もう「利上げ」停止? ー 興味深いFOMC@7/27へのマーケットの反応。
昨日のFOMCでは予想通り+0.75%の「利上げ」が実施されたが、その後のパウエル議長の記者会見(下記抜粋 ↓ )に対するマーケットの反応が興味深かった。
これを「利上げは峠を超えた」と大方の市場関係者は解釈。「利上げ」予報では "@3.5%で停止" になっている。
株式市場は諸手を挙げて大歓迎。NYダウ、ナスダックに加え、ビットコイン(BTC)も急伸しており、ウォール街は "万歳三唱" (苦笑)。
確かに直近の米住宅指標は悪化が目立ち、パウエル議長を心配にさせるには十分だったろう。 ↓
だが米国債市場の反応はひと味違う。「損切丸」同様、パウエル議長に対してはかなり "辛口" だ。米国債の表面金利だけ見ているとあまり動いていないように見えるが、①イールドカーブと②物価連動債(TIPS)を見ると、随分違う風景が広がる。
FOMC前後(7/27,7/28 ↑ )の名目金利をご覧頂きたい。2~10年の ”逆イールド” はフラットニング(平坦化)し、10~30年スティープニング(傾斜化)している。
これをもっと如実に現しているのがTIPS ↓ 。FOMC前に@2.58%だった5年BEI(予想物価上昇率)は約@2.69%に上昇。「インフレ」再加速を示唆している。つまり議長を信用していないということ。
やはり2021年の「インフレは一時的」発言が脳裏に焼き付いて離れない。元・弁護士のパウエル議長を責めるのは可哀想かもしれないが、今や「金融政策の失敗」は誰の目にも明らか。続・ ”バイデンフレーション” の衝撃。ー 意外な「日経平均」の健闘振り。|損切丸|note の責任は免れない。
「今回も大統領中間選挙を見据えた政治的配慮ではないのか…」
そう思われても仕方が無いところ。それほどマーケット、特に米国債市場の不信感は根深い。実際、せっかく下がりかけた原油価格もWTIが@98ドル台後半まで戻し、小麦なども反騰している。「また同じ過ちを繰り返すのか」。疑心暗鬼になるのは当然だろう。
とはいえ、「金利」より「量」。 ー FOMC@5/4より。|損切丸|note で「QT」(量的引締)は今後も続行されるので、引き続きコモディティ(商品市場)や住宅市場など「現物市場」の動きは注視していきたい。
ただ*政治に過度に忖度した金融政策が失敗に終わるのは、この日本が証明済み。直近の「XXXミクス」然り、「バブル」の誘因になった「円高対応」の不要な「利下げ」然り。ろくなことにならない。
猛烈な批判を跳ね返して「利上げ」(1994.2~)を敢行したグリーンスパン元・FRB議長や「ゼロ金利解除」に踏み切った福井元・日銀総裁のような果断な金融政策が望まれるが、それも時の政権のサポート(クリントン大統領、小泉首相)あってこそ。今の「バイデンーパウエル」コンビには無理。昨日(7/27)のTIPSの動きを見ているとそういう思いを強くする。
ウォール街を筆頭に「利上げ」停止は一時的には歓迎されるだろう。選挙対策としては "有り" かもしれないが、結局最終コストを負うのは国民だ。「インフレ」に関しては、マーフィーの法則通り、e.g. 「失敗する余地があるなら、失敗する」「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、絨毯の値段に比例する」、ではないが、あまり良い結果になりそうにない。生活者としては心してかかるしかなかろう。
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