"上" が詰まっている相場Ⅱ。ー "弓" を引くのは「パンデミック」か、「インフレ」か、それとも...。
11/19 "上" が詰まっている相場。↓ の続編として。
「どうせ高値からの ”調整” のため ”方便” でしょ」
「絶好の買い場」
昨日(11/26)、 "南アフリカで変異株" のニュースを受けて売られた日経平均、欧州株、米株の下落を受けたコメント。ネットを中心に「大変だ」という書き込みより「またか」と言うような発言が目立つ。
2020年3月の「コロナ暴落」後の株式相場の急騰を見てきたので、これは無理からぬ反応。実際 ”調整” の下落後に何度も盛り返してきたし、*そこで拾って儲かった人、買いそびれた人、思いは様々だろう。
ここでは初期の「コロナ暴落」時と現在を比較・検証してみよう。
1.パンデミック
”免疫回避、高い感染力の可能性”
ワクチンが効かないとなると、また「2020年3月時の恐怖再び」という思いに駆られるのはやむを得まい。ただ、先進国を中心にある程度ワクチン接種が進んでいる現状を考慮すると、全く同じ状況になるとも考えにくい。
人権意識の強い欧州では、外出制限の再発動に対し激しい反対デモも起きているし、善し悪しは別として、通りに人っ子1人いないような状況に陥ることはないだろう。そう言う意味ではそこまでの経済的ダメージは考えにくい。飲み薬の開発が進み、治療法など対処方もある程度確立されつつある。
2.インフレ
むしろ大きく状況が変化しているのはこの「インフレ」だ。「コロナ危機」の影響から「米中対立」による「サプライチェーン分断」が進み、もはや「グローバル経済」の時代は終焉したと考えていい。そこに「脱炭素」によるエネルギー価格高騰が加わり、時代は「ディス・インフレ」から「インフレ」に大転換している。
今回は原油価格も急落しており、エネルギー産業は正直 "ほっと一息" かもしれない。だが「反グローバリゼーション」の大きな流れは変わりようがない。今回の変異株の影響如何に関わらず、「物不足」「人不足」の問題は今後長く継続することになる。国を問わず、日本にとっても同様。
3.金利
**FRBによる「テーパリング」→「利上げ」を既定路線として上昇してきた「金利」。株価の下落でさすがに低下したが、それでも「利上げ」を否定するまでには至っていない。 ↑ 「インフレ」時代への大転換を考慮すれば、このシナリオはちょっとやそっとでは変わるまい。
昨年3月以降の「コロナ・バブル」が強烈な金融緩和によってもたらされたとすると、今回は条件がまるで違う。「インフレ」が顕在化している今、金融政策のベクトルは完全に逆向き。同じようなバブルは期待できまい。
3.中国の不良債権問題
中国当局が国内外メディアへの影響力を駆使して随分情報を押さえ込んだようで、もはや過ぎ去ったようにも感じられる不動産の「不良債権問題」。だが実態は何も変わっていない。日本のバブル崩壊がそうであったように、時間の経過と共に「過剰債務」の元利金の支払が重くのしかかる。
デフォルトのコストを誰かが負う羽目になるのは、社会主義も資本主義も関係ない。多少の巧拙の違いはあっても一定の「損失」は必ず発生する。不動産の場合は金額が大きく、経済全体への波及効果が大きい。まして中国は今やGDP世界2位の ”大国” 。債務総額もアメリカと同等の60兆ドル余(約7,000兆円)と見積もられており、何事もなく終わるとは到底思えない。
***ここが「上がらない長期金利」と「日本化」の連結点か?
毎回こういう相場の ”調整” が起こる度に****「逃げる」か「立ち向かう」か、判断の難しさを痛感する。 ”勇気” と ”無謀” は紙一重。「欧州通貨危機」の金利急騰でコツコツ貯めた6ヶ月分の収益を一晩で吹っ飛ばされた経験がある「損切丸」は、いつも ”臆病風” に吹かれる(苦笑)。
結局最後に勝つには、遠回りのようだがコツコツ積み重ねるしかないが、いざという時の「逃げ足」の速さも必要。この下落局面で株でもビットコインでも「買い向かう」のは良し。あとは本稿のような「事実検証」を重ね、「逃げ足」も用意しておくことだろうか。みなさまご武運を。
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