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大暴れする国債市場(除. JGB💧)に振り回される株、FX、コモディティ。

9月米小売売上高(前月比)横ばい 予想+0.2% 前月+0.4% ← +0.3%
10月米ミシガン大学消費者指数(速報値)59.8 予想 58.8 前月 58.6 1年先のインフレ期待 +5.1% ← 前月 +4.7%
5-10年先のインフレ期待 +2.9% ← 前月 +2.7%

 一昨日(10/13)のNYダウが1,500ドルも動いたのにも驚いたが、まあ米国債市場の "暴れっぷり" も凄い。昨日も米小売売上高が弱め10年が@3.88%まで突っ込んだと思ったら、ミシガンが強くて@4.02%まで急落。ここまで来るともはや "言いがかり" (苦笑)。

 1~2年の金利上昇は顕著で、この水準だと11月FOMCは+1.25%(!)の「利上げ」になる。さすがにこれはちょっと…、となりそうなものだが、マーケットは疑心暗鬼に覆われており、完全に否定もできない状態。パウエル議長があまり信用されていないことの裏返しでもある。

 これに "付き合わされている" 株FX(外国為替)、コモディティ(商品)も大変だ。これだと米国債の売買を手掛けた方がシンプル(?)。

 原油価格サウジアラビアの採算分岐点が@80~83ドルというから、アメリカと正面斬って喧嘩するつもりはないだろうが、「戦争」云々というよりも「生き残り」に必死。(どこかの大統領も含め)「大金持ち」というのはどこでも我が儘。絢爛豪華な生活を捨てることが出来ない。

  "大暴れ" という意味では英国債も負けていない。いや、米国債以上だ。BoE( Bank of England、英国中銀)の国債買いオペ増額発表10年は一時@3.88%まで急騰したが、その後財務大臣が罷免されて米国債の動きに連れるように@4.31%まで急落。いやはや...。"Crazy Sterling" 再び。- 英ポンド急落が示唆する「金利差相場」の嘘。|損切丸|note である。

 それでも市場が動いている分、まだ救いはある。こんな中異様さが際立っているのが ”孤高のJGB(日本国債)” 。もうこれは一種の固定相場だ。

 元々時価会計や相場の変動を嫌う日本の政治・官僚機構にとっては都合がいいのかもしれないが、マーケットはそんなに都合良く出来ていない。本来金利の上昇という形で逃がさなければいけない圧力を閉じ込めてしまったために、歪みがFXに現れている。それが今の「円安」

 3兆円の「ドル売り介入」でドル円を一時的に▼5円落としても、その後日銀が+3兆円JGBを買えば「円」の需給はトントン。当然相場はゴムのように戻ってくる。そこへドル金利の上昇が加われば、もう@150円寸前

 「ドル」はFRBによってどんどん「回収」されているわけだから、市場に溢れている「円」も同程度「回収」しなければ「円高」方向に戻るはずがない。難しい算式など無く、単純な足し算引き算だ。少なくとも「国債無制限買取オペ」を止めない限り、この流れは止められないユーロが円ほど売られないのは、曲がりなりにもECBが「回収」しているからだ。

"ごみ処分場で食べ物を探す人も、インフレ率100%見通しのアルゼンチン"

 このニュースを見てぎょっとした。日本人は他人事のように捉えがちだが、それ程 "遠くの事" でもない

 「アルゼンチンのパラドックス」

 首都ブエノスアイレス“南米のパリ” と呼ばれ、20世紀はじめに "加速度的な経済発展" を遂げたアルゼンチン1913年までに1人当たり国民所得で世界十指に入る裕福な国になったが、その後 "加速度的に凋落" したことが経済学の研究対象になっている。

 「円安を利して観光立国・日本を目指す」

 一見正論のようにも映るが、これも危険な発想。筆者にはアメリカ、イギリスの前の覇権国家・スペインとイメージが被るアルゼンチン同様、 ”凋落” に苦しんだスペインが選んだ道が通貨「ペセタ」安を生かした "観光立国" 。だが観光が国民経済に及ぼす影響は高がしれている。国内産業の育成を怠った結果が今のスペインである。

 ワークマン 土屋哲雄 専務取締役 :
「円安って、国に対して危機的な状況でございますから、円安が国にとって良いはずがない。輸入依存の国ですから、円安に対しては、ちゃんとした方針を持って強力な対策を打たないといけない」

 ファーストリテイリング 柳井正 会長兼社長 :
「構造的に転換しないと駄目でしょう。もう小手先のお金を配ることだけ、こんなことでいいんですかね」

 業績が伸びている企業のトップの発言は的を得ている。共通しているのは ”危機感” 。例えば現政権が打ち出した「電力対策」2兆円もの「補助金」を電力会社に出すというが、元は我々の税金だ。目先電気代が下がっても、結局 「請求書」が回ってくる。またまた「先送り」の発想であり、柳井さんが言っている "小手先のお金を配ることだけ" そのもの。電気代が上がっている根本原因である「円安」には何の対策もしない

 「損切丸」もさすがにカッカしてきたが(苦笑)、このまま本当に何もしないつもりなのだろうか? 目先の「お金」ばかりに拘っていると「インフレ税」で借金を減らせる財務省の思う壺。結局は「現状維持」「先延ばし」「前例踏襲」を好む選挙民が多いということなのだろう。

 「政治のことはわからない」

 「戦争」「召集」のことを聞かれた若者が彼の地でインタビューに答えていたが、これは日本にも当てはまる変えられないことに対する絶望感。老人ばかりが増える人口動態のこともあるが、アルゼンチン、スペインの背中が見えてきている現状、「円安」の発するメッセージをもっと重く受け止めるべき政府自身が「投機的動き」などと的外れな発言を繰り返しているようでは危機は増幅する一方"構造的に転換" しない限り、 "加速度的に凋落" するのは免れない。危機感の高い順にこの国から逃げ出すことになる。

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