「利下げ」しないと株価は上がらない?
こう言う記事を臆面も無く書いているメディアはまず信じない方がいい。経済やマーケットの事を真剣に考えていない証拠。大体債務上限問題なんて筆者が現役の頃から度々見てきた ”政治ショー” に過ぎず、アメリカが本当に「お金」を払えなくなるわけではない。この記事が本当なら米国債は大暴落しているはずだが、実際は株価の下落を受けて買い戻されたりしている。
こちらのパウエル議長の発言は 「利上げ」は止まるかもしれないが...。ー Money Changes Everything. 「お金」の魔力。|損切丸 (note.com) 、偽らざる本音であろう。但し気を付けなければいけないのは、マーケットの現状と大きな齟齬が出来てしまっている点。現在の市場の焦点は:
「利上げ」があるかどうかでなく「利下げ」があるかどうか。
シリコンバレー銀行(SVB)の破綻をきっかけに「質への逃避」もあって短期米国債やドルMMFに「お金」が殺到。金利が急低下し、今夏以降に▼0.5%、2024年に▼1.5%もの「利下げ」を見込む金利水準まで「逆イールド」が進行。いつのまにかそれが "当たり前" になってしまい、米国債を主導する銀行の、いわば ”都合” が突っ走った形で株価を下支えしていた。
だが何度も言うが金融政策を決めるのは民間銀行ではなく中央銀行だ。FRBが「インフレ」の火消しを優先しているのは明らかで、拙速な「利下げ」要求は明らかにやり過ぎ。一時@3.8%台まで急低下していた2年米国債が@4.28%まで急騰(価格が急落)したのが典型で、年初に「金利@3%上限運動」を展開して失敗したのと同じ過ちを犯している。
これでやっと年内の「利下げ」は殆ど消滅、だが2024年に▼1.5~▼2%の「利下げ」はまだ諦めていないようで、本当に懲りない人達である。
つまり現在NYダウやナスダックの上値を抑え付けているのは「利下げ」期待の剥落による金利上昇であり、「利上げ」や「債務上限問題」では無い。この点を見誤るとマーケットで "迷子" になってしまう。
この点、対照的なのが日本。JGB(日本国債)と日経平均/TOPIXだ。
日本は「利上げ」「利下げ」を論じる以前に、既に「超金融緩和」状態のまま。10年JGBの「実質金利」≓名目金利@0.40%ーCPI+4.7%(GOTO、エネルギー補助金による▼1.2%を除外)=@▼4.3%とG7の中でも最低水準。英FT(同▼6.1%)独DAX(▼4.8%)が好調なのも同様だ。
しかも激しい「インフレ」でFRBを追う形で「利上げ」を続けているイギリス、ドイツに比べ、日本は "動く" 気配すら無い。*2022年、2023年と不調に喘いできた投資家は「お金」の余っているマーケットを探しており、日本に焦点が当っている。
「お金」が余っている状況からしても「円安」は必然の成行でもあり、あとは日本人がどこまで「インフレ税」に耐えられるか。
「値上げは嫌だけど、給料は上がって欲しい」
色々形を変えてこういう主張を目にするが、これは虫が良すぎる。「お給料」が上がって欲しければ「値上げ」は甘受すべきだし、「値上げ」が嫌なら「お給料」は我慢するしか無い。いずれにしろ与えられた "REAL" (現実)に対し、出来る事を実行していくだけ。
7月からは電気代もまた月+1,000~2,000円上がるし「人手不足」による「お給料」の上昇傾向も続く。「インフレ税」の徴収元である「国」は今後も増税路線で「取り立て」の強化が進む。大金持ちのバフェット氏のまねは無理だが、ただ(円)「預金」をじっと持っているだけではじり貧必至。
「損切丸」を開始した4年前から言い続けてきてしつこいと思われるかもしれないが(苦笑)、家計の「資金繰り」は見直した方が良い。SVBの破綻劇では無いが「預金」を引き出して銀行が窮するぐらいにならないと彼らはJGBの買いを止めない。この馬鹿げた低金利を終わらせるのは日銀ではなく「預金者」になるだろう。そうなればいくら煮え切らない植田総裁でも動かざるを得なくなる。文句を言うのは他人依存に他ならず、政治家・官僚の思う壺。「お金」が陳腐化するのを座して待つよりまずは "行動" である。
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