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"想定外” じゃない。ー 「逆イールド」から「大幅利上げ」への逆噴射?

 1月米PPI(前年比)+6.0% 予想 +5.4% 前月 +6.2%
 コアPPI(除.食品エネルギー)+5.4% 予想 +4.9% 前月 +5.5%

 マーケットの雰囲気が大分変わってきた。従前から 米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。|損切丸|note シリーズなどで "預言" (苦笑)してきたのは、物価@5%が1つの "壁" になるのではないか、と感じていたから。

 大きな理由の1つは「米中対立」でグローバリゼーションが瓦解し、潜在成長率(≓物価上昇率)が+1.5~2%程上がった事がある。日銀、FRBともインフレ目標に未だ「+2%」を掲げているが、少なくとも「+3%」に上げるべき。そういう主張もこのところ散見される。

 こういう "しつこい” 物価上昇を見て、FRBのタカ派からは「警告」が出てきている。クリーブランド連銀のメスター総裁は、前回(1/31~2/1)FOMCで、政策金利を+0.5%引き上げる説得力ある論拠はあったと指摘しているし、セントルイス連銀のブラード総裁は、3月FOMCで+0.5%利上げに "戻る" 可能性を排除しないと発言している。

 現在の米国債市場の「利上げ予報」では+0.5%「利上げ」はほとんど織り込まれていない。仮に流れが「大幅利上げ」へ "逆噴射" すれば「逆イールド」どころではない色んな理屈がひっくり返ることになる。

 年内の「利下げ」が消えかけただけでもこれだけ動くのだから、そのボラティリティー(変動率)の高さは想像がつく。一種の「灰色のサイ」になるだろう。心構えだけはしっかりとしておきたい。

 ただ金利が上がったことで「お金」が金利系のファンドに流入してきたのは事実。その辺のとろこを 銀行は知っている。|損切丸|note。だからこそ「景気後退」を煽って金利を低下させ「逆イールド」を演出してきた。現在の様にAIプログラムが主導するマーケットでは動きが増幅されやすく、その性質をウォール街が "悪用" 。昨年末から年初にかけては上手くいったが、やはり中央銀行と喧嘩するのは分が悪い

 こうなるとFXも株も原油もビットコイン(BTC)も動きが怪しくなる市場規模の小さいBTCに的を絞って持ち上げようとしたが ”笛吹けど踊らず” 。相変わらず価格の算定根拠があやふや理由もなく1日で±10%も動かれては、これは「投資」ではない。宝くじや競馬の方がまだ当る確率が高い。

 これでウォール街の目論見 ↓ はほとんど崩れた:

 ①2023年央からのFRB早期「利下げ」転換に伴う「ドル安」
 ②2022年に売り込まれたナスダック、中国・韓国株等の買い戻し
 ③暗号資産市場の復活

 米国株は底堅く推移しているように見えるが、S&Pの「イールドスプレッド」はこのところずっと@▼2%を上回って推移しており高値で張り付いたまま。綱渡りが続いている状態だ。

 頼みの米国債など「金利系」プロダクトだが、「クレジットプロダクツ」と呼ばれる高利回りの「社債」などは買われ過ぎて米国債とのスプレッドが異常値まで縮小警戒サインも出ていた。今回米国債が売り基調に転じたことでこれらも "逆噴射" 「損切り」が相次いでいることが想定できる。

 5年超の米国債については、やはり「利上げ」が続く中での@4%以下の利回りには無理があり、一旦買った投資家の中には上手くいけば「利食い」、ほとんどは「損切り」に動いている "真っ最中" だ。

 「どうする?ウォール街」(大河ドラマ風)

 やはり2023年は "潰し合い" の相場利益が出る時はきっちり確定、「損切り」はスッパリ、が肝要になる。下手に拘って粘ると返って傷を深くしてしまう可能性が高い。何せ「お金」がドンドン減っていく相場。これまでの「金融引締め」局面がそうだったが、「損切り」「レパトリ」(損失補填のための取引)等々、理不尽、不条理が多発する。

 何せ日米欧3極同時の「超緩和政策」発動など筆者の30年近いマーケット経験上にもなかった画期的出来事。経験値も積上がっていないし正直誰にも予測が付かない。リーマンショック後の銀行規制厳格化で、過去に見たような「金融危機」は起りにくくなっており別の "形態" になるだろう。おそらく焦点は「国家」に移る。常に 「お金」も「信用」も失う時は一瞬。ー 「危機」は突然やってくる。|損切丸|note を頭に入れておきたい。

 中でも30年以上続いた日銀の「超低金利政策」の解除は最大の難物過去2回の「ゼロ金利解除」でも株価の下落などで「ゼロ金利」復帰を余儀なくされたが、今回は「円安」に加え人口動態から来る構造的な「人手不足」、e.g., 「団塊」▼8百万人の現場引退、で「インフレ」対応は待ったなし壮大な「社会実験」はその結末を迎える。まさに「歴史の転換点」。ただ事で無いのは間違いなく、予断を持たず対峙していきたい。

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