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続・銀行が潰れるとどうなるのか? ー 「イールドカーブ取引」に振り回される米国債市場。

 ある程度覚悟はしていたが米国債市場のボラティリティー(変動率)が凄まじい特に2年以内の短期金利。某・GXXXMXXのエコノミストが「3月FOMCでの利上げは想定しない」というようなレポートを出していたが、こういう "乱打戦" はまさにユダヤ式の真骨頂。本当に "上手" だ。

 この雰囲気の中、確かに短期ゾーンを買いで仕掛けられたら売り向かうのは難しい2年は@4.5%台から@4%割れまで突っ走り「利上げ」継続の "予定調和" は崩壊怒濤の「踏み上げ」が相次いだ。

 筆者も何度か経験しているが、これはもう理屈ではない極端に言えば3月FOMCで+0.25%「利上げ」があるかどうかさえ関係なく、ひたすら「損切り」の嵐が吹き荒れる。特に「イールドカーブ取引」が鍵を握る

 筆者のように痛い目にたくさん合うと、短期的な相場の振り回しに影響されずじっくり保てる取引手法を探すようになる。結果たどり着いたのが短期と長期の売買いを組み合わせる「イールドカーブ取引」だ。

 理屈はこうだ:*「利上げ」局面では中銀が積極的に動くことによって短期金利は上昇するが「インフレ」は抑えられるため長期金利は相対的に上昇が抑えられる。だから米国債なら「2年売り+10年買い」あるいは「2年売り+30年買い」のような「フラットニング」(平衡化)「インバート」(逆イールド化)ポジションを取り、金利差が開く方向に賭ける。

 逆に「利下げ」局面では「2年買い+10年売り」のようなスティープニング(傾斜化)が教科書通り。場合によっては2年近く保有可能な長期ポジションだ。ただ気を付けなければならないのは「利上げ」「利下げ」とも最終局面では大きな巻き戻しが起きる。また「利上げ」「利下げ」とも予想外に変更幅が大きくなったり、逆に政策変更のスキップもボラティリティーを上げる。今回はSVB(シリコンバレー銀行)ショックがトリガー。

 今回も順調に「利上げ」が進み、2-10年スプレッドは▼90BP=▼0.90%近辺まで拡大していたがここで一気に▼40BP台まで急縮小。この「インバート」ポジションの「損切り」相場を大荒れにしている。この状況で2年米国債を売りに行けるのは実際に保有している "リアルマネー" だけであり、「損切り」が終わるまでもう少し混乱が続くだろう。

 やはりこういう混乱相場では 「弱いところを攻めろ!」 ー 「資金繰り」が決め手の「信用格差」。|損切丸|note がマーケットの常道。例えば邦銀だとSVB同様ドル債を保有して金利上昇による損失という連想が働きやすい地銀株が売りの対象になったし、同じように暗号資産投資をしている財務体質が弱い投資会社や欧州だとイタリア株が狙い撃ちにあった。

 だが冷静に見てみるとNYダウは直近安値、e.g., 2022.9.30 @28,725.51、を割りこんだわけでもなく、高値に張り付いていたドイツDAX指数も@15,000. -を割った程度年初の過大な「利下げ」期待で持ち上がった分が剥げ落ちたに過ぎないこれで「金融危機」はさすがに騒ぎ過ぎ

 銀行が主導する米国債市場と株式市場にはかなり温度差があるとはいえ、FRBが一旦様子見で「利上げ」をスキップする選択肢は存在する。あとはそれによって生じるであろう「インフレ」のぶり返しとのバランスをどう判断するか。 下されたパウエル議長の「鉄槌」。 ー「都合」と「現実」の間で。 |損切丸|note に対し、今回の米国債市場の大暴れは「利上げ止めろ!」の大合唱であり、完全に銀行の「都合」優先「モラルハザード」(倫理の欠如)ここに極まれり、である。

 ” 「株価」と「インフレ」とどちらを取るか"究極の選択" を迫られる場面が今後出て来るかもしれない”

 「金利」のパラダイムシフト。ー "エセ" 「逆イールド」崩壊の序曲。|損切丸|note の中でこういう書き方をしたが、予想だにしなかった「灰色のサイ」が草陰から突然現れて、思ったより早い対応を迫られた。過度の楽観は禁物だが、FRBとしては銀行の「資金繰り」などを精査しつつ、適切な対応を図ることになる。

 半年後の影響を考えるとここまでせっかく「インフレ」抑制で「利上げ」してきた事が台無しになるリスクもあり、NYダウの@30,000ドル割れ、ナスダックの@10,000ドル割れのような緊急事態にでもならない限り、3/22 FOMCで+0.25%「利上げ」する可能性はまだ結構高い

 しかし米銀がダダをこねているような米国債市場を見ていると、投資銀行の凋落を感じる。数多の「金融危機」を見てきた「損切丸」的立場でいうと、今回の事態は「危機」には程遠い米銀の「都合」満載の米国債の買い戻し=金利低下も動きが急だっただけに、その反動も大きくなる株やFXにも影響が波及するだろうから、不要に踊らされないように。

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