消えた(?)「中国」のソブリンCDS。
「あれっ、 “China” の表示が消えてる...。」
「損切丸」では国債の「実質金利」を正確に計るため、5年CDS(Credit Derivative Swaps、信用リスクを計るためのデリバティブ)を加味しているが、今朝(12/3)いつも参照しているスクリーンから “China” が消えた。
これまで日米欧と “同様に” 推移してきた中国のソブリンCDS。だが実は今回 ”消える兆候” もあった。他国の値は変わるのに、ここ2週間ほどスクリーン上のプライスが不自然に ”48.88” で止まったまま。
このCDSをベースに「中国国債」の「実質金利」はダントツの1位をキープ。e.g. 10位 トルコ 10年 名目@21.25% → 実質@▼3.66%。だがこれも考え直さなければなるまい。
そもそも「中国」のソブリンCDSが本当に取引されるのか、 ”疑念” もあった。中国恒大の「デフォルト」問題もそうだが、普通利払いが1日でも遅れれば破綻認定されることもある。だが、政府の介入でその可否はうやむやになり、 ”潰れているのに潰れていない” おかしな状況が続く。
CDSは売買できるデリバティブの形を取っているが、そもそもは「保険契約」の一種、いわゆる「破産保険」である。企業や国家が破綻した場合、CDSの売り手は受け取ったプレミアムの対価として損失補償をする義務を負う。雛形になるのがISDA(International Swaps and Derivatives Association、国際スワップ・デリバティブズ協会。本部@ニューヨーク)で、「法律」に則って条件や賠償内容が詳細に決められている。
だが中国恒大の件といい、アリババの件といい、*政府の一存で巨額の罰金が課せられたり、突然CEOが辞任するような国に「法律」を適用できるはずがない。5年前なら資本主義のルールが適用できるという「幻想」も成り立ったかもしれないが、専制社会主義が先鋭化している今はもう無理。
CDSの件を考えていてふと思い出したのが、2ヶ月ほど前のウォール街による「中国株買い推奨」の大合唱。「中国」で一儲けしたいから、ということもあるだろうが、筆者が真っ先に疑ったのは「売り逃げ」。実際香港ハンセン指数( ↓ 1年チャート)に代表されるように、直近の「中国株」はボロボロ。経済的影響の大きい日経平均、KOSPI指数(韓国)も不調のまま。
米国での株式上場についても中国企業に厳しい要求を突きつけており、事実上閉め出している。ウォール街は米国政府の意向もよ~く知っており、実際は「ドル囲い込み」が進む。未だ「実質ドルペッグ」の「中国」にとって、この**「お金」の遮断はかなり痛い。今回CDSの価格表示が消えたのも「中国離れ」の一環かもしれない。
表向き強気を崩さない「中国」だが、実際はかなり追い込まれているのではないか。「ドル包囲網」に加え、半導体やIT技術を押さえ込んだことでスマートフォンなど中国電器メーカーの売上も頭打ち。自動車販売も急減している。この辺りは過去に日本のメーカーがやられた “苦い記憶” も蘇るが、やはり***アメリカは手強い。
だが「中国」もやられっぱなしではない。台湾に戦闘機を飛ばし、ロシアと共に戦艦が日本をぐるりと一周。「脅し」はむしろエスカレートしており、ロシアのウクライナ侵攻の動きも示し合わせたものだろう。
忘れてはいけないのは「不良債権」という「時限爆弾」。表向き騒ぎが収まった様にも見えるが、時間の経過とともに状況はむしろ悪化している。ロシアも国内の経済状況はかなり悪いと漏れ伝わってくるし、追い詰められて「外」に向かうのは専制国家の常套手段でもある。
あまり「インフレ」や「変異株」ばかりに気を取られていると、巨大な「灰色のサイ」が突如姿を表すかもしれない。個人で準備できる事は限られるが、いざと言う時のために ”最悪の事態” は頭の片隅には入れておきたい。最近 ”不気味さ” が益々増していると感じる。
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