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続・我々は今「インフレ税」の真っ只中にいる。 ー 冷徹な「インフレ税」続行宣言。

 我々は今「インフレ税」の真っ只中にいる。 ー 3京円もの「借金」を抱えた "財務当局" の狙いとは。|損切丸|note の続編。

 ”日銀、指し値オペは連日続行へ”

 「損切丸」も予想が甘かった。「官僚」の非情さについては ↑ 前稿でも触れたが、この決定についてはビックリを通り越して空恐ろしくなった。やはり「省益」>「国民益」冷徹な「インフレ税」続行宣言だ。

 現政権は経産省寄りの前、前々政権と違って財務省寄りと評価されているので、この辺り財務省、日銀とは話がついていると想定できる。ドル円は一気に@130円に迫る展開となったが、当然だろう。*「円安」も含め今後も「インフレ税」の徴収は進み、1,200兆円に及ぶ「国の借金」を減らしていく考えだ。アメリカのようにもっと足元の物価上昇が激しくなり、庶民から悲鳴が上がるまで金融政策の変更はないだろう。

 今は大戦後のように「預金封鎖」50%もの「財産税」をかける事ができないので、こういう「低金利」+「通貨安」+「インフレ」の形で徴収するしかない。70年以上経つが、こういう「広く浅く取る」という「国」の性質はそうそう変わるものではない。

 ではこの「インフレ税」、止める方法はないのか。実は最も効果的な方法は我々庶民の側にある銀行に預けている「預金」を引き出して「日本円以外の資産」に変えることだ。「円安」はその事を先取りして動いている

 3月末の「日銀バランスシート」 ↓ を見てみると:

 「国債」526.2兆円を買い支えるために「当座預金」563.2兆円が大きな役割を果たしている。この「当座預金」銀行等の金融機関が日銀に保有している口座であり、元は我々の「銀行預金」。つまり現在の日銀による ”大規模金融緩和策” を実現可能にしているのは、何の事は無い、我々「国民」ということになる。この国の「預金・貯蓄信仰」が続く限り、日銀・財務省は安泰であり、「インフレ税」をかけ続けることができる

 これは元・銀行の「資金繰り」担当者としての意見だが、一番怖いのは「ゼロ金利」のまま置きっ放しの普通預金や定期預金が突然出て行くこと。兆単位で減少すれば、その分市場で調達しなければいけなくなる。その結果、日銀「当座預金」の預け額が減れば、日銀にも資金不足が生じる。これはTONAR(無担保コールO/N)等の「金利上昇」として現れる

 この「通貨安」を伴う「インフレ税」政策キャピタル・フライト(資本流出)を招く怖れがあり、実はとても危険だ。最近ではブラジルトルコが経験しているが、行き過ぎれば「ハイパーインフレ」で国民生活が困窮し、通貨防衛のために「高金利政策」を強いられる10%を超える二桁金利になれば金利コストが嵩み、景気が悪化して更に「通貨安」の悪循環

 「国の借金」(省益)>「国民生活」(国益)

 今回の「指し値オペ」毎営業日実施でこの点が確認された。やはり「国」は恐ろしい。残念ながら「現金」「預金」は ”半殺し” になるだろう。頑張って働いて「お金」を溜めても「国」に「インフレ税」で持って行かれる結果になり、生活は苦しくなる一方。もっとも官僚に言わせれば、いずれにしろ+20~30%の増税で徴収されるのだから同じ、という考え方になる。

 この「インフレ税」をもっと大規模に展開しているように映るのが「中国」。こちらは日本の5倍以上の7,000兆円を上回る「借金過多」で、しかも不動産を中心に多額の「不良債権」を抱えている。

 このところ 続・「人民元」がおかしい。 ー  ”クラッシュ” の足音。「元安・株安・国債安」は起きるか。|損切丸|note 「人民元安」「国債金利高止まり」を放置しているのは、おそらくこの「借金」処理のため。こちらは最早「徳政令」的な "借金棒引き" が必要なレベルであり、どこへしわ寄せがいくのかマーケットは固唾を飲んで見守っている「請求書」は日本やアメリカに回ってくる懸念もある「円安」と共に「人民元安」も進み、一気に@6.6000台に突入

 「インフレ税」という意味では、もっとも徴収が進んでいるのがアメリカで、生活の圧迫感は半端ではないお給料や金利が上がっても物価上昇に追い付かないだろう。ヨーロッパ「エネルギー価格上昇」で取られているのも同様で、「脱炭素」+「反グローバリゼーション≓サプライチェーンの分断」コストが世界中で課されている裏側は3京円にも及ぶ「借金」だ。

 「日本円以外の資産」という言い方をしたが、実は通貨の選択は悩ましい。例えば「米ドル」は名目金利が高い分「インフレ率」も高く、「実質金利」では「日本円」より有利とは言い切れない。ただ、アメリカでも日本でも何の対策もせずに「お金」を持ったままだと多額の「インフレ税」を取られるのは確実。まずは生活面で必要な耐久財などを前倒しで買うなど対策をし、それでも**「お金」が余るなら「外貨運用」等を考えた方が良い。

 **個人的意見だが、1つ注意したいのは株、特にインデックス運用。銘柄を吟味すればありかもしれないが、続・さあ、"本番" はこれからだ。 ー  "QE"(量的緩和)→ テーパリング → "QT"(量的引締)で「お金」はどう動くのか。|損切丸|note 。今は2018~2020年前半に「過剰流動性」で膨らんだ価格に大幅訂正が起きている過程30年後に株価は戻るかもしれないが、その間+5%のインフレが続けば株価は2.5倍で運用益ゼロ
「押し目買いすればどうせ戻るでしょ」は "幻想" である。

 苦言ばかりで恐縮だが、「パンデミック」「戦争」50年、100年に一度の出来事が立て続けに起きており、相場が困難を極めるのはやむを得ない。そしてこの歴史的相場の教訓として肝に銘じなければならないのは「国は何でもできる」ということ。我々一般庶民に出来るのは、その「国の意志」を逆手にとって利用することしかない。

 「通貨安」はその1つであり、あとは我々自身の行動にかかっている1,000兆円もの「預金」の大移動が起きれば、日銀に関係なく日本国債をはじめとした円金利は急上昇する。それは「新しい日本」の象徴となるだろう。「清貧思想」や「預金信仰」は捨てるべき時に来ているが、さて日本人は「国」を動かす事ができるだろうか。長年の(淡い)期待も込めて。

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