっとその手を取った。
自分とその人が一緒になるような感覚のない人なら、一緒にいれる。
私は私のままで、彼を好きになれるから。
彼は優しい、一緒にいると弱さもすべて見せてもいいような気がする。
君とは違う。君はまるで私だから。一緒になりたくない。
君ありきの自分になるのが怖かったと言える。
自分勝手かもしれないね、でもね、
合理的な人間は、意味のない無駄を嫌うもんなんだよ。
感情なんてそこには必要なくて、と、無意識に痛む胸を押さえていた。
感覚でわかった。
もうだめなんだなって。
何がダメなのか、どうやったら元に戻れるのか、そんなことを考えてもしょうがないから、あきらめて受け入れた。全部全部、自分の中だけで消化すれば生きていけると思ったから。
それに彼、とーっても素敵だから。仕方ないんだよねえ。
自分にないものをたくさん持ってる彼が純粋に羨ましかった。きっと彼なら、あの子も安心して頼ることができるね。
どうか、お幸せに。
自分の好きな人が、その好きな人とうまくいってくれるのが一番いいけれど、それってこっちの勝手な押し付けなんじゃないかなと思った。
本当のところなんて、たとえ話を両方から聞ける立場にあったってわかりはしないし、何かを伝えることができたとしても、どう行動するかはその人たち自身だから、ただ話を聞くだけじゃないとあれかなあと最近思うことがあった。
距離の取り方下手くそなひとと、距離の詰め方下手くそなひとの恋路は、さてどうなるのでしょうか。
あきらめたみたいな笑顔がどうか輝く日が来ますように、とまた勝手ながら祈っている。
(タイトル何にも思いつかなくて、たまたまAcid Black Cherry の愛してないを聞いてたので愛してないにしたけど、曲と全く関係ない…。)
迷える優しい君よ、どうか報われておくれ、こんな時代なのだから。