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走り出した日経平均。

 「損切丸」同様、今日(2/8)の日経平均の急騰を見て驚いている方もいるのではないか。何と一時+600円高(13:30現在)。アジアでは香港、上海、韓国等が小動きの中、DJ先物も+$100程度30年ぶりに@29,000円を超えた勢いもあるが、ほぼ独歩高と言っていい。一体何があったのか。

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 決算発表を10日に控えたトヨタが相場をリードしているらしいが、それは日本の主力銘柄を買っているという事実を代表しているだけだろう。

 キーワードは「変化」ではないか

 一見関係ないように見えるが、今回の「女性蔑視発言問題」に対する日本社会の「変化」が象徴的だ。興味深かったのは、発言したM会長と同等に会議の参加者から笑いが漏れていたことが強く非難されていること「黙っているのは認めたと同じ」「失われた20年」で見られなかった「変化」だ

 2020.12.29.「10年間、変わろうとしなかった日本。」↓ でも書いたが、いわゆる外国人が長らく日本株にそっぽを向いていたのは「変化」が期待できなかったからだ。「変化」しない企業は価値が上がらない、というのが彼らの基本的な考え方。日本企業の技術力やポテンシャルは認識されていたが、企業価値の上昇が見込まれない状態が長く続いた。

 それがここに来て「コロナ危機」が隠れていた様々な ”真実” を炙り出したGOTOキャンペーンからの「会食問題」しかり、オリンピックの中止問題しかり。頼りにしていた為政者が実は自分達のことをまるで考えていないことに国民のほとんどが気付いてしまった。皆黙ってやり過ごすのを止めたのである。ネットSNSでも「次の選挙で」的な発言も目立つ。

 今振り返ればバフェット氏が日本の商社株を買うと決めたのも、実はこういう「変化」をいち早く嗅ぎ取っていたからかもしれない。海外の投資家にとって「変化」= Challenge は実に大事な要素だ。やっと「眠れる技術大国・日本」に目を向けるきっかけになったはず。中途半端に蓄えがあると開き直れないものだが、ここまで追い詰められてようやく目覚めた。

 「K首相は良いよね!」

 筆者の元・ボスは日本に来る度にそう言っていたのを思い出す。「郵政解散」を仕掛けて「変人首相」と揶揄された "あの人” のこと。日本人には珍しく物事をはっきり言いきるので、とにかく海外投資家に人気があった。実際彼の後ろ盾があって日銀は「ゼロ金利解除」が出来たわけだし(実際そういう話を聞いた)、ある意味「日本が変わる」と期待されたのだろう。

 あれから15年余「アベノミクス」なる政策で株に80兆円近く直接投入してもなかなか上がらなかった日経平均が、「女性蔑視問題」反対のムーブメントをきっかけに「走り出す」のは何とも皮肉。やはり政策は「お金」の「量」ではなく「質」=中身、日本的に言えば「筋」を通すことが大事だ。

 「ゼロ金利解除」にはまだまだ程遠いが、ようやく円金利も ”雪解け” の兆しが見える。「お金」不足の日銀も腹を決めたような節もあり、ETFなどは「市場機能阻害論」を持ち出して ”アドバルーン” を上げ、近い将来の売却も視野に入れ始めた。米国債金利もタイミング良く上昇して円安基調になってきたため、JGBが多少売られて金利が上昇しても格好が付く

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 一気に「インフレ」とはいかないかもしれないが、米国債のBEI ↓ が示すように世界経済の体温は高まりつつある冷え切っていたヨーロッパにもCPIの上昇等、支援材料が追随しているのは心強い。

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 イールドカーブは ”超” スティープ化(傾斜がきつくなる現象)。30年債で「名目金利」がBEIに追いついてTIPSがゼロに近付く展開を予想する。

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 歴史が証明するように「危機」は経済構造の大変革をもたらす。特に長年「変化」の少なかった日本で顕著になるのは、まあ当然と言えば当然だが、東北大震災の時と違い今回は強い「自立の意志」が国民に顕れている

 「つべこべ言わずにやれ!」「まあみんなで仲良くやろうや」

 こういう「昭和的」な時代はもう終わり「走り出した日経平均」- @30,000円はすぐそこだ!

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