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まともじゃない ー 最後は「信用」

 前稿.押し寄せる「利下げ」の "波"Ⅲ ー 「金利」の ”流れ” |損切丸 (note.com) からの繋がりで

 ”政府関係者は日本政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入を実施したと明らかにした”

 米CPI後のドル円急落でネットも ”介入” で大騒ぎ。怨嗟の声が大きい事に鑑みるとヘッジファンド(HF)だけでなく ”Mrs. Watanabe" も大分「キャリートレード」に取り憑かれているようだ。急落の余韻もさめやらぬまま7/12の早朝東京市場が開く前の薄い時間帯に@159円台半ばまで持ち上げたかと思ったら@157.75まで叩き落とし、また@159.45、そして@158.30…

 もうまともじゃない

 大体 ”政府関係者" って誰? まあ ”介入” の有無については月末の公表を待たずとも夕方発表の日銀の「資金需給予想@7/16」で大体の見当がつく

 しかし ー ”介入なら買い戻し” でそうでなければ「売り」なのか

 「需給」で考えると「ドル売り介入」は過去の「ドル買い介入」の「利食い」なので "売り切り" 。 ”介入なら買い戻し” は合理的ではない。こうなるとトレーダー達が拘っているのはこの2年の ”成功体験” であり、まさに "パブロフの犬" 状態。これを財務官は ”投機” と呼んでいるのだろう

 今朝方のドル円の "持ち上げて売り崩し" HFなどが得意とする ”エセ介入” の可能性もあり、こうなると儲かるなら何でもアリ(  標題チャート)。理論も合理性もあったもんじゃない。こういうのが得意じゃない人は「休むも相場」。一旦この相場からは離れた方がいいかもしれない

  ”政府関係者" が与党の政治家なら余程切羽詰まっているのだろう。本来 ”介入” 効果を高めるならダンマリを決め込んでマーケットに恐怖感を植え付けるのが常道だ。特に昨日のように効果的だった局面では尚更。それをメディアにわざわざ耳打ちするのは ”功績” を強調したいからに他ならない。首相がアメリカにいるようだから "そういう事" かもしれない

 「損切丸」的には ”介入” も市場取引の一部に過ぎない訳で、本来の ”流れ” には関係ない▼4~5円 ≓ ▼2~3%の上下動は相場には良くある話で、特に昨今のように「キャリートレード」ブームならいつでも起こりうる。1998年LTCM破綻時に3日で▼25円=▼17%落ちた相場を経験した身としてはそれ程騒ぐことでもない

 こんな相場に挑んでいるトレーダー達には敬意を表するが、老婆心ながら苦言を呈するとあまりマーケットを舐めない方がいい”介入” 時も含め確かにドル円の「押し目買い」はこの2年必勝法だった。だが「学習効果」がいつまでも続く保証はない。経験則で申し上げると、 "パブロフの犬"≓ ”介入なら買い戻し” だけで同じ取引を続けるのはただの「過信」。どこかで痛い目に合うことになる(今回かもしれない)

 しかし「ユーロ」も「ポンド」もほとんど動かない中「円」だけが急激に上下動を繰り返す様は異様「ウォン」でさえついて行けなくなっている。筆者が現役の頃からそうだったが「円」はマーケットの "オモチャ" になる事が多い。理屈に合わない非合理な政策を運営しているから裁定取引などにつけ込まれて利用されてしまう

 今のドル円相場もその典型"パブロフの犬"≓ ”介入なら買い戻し” が繰り返されること自体、政府・日銀が信頼されていない証。今日「日経平均」が▼1,000円以上下げたのも「円高」より「信用」の問題が大きい

 これで ”介入したから利上げしない” なんて事になったら目も当てられない。このままでは「円」の「信用」がボロボロになる。|損切丸 (note.com) の再加速は想像するだけで怖ろしい。マーケットへのリスペクト(Respect、尊重)をベースに金融政策を運営するFRBとの違いはその点にあり、それが「失われた30年」を経て日米の経済格差を生んだ

 功を焦って ”介入” を宣言してしまうようでは月末の政策決定会合もまた肩透かしかと不安になってきた。その「信用」の欠如が「円売り」「日経売り」の一因いつか来た道 ー 「科学」に沿って果敢にリスクを取った者のみが果実を得る|損切丸 (note.com) だが、まだまだこの国の道のりは険しそう。全ては「信用」あってこそ。政府がその "基本" に立ち帰れなければ、国民の4割が希望するように「政権交代」しか手がないのかもしれない

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