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「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ12 株式編②

 <値動きの真実-どれだけの要素が今の株価に織り込まれているのか>

 株式市場に限らず、どこの市場もプロがいて様々な材料を元に日々取引を行っている。

 例えばある企業の「好決算」が出てそれで株価が上昇した、と言うような記事を良く目にするが、事実はちょっと違う。このケースでは、おそらく発表された決算の結果が事前予想を上回ったのであろう。同じ「好決算」でも実際の発表値が事前予想を下回った場合、結果は逆になるであろう。(なぜかすういう時メディアは沈黙するのだが...)。

 何人か知り合いの記者さんと話をした事があるが、特に大手メディアは原則確定した既成事実を記事にすると言う。つまり全て「終わったこと」。未来予測に基づく記事は稀だ。記者によっては十分相場を理解していない場合もあるし、彼らにも事情があろう。

 「市場」とは未だ不確定な見通しや「将来価値」に関する材料を消化しながら価格形成をしていく場であり、単なる過去の実績値だけ積み上げても値動きには影響しない。強いていえば、新聞記事などに触発されやすい市場参加者の動きを読むために敢えてプロは新聞を読む。

 なんとなく株でもやってみたがなかなか儲からない、という方もいらっしゃるのではないだろうか。それは誰かに逆を取られているのではないか、疑って見た方が良い。株はそれ程シンプルではないと思う。

 <私だけが気がついている?>

 好きな商品を売っている会社の株を買うのも一つの考え方ではあるが、実はここが難しいところ。その商品を見い出したのは自分だけだろうか? もしそうなら今後その商品がヒットして会社の業績が向上し、買った株価が上昇していく事もあろう。だが、もしその商品の良さが既に世の中に浸透してしまっていて自分が後から気付いただけなら、株価の上昇余地は限られる。

 ここでもやはり「既成事実」と「将来価値」が見極めのポイントになる。市場取引とはその時、その時の適正価格を探る作業の繰り返しなのであり、プロはそういう事に日々凌ぎを削っている。

 筆者は個人的にわからないものには手を出さないことにしている。株は適正価格を見いだすのが極めて困難なので、正直あまり得意ではない。それでもチャレンジしたい方は十分納得した上で正しい「勇気」を持って果敢に取り組んでみて欲しい。

 確かに儲かる事もあろう。しかし、十分な検証もせず闇雲に突っ込むのは「勇気」ではなく単なる「無謀」である。それでも運良く儲かることがあるかもしれないが勝ち続けることは難しい。「無謀」の結果損したとき、そこからはおそらく深い後悔しか生まれない。

 其ノ13は金融機関で蠢く大きなお金の動きについて。実例を交えて。

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