オウンドメディアやSNSの費用対効果はどのように考えるべきなのか

1.はじめに

オウンドメディアやSNSをビジネスで活用することは今や当たり前になってきましたよね。しかし、オウンドメディアやSNSがどのくらい自社の利益に貢献しているのかが分かりにくく、社内の理解が得られずに運用が滞ってしまうことも少なくないと思います。

確かにオウンドメディアやSNSは広告のように短期的で直接的な効果が見えにくいのでこのような状況に陥ってしまいやすいのですが、広告に頼っているだけでは売上を上げ続けることが難しい現在、コンテンツマーケティングはやはり是非実践したい施策です。

そこで今回は、オウンドメディアやSNSの費用対効果をどう考えるべきなのかをお話していきたいと思います。

コンテンツマーケティングの目的は様々ですが、今回は分かりやすく、オウンドメディアやSNSを「売上アップに繋げる」という目的で活用すると仮定してお話していきます。

2.オウンドメディアの費用対効果はどのように見れば良いのか

①売上から逆算して十分なリード獲得ができているか

オウンドメディアから売上に直結する指標として、お問い合わせや資料ダウンロード、メルマガ登録などの「リード獲得」が挙げられます。

まず、オウンドメディアに投資している費用に対して、利益を上げるためにはどのくらいの売上が上がればよいのかを考えます。例えば人件費も含めて毎月オウンドメディアに80万円のコストを使っていて、商品単価が20万円の場合、月4件の受注であれば赤字、4件以上の受注ができれば黒字となります。

そこから、4件の受注をするにはいくつのリード件数が必要なのかを考えます。リードからの受注率を10%とした場合、月40件のリードが必要になります。このように売上から逆算して考えると、オウンドメディアからのリード獲得率が0.1%とした場合、月に40,000以上メディアへのアクセス数があれば、費用対効果が合っていると言えます。

②広告費の増減に関わらず問い合わせ数や売上が上がっているか

もう1つのオウンドメディアの費用対効果をはかる方法は、広告費の増減に対する反響数の推移です。

オウンドメディアへの訪問者の全てが直接メディアからアクションを取ることは考えにくく、実際には、オウンドメディアを閲覧した後に商品名や企業名で改めて検索して問い合わせをしたり、オウンドメディアを閲覧後、広告に出会い、オウンドメディアで閲覧した情報を想起してコンバージョンに至るといったルートも発生し得ます。

こうしたルートを考慮すると、①のオウンドメディア単体からのリード獲得数だけでは効果性を十分に判断することはできません。

そこで、オウンドメディアの間接的な貢献を考慮して判断できるのが、「広告費の使用に対しての売上の推移」です。

例えば広告費の使用額は減らしたのに売り上げが以前よりも上がっているというように、広告費の増減と売り上げの推移が比例しない場合は、オウンドメディアなどの他の施策が売上に寄与していることが考えられます。

このように、多角的な面から見ることで、オウンドメディアの費用対効果を正しく把握することができますね。

3.リスティングプラスのオウンドメディア費用対効果検証事例

こちらは、2019年11月~2021年3月のリスティングプラスの広告費推移グラフです。グラフをご覧いただくと分かる通り、後半は広告費をかなり削減しています。

画像1

以下は上記の広告費を削減していた期間の新規問い合わせ数を示したグラフですが、こちらの広告費を削減していた期間でも、変わらず新規問い合わせ数を維持できています。

画像2

この結果を見て、弊社ではやはり自社運営をしている「リスマガ」というオウンドメディアの存在が、新規問い合わせ数維持に貢献をしていると判断することができました。

4.SNSの費用対効果の考え方

続いては、SNS運用の費用対効果の考え方についてお話していきます。

弊社でもTwitterをはじめ、SNSのオーガニック運用に力を入れ始めましたが、この費用対効果を明確にするのが、私は正直とても難しいと感じました・・・。しかし、複数の指標を使うことにより、SNSがどのように自社に貢献しているのかを示すことができ、今では社内でもSNSの運用に対して理解と協力が得られている状況ができています。

①DM経由などの問い合わせ

まずは、運用しているSNSのダイレクトメッセージなどが直接的な指標となります。広告を出稿した場合、1件の問い合わせ数にどれだけの広告費が必要なのかを算出すれば、SNSで得られた問い合わせ1件にどれだけの価値があるのかが分かります。

