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金利@4%「新時代」の到来 vs 「異次元」の国・日本。

 米国債市場が "1兆ドルの売り” におののいている

 FOMCから24年ぶりの「ドル売り・円買い介入」を挟んでたった2日間10年債は一気に+0.20%も上昇して@3.76%1~5年債は全て@4%台に乗せた。そのほとんどは「介入」後だ。

 まさに金利@4%「新時代」の到来

 開けてしまった「パンドラの箱」。- 「ドル売り・円買い介入」が及ぼす「金利」への影響。|損切丸|note というのは "元・金利トレーダー" として偽らざる気持ちである。

 「パンドラの箱」の根源は2005年の "Conundrum" ( ”謎” )に遡る

 当時のグリーンスパンFRB議長の "名言" として残っているが、6回に渡って+150BPも「利上げ」したのにアメリカの長期金利は下がり続けた

 この時に指摘されたのが日銀・財務省による「ドル買い・円売り介入」の影響2003~2004年に溝口財務官(榊原財務官が「ミスター円」と言われたのに対し「ミスタードル」と呼ばれた)が30兆円にも登る「巨額介入」↓ を実施し、現在の1兆ドルに及ぶ日本の外貨準備の礎を築いた。この時に財務省は米国債買いに動いたわけだが、強烈な米国債の "買占め" となった。

 その後台頭した中国も「人民元安」を維持するために、やはり3兆ドルにも及ぶ「ドル買い・元売り介入」を実施日本同様、巨額の米国債を "買占め" 「グローバリゼーション」と共に「低金利時代」が訪れた

 現在日中が "買占め" ている米国債の金額は約2兆ドル。そのうちの*半分にあたる日本が売りに回ったとなれば、市場関係者がおののくのも無理はない。「パンドラの箱」が開いて ”謎” は解けようとしている

 *残り半分の中国が動く気配は今のところないドルを「一帯一路」AIIBに注ぎ込んでしまいドルは貴重ドル・人民元が@7.1000を超えても静観の構えだ。だが7,000兆円もの「巨額借金」を抱え「不良債権問題」で「資金繰り」には余裕はないいざとなれば1兆ドルの米国債売りに動くこともあり得る。この「箱」も開くと米国債市場はただでは済むまい。筆者が現役の頃は「利上げ」局面でもないのにO/N(1日)~10年米国債の金利差は常に+150~200BPあった。時代は急速に時間を巻き戻している。

 いつもは「金利」についてあれだけ喧しいウォール街がこれだけ動いているのに "沈黙" しているのは、それが ”不都合な真実” だから。大袈裟に言えば、米国債の大荒れはマーケットにとって「巨大台風」に近い。その被害は広範囲に及びつつある。

 まずはヨーロッパの国債市場英国10年債大型減税の発表と合わせ、@3.49%→@3.79%と+30BPも値が飛び、英連邦のオーストラリア@3.91%@2%を突破したドイツと共に@4%超えのイタリアギリシャを追う。

 これは激しい「お金」の争奪戦の火蓋が切って落とされたことを意味する。残念ながらここからは資金力のない国や企業の振り落としが始まる。つまりデフォルト(倒産・破綻)リスクが拡大する。

 この "嵐" は当然資産市場にも影響する。まずは株式市場

 昨日何とか@30,000ドルで踏み止まったNYダウも先物では▼361ドル安(@21:00東京時間)で@29,700台。他の市場も軒並み下がっている。商品市場も例外ではなく、WTI(NY原油先物)も直近安値の@80ドル割れ。筆者が想定している@60~70ドル台目指しになりそうな雲行きだ。

 やはり「お金」のないマーケットは怖ろしい

 面白いのはFX(為替市場)。日銀・財務省の「ドル売り」でドルが安くなるかと思われたがさにあらず。前稿で:

 ” 「為替介入」は「ドル売り/ドル買い」圧力を一時的に「金利市場」に「ドル金利低下/上昇」として逃がす行為に過ぎず「金利」を通して「ドル売り/ドル買い」に戻ってくる

 こういう言い方をしたが、たった1日でそうなりつつある「ドル売り介入」による「米国債金利急騰」は結果として「ドル買い」を呼び込み、これでは ”時間稼ぎ” も出来ないユーロは@0.9800を割り込み、ポンドも@1.1000割れ寸前ドル ≓ ユーロ ≓ ポンド > 円に?|損切丸|note も冗談でなくなりつつある。ドルとポンドが等価になるなんて…

 こうなると日本の異様さが際立つ。まさに「異次元」の国「介入」による「為替利益確定」で最大140兆円の「お金」も創り出せるし、日銀が「国債無制限買取オペ」が出来ているうちは「資金繰り」は大丈夫問題はその後だ。毎月▼2兆円もの貿易赤字で「円」は削られていくし、「インフレ税」でドンドン毀損する円資産も看過できない。一体どこで間違いを正すのか。

 アメリカが不況に突入すれば「円安」は止まるかもしれない。だが、それはそれで問題だ。「ドル安・株安・債券安」のトリプル安に突入すれば、まさに「1970年代の悪夢」=高インフレ+高金利の再現

 いくら信奉しているとは言え、パウエル議長もそこまでボルカー元FRB議長のマネをする必要はない日銀もECBも中銀総裁がマーケットの信認を得ていないことが最大の気掛かり。特に「異次元」の日銀総裁来年3月の前倒し退任で「オラ知らね」はご勘弁願いたい

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