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コロナ後の世界 Ⅱ - 続・これから起こりそうなこと。企業、お店の現場から。

 2020.4.28稿の時点で予想した例がこれら だが、まあ当たっている部分もあるが、まだこれから、という項目もある。

・マスクは1枚@100円、トイレットペーパー(6巻)は@1,000円に。

・(お弁当などの)割り箸がなくなって「マイ箸」持参が常識に。

・「100円ショップ」は「200円ショップ」に。

・@990円のシャツは@1,990円に値上がり。

・スマホは「Made in India」に。

・ジェネリック医薬品は減少もしくは廃止。

・観光、百貨店等インバウンド関連施設は縮小へ。カジノ構想は頓挫。

・国連の再編或いは分裂。拒否権を持つ5大国は見直し。

・国際機関の再編或いは分裂。WTO、WHOなどの”W"は”D"や”C"に(?)

・グローバルチェーンの再構築。内外価格差是正のため関税引上げ。

・D、Cとも独自のデジタル通貨発行へ。それぞれの陣営の基軸通貨に。

・観光ビザの厳格化(D vs C)

 今回は「お金」のことはさておき、生活の現場から企業や飲食店などの変化を考察してみようと思う。

 「コーヒーおかわり一杯無料サービス」

 筆者が良く行く飲食店(チェーン店ではない)で、2件立て続けにこのような看板が立っていた。よほど客の入りが悪いのだろう。それでも営業している店はまだましな方で、何件か馴染みのお店が閉店していた。結構気に入っていたので、利用者としてはちょっと悲しい。

 居酒屋もランチのお弁当を売り始めたり、中にはかき氷などを出す店まで出現してあれこれもがいてうる様子が伺える。予想していたとはいえ、いよいよサバイバルが本格化してきた印象だ。

 ここで今後の展開を3点に絞って考えて見よう。

 1.客単価 - e.g. 「ソーシャル・ディスタンス」コスト

 先日某コーヒーチェーン店に行ったら、座る席数がバッサリ半分になっていた。随分思い切ったことをするものだ。しかし考えてみれば、店内で飲んで貰わなくても売上や利益に影響はない。そこはドライブ・スルーもあるしコーヒーを持って帰って貰えば良いだけ。「コロナ下」のご時世、人の集まる店内よりも家で飲みたい人も多いだろう。

 この辺りは店内食を前提としたファミレス業界も同様の試行錯誤が続く。大手ファミレスは2020年上半期赤字に転落するところが相次いだ。緊急事態宣言解除後、6月頃から売上は持ち直しつつあるらしいが、その後売上、利益とも頭打ち。今後宅配やお持帰り増強、店舗形態を変えるなど「生き残り」を賭けた模索が続く。

 そもそも「ソーシャル・ディスタンス」維持のためには来店客数の減少は避けられないわけで、利益が出る「客単価」は上がらざるを得ない抜本的対策としては値上げが不可避だが、今はそれもままならない。

 2.仕入原価 ー サプライ・チェーン再構築、コロナ対応コストetc.

 現状は急激な消費減退から価格の下げ圧力が働いている。代表格は原油等のエネルギー関連だろうか。とにかく飛行機も飛ばないし、電車も車も動きが制限されているのだから、燃料の消費量は増えない。

 「コロナ前」の需要を前提に作られていたエネルギー・プラントは特にきつい。日本ではプラントを主導していた大手商社が軒並み大幅減益を余儀なくされ、米国ではコスト割れでシェールガス企業の倒産も見られる。

 しかし「原価」そのものを見ると実は価格上昇要因も多い。まずは「コロナ対応コスト」。感染対策コストは確実に原価に上乗せになってくる。

 そしてもっと影響が大きそうなのが米中分断による「サプライ・チェーン再構築」コスト。今回の危機を経て基幹物資の国産ないし輸入先の分散化に踏み切る国が増えることは確実で、これまでのように「安い中国産」一択ではなくなる。これらは確実に「仕入原価」を押し上げる。

 3.人件費 ー ポスト団塊(約800万人)世代@日本

 現状では雇用が急速に悪化して、雇い止めレイ・オフなど収入が減る面が強調されがちだが、これも基礎的状況に着目すると見え方が変わる。

 そもそも「コロナ前」から日本では人手不足が深刻化しており、「人手不足倒産」が相次いでいた。原因は800万人にも及ぶ団塊の世代の引退。人手が必要な介護業界などは慢性的な人手不足である。

 加えて「安い労働力」を売りにしていた中国も人件費が高騰し、都市部では日本を上回る状況も。その後工場等は東南アジアに移転が相次いだが、こちらも人件費の高騰が顕著で「安い労働力」ではなくなりつつあるコストを下げるための「グローバリゼーション」は既に大きな壁に当たっている

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 いくらコストが上がっても消費が大きく落ち込んでいる今「値上げ」は現実的ではない。そうなると飲食店もプラントも観光産業もコスト割れによる赤字が続き、閉店、倒産が相次ぐだろう。特に体力、資金力の無い小規模店や中小企業は残念だが淘汰されていく可能性が高く、「価格」のことをいえば、今しばらく下落圧力がかかる。e.g. 「コーヒー一杯無料」etc.

 だがこのサバイバルの後はどうなるか。ものやサービスを供給する側が極端に減ってしまえば、ワクチンや治療薬が開発されて経済が正常化する過程で「供給力」不足に陥るだろう。そうなればお店や企業は適正値まで「値上げ」することが容易になり、収益が大幅に改善する。つまりこのサバイバルを生き抜いた企業は、3~5年後大きな「果実」を得ることになる

 日本のバブル期がまさにこの「供給力」不足状態。お店が足りないのだから買う側、サービスを受ける側は「言い値」を受け入れるしかない。人手も不足しているのでお給料も上がっていく。これが「ボトル・ネック」と言われる「教科書的インフレ」である。

 反論もあるとは思う。「損切丸」としても見落としがないよう適宜必要な修正は加えていくつもりだが、これが今筆者に見えている「風景」である。1つ確実なのは「バラマキ」のツケは必ず誰かに回ってくること。日銀財務省ドラえもんではないので、4次元ポケットからただで「お金」を引き出すことはできない。”誰か”から徴収する必要がある。

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