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勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険

 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁:「夏休み前に2回の利下げを行うのが適切で、年内に4回の利下げを行うのが妥当」
 カザークス・ラトビア中銀総裁:「今後数回の会合で利下げ開始が決定される可能性がある」
 ビルロワドガロー・フランス中銀総裁:「恐らく春に利下げを行うだろう。欧州の春は4月から6月21日までだ」

 もうECBは完全に「利下げ」前のめり。全くこの人達は何を言っているのだろう。どうもきっかけは天然ガス価格の急落のようだが正直腹が立つ。そもそも「戦争」の引金になったのはロシアへの過剰なエネルギー依存。アメリカからバカ高いガスを買わされてイライラしているのは判るが自業自得。そう考えるとメディアを使って「停戦」へ導こうとしているのは見え見え。舌の根も乾かぬうちにロシアと手を結ぶのではないか

 ヨーロッパはいつも勝手が過ぎる。スキー競技では日本の躍進が気に入らず突如ルールを変更したり、「脱炭素」を掲げてトヨタのハイブリッドを潰そうとしたり(結果はディーゼル同様失敗)。今でも自分達が "Top of the World" 、いわば「お金持ち」の傲慢だ。今回の「利下げ」騒ぎ然りで、表向きは ”綺麗事" ばかり並べ立てても、結局全て "下民" に押付けようとする

 ただマーケットはそういう "驕り" を嘲笑うかのように 想像以上にしつこい「インフレ」|損切丸 (note.com) で金利は反転上昇している

 2024年に入って「損切丸」はずっと懸念してきたが、FRBの「利下げ」の雲行きが大分怪しくなってきた。今や年内▼0.5%も風前の灯火

 欧米ともに ”ご都合主義” の「利下げ」前のめりは「スタグフレーション」への一本道。更に ”もしトラ” が現実化すれば事態は最悪金融・財政で「お金」をばらまくのは確実で1970年台の「高金利時代」=政策金利が@8~10%に高騰の悪夢も有り得る(個人的にはあまり想い出したくない)

 どれだけ銀行が国債を買って「利下げ」運動を起こしても、3京円もの「法定通貨」がばらまかれては 「金利」の ”磁力” |損切丸 (note.com) が足りない。じわじわと金利上昇が続くのはそのためで、まさに ”通貨価値の下落” ≓「インフレ」

 「過剰流動性」が生んだ "怪物" ビットコイン|損切丸 (note.com) やWTI(NY原油先物)を見ていると感じるが、ちょっと調整で下げてもすぐ「買い」でぶり返す元々だぶついた「お金」をNYダウやナスダックに突っ込んでいたがそれも上値追いが難しくなり、e.g., 「アップル」「テスラ」株の下落傾向、日経平均や独DAXに回ってきた。やはり「中国」に「投資」できないのが響いていて 世界は「過剰流動性」中毒Ⅲ ー  それでも彷徨い続ける「お金」|損切丸 (note.com) は深刻

 そう言う観点から ”流動性のアンカー” 日銀の「利上げ」に「インフレ」「スタグフレーション」阻止を期待したいところだが、たかだか「マイナス金利解除」をメディアに何度も何度も観測気球を上げてマーケットの反応を探る辺り、その "脅え" ぶりは尋常ではない。 もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) は理解するが、これでは次の「利上げ」にあと何ヶ月(何年?)かかるやら…

 特にQT(量的引締)に関してはFRB、ECB、日銀とも慎重「コロナ危機」で「過剰流動性」が+100兆ドル(≓ 1.5京円)以上追加されたと推計され、既に「インフレ税」は発動。物価の程度の差はあるにしろ国民生活は困窮を極めている。これは何も日本だけの現象ではない

 これを「正常化」するには少なくとも▼50兆ドルは「回収」しなければいけないが、2023年にFRBが▼1兆ドル「回収」しただけで株式市場は大騒ぎ日銀の「マイナス金利解除」もそうだが "中毒患者" の拒否反応は強い

 日本でも「消費税廃止」を訴える政党やその支持者がいるが、これは「バラマキ」そのものであり、おそらく「インフレ」「円安」を加速させるだけで生活はもっと苦しくなるECBの「利下げ」もそう。目先のカンフル剤にはなろうが、かえって病状を悪化させるだけ

 だが「歴史の必然」で考えると結局人は ”ポピュリズム” に流れる刹那的に "楽な今" を追うと "倍返しの苦" が待つ。いきつく所は「戦争」

 筆者が気になっているのは上昇が止まらない「ルーブル金利」と中国の「不良債権」。いずれも代表的独裁国家だ。前者は選挙があって "戦況は有利" と喧伝しているが、金利が示す "FACT" は経済的苦況余っているはずの「お金」が回らないどころか逆流している

拙速な「利下げ」+日銀「利上げ」の遅れ+ ”ほぼトラ” →「スタグフレーション」→「デフォルト」頻発+金利急騰 → 株式市場暴落「戦争」?

 これが筆者の怖れている「最悪のシナリオ」だが、現状を見ると確率は20%以上。問題はいつ起きるのかという時間軸感情等人間的要素が入らない "マシーン" =AI は「買い」でも「売り」でもとにかくしつこい。かつてなら6ヶ月で終わったラリーを1年、2年と引き延ばしている。果たして今は山頂への5合目なのか7合目なのか。筆者は「金利」を ”炭鉱のカナリア” として見つめているが、来週日銀の判断は大きな意味を持つ。要注目

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