②GA上でのSNSからの流入数

Googleアナリティクスでは、流入経路別のアクセス数を見ることができます。そこで、SNSからの流入数を見れば、SNSからどのくらいのアクセス数を獲得できたのかが分かりますね。ただし、こちらはSNS広告からの流入も合わさってしまっているため、SNS広告費の推移との比較が必要です。

また、SNSの投稿が社内のコミュニケーションツールなどで共有され、そこからの流入が発生する可能性もあるため、SNSからの流入だけではなく、directからのアクセス数の推移も、SNSの貢献度として見ることができるでしょう。

ただし、SNSもオウンドメディアと同様に、その場で直接的なアクションを取るユーザーが多いわけではないため、上記のような数値の増減だけ見ていると、本当にSNSが貢献している部分の効果性を見逃してしまいます。

そのため、以下のように複数の指標も見ていく必要があります。

③顧客アンケートを取る

最も確実なのは、セミナー出席者、問い合わせをしてくれたユーザー、受注後の商談時などに顧客アンケートを取る方法です。

ただこちらも、SNSが貢献していたとしても、問い合わせなどのきっかけをSNSだと認識していない(最終的にはホームページや広告経由となっている可能性がある)場合が多々あります。

そのため弊社では、「弊社を知ったきっかけ」「セミナーに申し込んだきっかけ」などの他に、「弊社のどのSNSやメディアを知っているか」という質問も、アンケート項目に入れています。

そうすればより確実に、SNSが実際の反響に影響している度合いを把握することができます。

④指名検索数

SNSの貢献度を図るもう1つの指標は、商品名や企業名などの指名検索数の推移です。

指名キーワードはリスティング広告であれば必ず入札するべき確度が最も高いキーワードであるため、その検索数を増やすことができれば、売上に大きなインパクトを与えることができます。

そこで、指名検索数を増やすために有効な施策がSNSを活用して、企業名の認知度を広めることです。

実際に弊社でも、Twitter上で「Twitterでリスティングプラスの社員を多く見かけるため、気になって検索した」というお声をいただくことができました。

このように、指名検索の増加数からも、SNSの効果性を判断することができます。

⑤UGCの増減

SNSの運用をする最も大きな意義は、自然発生する口コミ(User Generated   Content)を増やすことです。

特にB to Bのサービスの場合は、サービスを利用した結果などをあえて積極的にSNSに投稿するメリットがなく、何もせずに口コミを発生させることは非常に難しい側面があります。

しかし、例えばシェアしたくなるような有益な情報をSNS上で発信したり、自社について言及してくれた方の投稿に反応してリツイートをしたりすることによって、B to Bのサービスであっても、UGCを増やすことが可能となります。

口コミは商品を利用する上で非常に有益な判断材料となりますし、SNSでは自分が信用している関係性が近い人をフォローし合っている確率が高いため、そのような信頼性が高い人が良い口コミを発信しているサービスに関して、良いイメージを持ちやすくなります。

このような口コミの件数がどのくらい増えているのかを見ることでも、SNSの効果を判断することができます。もちろん口コミの件数だけでは具体的にどのくらいの売上がそこから発生しているのかは分かりませんが、UGCの件数と売上の推移、広告費の増減などを総合的に見ることで、関連性が見えてきます。

5.まとめ:オウンドメディアもSNSも短期で成果が出るものではない

ここまでオウンドメディアとSNSの費用対効果についてお話をしてきましたが、どちらも、短期的に売上に跳ね返ってくる施策ではありません。

そのため、利益が出るまでの期間とその期間に必要になる投資額もふまえて、利益回収期(スタートから1年後~など)にどのくらいの成果が出ていれば良いのかを考える必要があります。

このようにオウンドメディアやSNSは体力と忍耐が必要な施策ですが、広告は瞬発的に効果が出る反面、広告費を下げればそれだけ売上も下がりますし、広告で刈り取れる母数には限りがあるため、広告費を上げた分だけ同じ獲得単価で新規顧客を獲得し続けられるわけではありません。

広告費を上げていってアッパーがきたとき、オウンドメディアやSNSの力がジワジワと効いてきます。

だからこそ、「費用対効果が合わないからやめよう」と判断するのではなく、常に改善するべきところを正確に把握し、効果的な運用をしていくために、多角的な視点を持って正しくオウンドメディアやSNSの費用対効果を把握していきたいですね。

ちなみに、オウンドメディアの費用対効果を上げるための導線設計については以下のnoteでもまとめていますので、良かったらこちらも是非読んでみてください。


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