見出し画像

”ノドに刺さった骨” -「日銀」が動いて初めて「インフレ」退治が始まる

 1/23 植田日銀総裁会見から:
 「マイナス金利を含めた大規模金融緩和策の継続の是非を検討していくことになる」
 「マイナス金利解除後、当面は緩和的な金融環境が続くと思うが、どのくらいの長さになるかは言い様がない」
 「賃金と物価の好循環が強まっていくか確認したい」

 市場予想通り日銀は政策変更を見送ったが、案の定その後の植田総裁の記者会見が注目された。その中で Bloomberg 社に掲載された記事が興味深かった。データサイエンスの「ワードクラウド」の分析によるとと12/19の会見  に比べて今回(  標題添付)は「マイナス(金利)」「賃金」が増えているという。なるほど、さすがAI時代

 マーケットは素直に反応し、会見後ドル円は売られ一時+400円以上も上げていた日経平均も結局前日比マイナス圏で終了。こちらは典型的 "Buy the Rumour, Sell the Fact" (噂で買って事実で売れ)短期狙いのトレード

 興味深い反応が見られたのがJGB(日本国債)市場。買われる(金利低下)どころか5~10年ゾーンの金利が上昇これまで著しく割高(=低金利)だったJGB先物チーペストの8年物金利は遂に理論値を超えた。確かに5年超となれば1月か3月か4月かなんていうのは些細な事。長期投資家にとっては金融政策の方向性が重要になる

 いずれにしろ日銀は年内に「マイナス金利解除」「YCC廃止」に踏み切り、「金利」をマーケットに "大政奉還" するだろうとの読みだ

 これでほっとしているのはFRBとECBかもしれない。何しろ+4~5%という強烈な「利上げ」をしても抑え込めなかった「インフレ」にようやくトドメを刺せるのだから

  続・「理想」と「現実」- 「過剰流動性」の "アンカー" 「日銀」|損切丸 (note.com) と表現したが「過剰流動性相場」の "一丁目一番地" は日銀の「ゼロ金利政策」= "ZIRP" ( Zero Interest Rate Policy )対「インフレ」という意味ではまさに ”ノドに刺さった骨” 

 WTI(NY原油先物)やビットコイン(BTC)を見ているとわかるが、これらはOPEC(石油輸出国機構)や暗号資産業者など少数の参加者で価格を決めているサウジアラビアの「採算基準点」が@70ドルなら生産調整等なり振り構わずPKO(Price Keeping Oprarions、価格維持操作)。これが市場流動性の低い "Bold Markets" の特徴の1つでもあり、需給に直接関係のない個人なんかが参加すれば、余程の天才か研究し尽くさなければ喰い物になる

 こういうPKOを容易にするのが「過剰流動性」だ。「お金」が溢れていればマーケットに引き込みやすい。だが "ZIRP" 以前の相場に戻せば市場の需給をモロに反映するので「価格操作」は容易ではない。今では信じ難いが原油価格が@20ドルを割れている時期もあった

 要注意なのはロシアからの原油輸入が急増している「中国」「共産主義だから株式市場なんて関係ない」と強がってもあまりの株価急落に政府も慌てている。*ハンセン指数など今日(1/23)は何とか値を戻したが「お金」の流出は止まらない。本来 "ZIRP" が必要だが「ドル」の流出が怖くて "金縛り" PKOでは不良債権問題を凌げないのは日本が証明済み

 *「人」の流出も止まらない。例の「スパイ法」で訳もわからず連行される様な国に転勤したい駐在員などいない。欧米なら間違いなく家族に反対される。日本人でさえそうだろう。その結果かつて「高コスト」を理由にアジア拠点を香港へ移していた金融機関の「東京回帰」が鮮明になっている。日経平均とハンセン指数の "逆行" はその事を象徴している

 実は日銀の金融引締転換を怖れているのは、ここ数年「インフレ」を謳歌してきたコモディティ(商品市場)や暗号資産かもしれない。国債や社債に相応の「金利」がつけば投資家も無理にリスクを取る必要がなくなる業績の裏付けさえあれば「配当」がある株式も比較的ダメージは少なかろう

 10数年続いた「過剰流動性相場」は「インフレ」を筆頭にろくな事がなかった「ガチホ」「ほったらかし投資」で一時的に利を得たファンドや投資家も最終的に酷い目に合った向きも多い(表向き語らないだけ)

 「金利」≓「物価上昇率」+信用リスク

 この資本主義の原点に立ち帰って初めてまともな「投資」が成り立つ。 ”アンカー” 日銀の政策転換はその号砲最も恩恵に預かるのはおそらく日本だ。何しろ4京円もの莫大な「借金」のコストが「預金者」に還元される事になるのだから。「インフレ税」ばかり取られて財務省だけが高笑いでは堪らない。そう言う意味で「オルカン」など 「シルバーデモクラシー」に "静かな反乱" 。 ー 「お金」の ”脱・日本” 。|損切丸 (note.com) 的な動きは非常に興味深い。世の中、やっと正しい方向に向かっている

この記事が参加している募集

AIとやってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?