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続・「FRBの総意」=「@4%」。「利上げ」の鍵は「雇用コスト」。ー FXでは「通貨安競争」が激化。

 「FRBの総意」=「@4%」。「利上げ」の鍵は「雇用コスト」。 ー ”買いたければ売れ” 。|損切丸|note の続報。9/2の米雇用統計発表後に note. しようと "予定" していたが、「損切丸」同様、みんな気が早いというか、何というか...(苦笑)。まあ筆者としては相場 ”勘” がそれ程鈍っていなかったということで…ほっと一息。

 米国債が売られ「金利水準」の上方修正が起きている。まあ「ジャクソンホール」前後でFRB理事達から次々と「タカ派」発言が相次いでおり、「米景気減速でFRBが利上げ停止。その後利下げへ」は雲散霧消「FRBの総意」=「@4%」は間違いなさそうだ。5年超の米国債金利は6月に付けた「高値」まで戻している「利上げ予報」も徐々に「@4%」に接近。

 こういう時、金利の投資家、トレーダーは中央銀行に逆らわないのが鉄則。事実、この急激な金利上昇過程でも "リアルマネー” の買いはほとんど見られない。あれほどベンチマークになっていた「@3%」は、今や「押し目買い」の水準ではなく、いわば「下限金利」完全にマーケットの目線は変った。もし米国債投資をするなら、せいぜい1~2年債が「@4%」接近してから。長期債にはほとんど手が出なくなる。

 この状況だとNFP (Non-Farm Payrolls、非農業部門雇用者数)が+20万人を上回っても市場は ”織込み済み” になる可能性が高い。だが逆に弱い数字が出ても、金利が低下に転じる可能性も低い*「雇用コスト」上昇の根は深く「インフレ」解消には時間がかかる

 *アメリカの求人倍率はほぼ@2倍平均時給は優に@2,000円を上回っており、職種によっては@4,000円でも人が集められない状況らしい。やはりベビーブーマー▼4,000万人の「穴」は大きく、加えてパンデミックの影響で海外からの ”出稼ぎ” が減っているのが痛い。特に敵対している中国。これは日本もそうだが、「サプライチェーンの再構築」で仕事も出せなくなっている上に「ゼロコロナ政策」で人も来ない。数が多いだけに影響は甚大。これが現在の「インフレ」の根っこにある。

 さて「金利上昇」が前倒しで進んだ分、株、FX(為替)も動いている。NYダウ、ナスダックなど株については一定の修正が既に起きている

 FXでもドル円は遂に節目の@140円を突破。マーケットは@145~150円を見始めている。「日銀総裁交代まで動かない」なんて呑気なことを言っている以上、日本側でこれを止める術はなかろうアメリカの景気減速を祈るのみだが、雇用の状況を見ると「利上げ」は簡単には止まらない

 日本人なのでドル円ばかりに目が行ってしまうが、実は他の通貨もこの「ドル高」=「自国通貨安競争」に参加している。年初来対ドルで▼22%安の「円」を追随するようにパリティ(等価)割れのユーロは▼13%安、ウォンも▼14%安で「円」を猛追

 これは自動車電気製品で考えれば自明だが、アメリカや中国に輸出する際に為替レートは決定的に重要ドイツ韓国にしてみれば「輸入インフレ」への懸念はあるものの、**対円で一方的に通貨高になるのは競争上不利になる。「利上げ」に動いている分、対円で+8~9%「通貨高」になっているが、為替政策上は考えものである。

 **この「通貨安競争」で蚊帳の外になっているのが「ルーブル」対ドルで1ドル=@60台とまさに ”最強通貨” の装いだが、”プロパガンダ” として以外は喜べない実質アメリカとの交易を断たれている状況で対ドルの為替レートなど無意味。仮に今輸出を再開しても、この異常な通貨高では円やユーロに太刀打ち出来ないアメリカと喧嘩中の「人民元」対円で年初来+13%高は競争上不利。これでは今でも苦しい国内の雇用、e.g., 大卒の25%が就職できない、は悪化する一方だ。ただこちらも不良債権による「資金繰り」問題に直面しており、簡単に「利下げ」に向かえない

 秋の「値上げ」シーズンを迎え、国内の自動車メーカーも続々と「値上げ」に踏み切るようだが、これも致し方なかろう。アメリカ中国で300万円で売れる車を国内で200万円で売るわけにはいかない。まして「需要の強い」アメリカでは更に「値上げ」が続きそうな気配だ。

 もっとも人を「雇用」する立場からすると、国内のリソースを有効利用する流れになりそう。***アメリカで時給@4,000円払うより国内で@2,000円の方が安い。場合によっては日本の従業員を海外へ派遣する事になる。

 ***これは外銀の東京支店なども事情は同じ。筆者が退職した2016年頃から既に動いていたが、例えばアジアのハブ機能をシンガポール、香港などから東京へ戻す蓋然性が高い。欧米企業は「お金」にはシビア「中国リスク」を考慮すれば、「香港→東京」の動きが最も激しそう

 こうした「円安」を起点とした日本回帰は「円高」要因になるが、これはおそらく上手くいっても2~3年かかる。果たして日本の政府、企業が打つべき手をきちんと打ってくるか。少なくとも政府は余計な事をしないで欲しい。****「国債無制限買取オペ」などもっての外(苦笑)。

 ****もっとも最新の「日銀バランスシート」@8/31を見ると、「国債無制限買取」にも関わらず、コロナ対策の「特別貸出」減少で2021年3月末よりサイズが縮小 ↓ 。見方によっては日銀版「QT」(量的引締)とも解釈できるが、もちろんこんな ”スティルス” で「円安」は止められない

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