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アメリカは "リセッション" 、それとも "景気回復" ? ー マーケットを惑わす「米新築住宅販売」。

 5月米新築住宅販売 69.6万件 予想 59.3万件 前月 62.9万件 ← 59.1万件

 筆者を含め、昨日(6/25)のNYダウ+ナスダックの急反発に面食らった人も多かったと思う。きっかけになったのが予想を大きく上回る米新築住宅販売 ↑ 。 日米金融政策の絶望的 ”差” 。ー @22 Jun ’22 パウエル議長の議会証言から。|損切丸|note でパウエル議長も指摘していたが、@6%を超える住宅ローンの金利上昇で住宅市場の減速が注目されていた。それなのに、である。米国の "リセッション" 入りの根拠の1つにも挙げられていたが、株、為替、原油市場等、市場参加者の多くを惑わしている

 アメリカは "リセッション" 、それとも "景気回復" ?

 この ”朗報” に真っ先に飛びついたのが株式市場暗い相場が続いていただけに、ウォール街にとっては待ちに待った急反発米国債金利の低下で底上げされていたところに絶妙のタイミングだった。ショート(売り)筋は踏み上げを喰らったところも多そう。

  "リセッション" 睨みで@103ドル台まで下落していたWTI(NY原油先物)も素直に@107ドル台まで回復2022年「投資の一番星」だけに、下がって貰っては困る向きも多い

 最も頭を悩ましているのが米国債市場だ

 そもそも "リセッション" へのシナリオ変更で大幅な金利低下が促された訳で、正直どうしていいか判らない状態。 「3%」の分水嶺。ー「株」か「米国債」か。「インフレ」と「潜在成長率」。|損切丸|note で@3%を超えてから金利系投資家から着実に ”実弾” が投入されており、 "売り難さ" は意識されていた。だが1つの指標だけでもう一度売リ直すのはかなり ”精神体力” がいる5ー10年の「逆イールド」も解消されないままだ。

 FRBの「利上げ予報」①7月は+0.5%なのか、+0.75%なのか②政策金利の到達点は@3~3.5%なのか、それ以上なのか、かなり揺れている。

 米国債金利の低下で「ドル売り」に転じかけていたFXも一旦ストップ

 前月(4月)の数字も上方修正されており、ヒストリカルに見ても新築住宅販売の@60万件台はかなり強い数字(  標題グラフ参照)。一方JPモルガンが住宅ローン部門の人員を▼1,000人程減らしたのも "事実" であり、需要が減っているのも間違いなさそうだ。その点はFRBも認識している。

 こうなると米住宅指標は今後のマーケットで最も注目を浴びる指標になる。向こう3ヶ月は ”検証作業” が続くだろう。株価の反発がまたも ”Dead Cat Bound" (死んだ猫も落とせば跳ねる)に終わるのか、底入れするのか、まさに「運命の分かれ道」。 

 だが米国債など金利系のトレーダーはもう少し先を読む。ここで景気の先行きに楽観論が増し "リセッション" の懸念が後退するなら、金利は再度上昇していくことになる。FRBの政策金利も@4.0%目指しの展開に再度変わるだろう。元々今回の株価反発のきっかけも「金利低下」だっただけに、株や原油価格の上昇が続くのか、疑問も残る。FXの「ドル」然り

 ①本当に「インフレ」を抑え込めるか
 ②リセッションを回避できるか

 この相反する「2つの目標」達成を強いられているFRBには困難な状況が続く。議長も ”Making appropriate monetary policy in this uncertain environment requires a recognition that the economy often evolves in unexpected ways”  と吐露していたが、いきなり出てきた今回の ”予想外に強い” 新築住宅販売はまさに典型

 年内にQT(量的引締め)が進む事を考えると、e.g. 6~8月▼475億ドル、9月~▼950億ドル≓▼13兆円、ここから一気に株価復活とはいくまい。まだまだ紆余曲折が予想されるが、1つ ”サプライズ” があるとすれば もし今「戦争」が終わったら...。 ー 最大の ”楽観シナリオ” に備える。|損切丸|note 。だが、それこそ "unexpected ways" で予測がつかない。

 日本アメリカもそうだが、やはり国政絡みの選挙がある年は相場が荒れる。どちらも「インフレ」がキーワードになるが、果たして民意はどういう判断を下すか。政治情勢の変化も "unexpected ways" になりかねないので、「相場」「投資」も良く見極めなければいけない。非常に怖い年である。

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