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「貿易赤字」→「円安」→「貿易赤字」の "無限ループ" 。

 参照: 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note

 9月貿易収支 ▼2兆940億円 予想▼2兆1,547億円 前月▼2兆8,200億円

 <輸出> 8兆8,187億円(前年比)+28.9% 予想+26.6% 前月+22.0% -19カ月連続増加
 (地域別)対米+45.2%-12カ月連続プラス、過去最高、中国+17.1% ー 4カ月連続のプラス。対欧州+33.2 - 19カ月連続プラス

 <輸入> 10兆9,126億円 +45.9% 予想+44.9 前月+49.9% - 20カ月連続増加
 (商品別)原粗油+100.8%、液化天然ガス+164.22%、石炭+168.7%

 ドル円平均値 @139.81(前年比)▼27.33%円安 < 昨年9月@109.87円

 判っていても見る度に溜息が出てしまう。またも「貿易赤字」が▼2兆円を超える「円の垂れ流し」「日本株式会社」は「仕入値」が上がり続けて赤字経営が続く商社のよう。

 昔担当していた輸入商社の財務部長が言っていたが、商売の要は「仕入れ」どんなに営業が頑張っても「仕入れ」が悪ければ儲からない。逆に言えば「仕入れ」さえ良ければ営業はさほど問題ではない。だから「仕入れ」には社内で指折りの優秀な社員が選ばれる、という。

 この状況を反映してドル円は@150円に接近(10/20東京前場)。ただこれはもう通過点に過ぎない。

 国で言えば財務省が「財務」日銀が「資金繰り担当」経済産業省が「営業」「仕入れ」の両方を担当していることになる。やはりエネルギー資源の「仕入れ」値の高騰が響いているわけだが、それでも1970年台の「オイルショック」以降、分散化を図ってきた効果は見られる。少なくとも極東の天然ガスに依存しすぎたヨーロッパよりは遙かにマシ。

 それでも「財務」は借金の利息を減らす事にご執心で「仕入れ」の悪化は知らんぷり。挙げ句に「資金繰り担当」に自社社債(=国債)買入を命じるという ”禁じ手” を発動。これではいくら「営業」が頑張っても赤字は増え続け、株価(=「円」)は下がる一方だ。

 「資金繰り担当」は1,000兆円もある「余剰金」(=国内預金)を使って自社社債を買い続けて来たがそろそろ限界短期社債(=短期国債、FB)を発行してドルに換えた虎の子の100兆円(=外貨準備)を取り崩して自社株買い(=円買い介入)を始めた

 だが時既に遅し。「株価」(=「円」)の下落には歯止めがかからず、赤字になった分の「資金繰り」を外部(=海外投資家)に頼らなければいけなくなってきた。いずれ社債(=国債)は「株価」(=「円」)に見合った高い金利で発行されることになる。

 仕入値上昇 →(貿易)赤字 → 株安(円安)→ 仕入れ値上昇 → 赤字 +借入金利高騰 → 株安 → 仕入れ値上昇 → 赤字拡大 …

 14ヶ月連続の「貿易赤字」が続く「日本株式会社」現状はこんなところ。このままだと危険な "無限ループ" に陥り、いずれ借入コスト(=国債金利)の上昇は避けられない。既に「国債無制限買取オペ」で抑え込んでいる10年JGB以外の金利には上昇圧力がかかっている。 

 ではこの赤字会社を建て直すにはどうしたらいいのか。

 1.「信用」の回復
 まずは "社外" の疑心暗鬼を払拭するために自社の社債を「資金繰り部門」が大量に買う ”禁じ手” を止めること「信用」を回復するには、まず「あるべき合理的な金利水準」に戻すことが先決

 2.仕入値の改善
 これは株価=円の価値を戻す以外に方法はない。虎の子(100兆円のドル外準)を使って自社株買い(円買い介入)をしても根本的解決には至らない借入コストの上昇を甘受しながら 1.「信用」を回復するのが近道。

 3.無駄な支出の削減(財務健全化)
 
一見矛盾するが、借入コストの増加は社内の支出削減に大きく寄与する。タダ同然で「資金繰り」が回ってしまうと、どうしても財務規律が緩む本来の金利コストを払ってこそ、自社の現状を把握できるようになる。

 この辺の「再建」方法は、実は企業も国家も同じ大事なのはスピード時間が経てば経つほど赤字は膨らみ「株価」=「円」も借入コストも悪化が酷くなる。本来日本のような大企業には起き得ない「昭和の成功」が慢心を生んでしまった。 "成功体験者" がまだまだトップに居座り続けている

 「損切丸」58歳になってつくづく感じるが、 ”新しいモノ” への対応力が激しく落ちる。例えば学生時代に覚えた歌は一字一句覚えているのに、いざ新しい歌詞を覚えようと思ってもサッパリ頭に入ってこない(苦笑)。これが70代、80代ともなれば、どんなに地頭がいい人でも厳しい8百万人の「団塊」が後期高齢者入り(=75歳)する今は「世代交代」のタイミングなのだろう。人間、やはり "引き際" が肝心だ。

 日本のお米や果物などの輸出が増えたり、海外への就職希望が増えたりと、少しずつだが ”変化” の兆しも見える。国内企業も消費者も、人もモノも安く調達できるという「幻想」(願望?)から目を覚ます時ドル円もおそらく@120円以下には戻るまい

 人口動態を考えると「人件費」上昇は世界的な趨勢であり、今の「インフレ」は一時的なコストプッシュなどではなく今後数年は続く世界的な金利上昇はそのサイン日本「新時代」に備えたい。

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