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ますます ”やばく” なる「国債」「現金」「預金」 ー " Fed Dot Plot" が示唆する「2023年までゼロ金利?」。

 米国債市場がますます面白い(笑)。昨日FOMCで:①株式市場 → 金利上昇を抑えるような発言を期待、一方②米国債市場 → 全く逆の「タカ派転向」発言への警戒、の両極端に分かれていた。

 結果は①株式市場が望むものに近かった。最近発表されている " Fed Dot Plot " でメンバー18人のうち11人が2023年までのゼロ金利維持の予想を示したからだ。これを受けNYダウは市場最高値を更新して@$33,000台乗せビットコイン(BTC)も@$58,000台へ再度反発日経平均は@¥30,000を回復(3/18場中)している。

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 それでは②米国債市場が落胆しているかと言えばさにあらず。まんざらでもないどころかむしろ理想的展開になりつつある。10~30年の長期ゾーンの国債が売られ、イールドカーブが再度スティープニングしてきたからだ。

$  FF- 2- 5- 10 -30y(グラフ)18 Mar 2021

 BTCに投資している人には "朗報" かもしれない。

 だが、これ、本当に喜んでいい事態なのか? 

 市場はどこをつついても「インフレ」の臭いしかしてこない。筆者が強く感じるのは資産として「国債」「現金」「預金」がますます ”やばく” なってきたこと。実際米5年BEI(予想物価上昇率)は@2.72%と高止まり。明らかに@3%を視野に入れている。

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 前稿.実は上がり続けている「米国債金利」↓ で: 

 米国「中立金利」= 「潜在成長率」@2%+@1% =@3%

 「潜在成長率」は中国の台頭やグロ-バリゼーションの進展で従来の@3%から▼1%程下がったと解説した。 

 だが、ここで1つ思い起こして欲しい。(参照)2020.4.18.コロナ後の世界 Ⅱ - これから起こりそうなこと。↓ 

 "予想通り"「米中対立」はますます先鋭化しており経済の「デカップリング」はより現実的に。アメリカの「潜在成長率」が中国による大量な安い製品の流入によって低下したのであれば、当然その反動が起きるはずだ。

 そうなるとアメリカの「潜在成長率」は@2.5~3.0%に上昇修正されると考えるのが合理的であり:

 米国「中立金利」= 「潜在成長率」@2.5~3.0%+@1% =@3.5~4.0%

 つまりFRBによる政策金利@3.5~4.0%までの引上げは「金融引締め」ではなく「中立金利」への調整ということになる。 "先々金利" を10年まで単純計算しても「最高点」は既に3%を超え、e.g. 8~10年@3.40% ↓ 米国債市場がそういった「インフレ」→「利上げ」シナリオを折り込み始めていることが判る。

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 端的に分り易いのは30年米国債。既に@2.45%に達しこの1年で+0.66%も上昇名目金利で@3%を視界に捉えつつある政策金利であるFFレートが@0.0%であることを考慮すると実は凄まじい「高金利」。だから計算上 "先々金利" が高くなるイールドカーブの形状は1990年代「インフレ下のアメリカ」のそれに戻りつつある

 表立って表明できないが、この事態を最も歓迎しているのは膨大な債務を抱える政府、特にアメリカ、欧州、日本だろう。「借金」を減らすのに「インフレ」ほど便利な「増税」方法はないFRBもECBも日銀もやたら「低金利維持」に固執するのはこのためで、実は財務省とも足並みが揃っている

 「課税」されるのは「法定通貨」で消費生活を送っている我々国民だ。こうなるとますます ”やばく” なる「国債」「現金」「預金」株やBTC、不動産等を買うのは「資産防衛行動」と理解した方が良い。エントリーポイント銘柄種類等の問題はあるが、「金利商品」に置いている資産の目減りをどう防ぐか、真剣に考える時が来ている。

インフレリスク+円安リスクマトリックス

 「もうはまだなり、まだはもうなり」

 にしてもBTCにしてもこれだけ上がってしまうと手が出にくいのは良くわかる。だが人生と同じで「投資」「相場」も今日で終わるわけではない。過ぎたことを嘆くより「これからどうなるか」が大事

 「ドル円@80円の時にドルをしこたま買うんだった!!」

 こんなことを真顔で語る人がいるが、全く無意味この ”後悔” のせいでいつまでもドル円に手が出ないのであれば有害でさえある。今考えるべきは「ドル円が今の@109円近辺から今後どうなるのか」。これは不動産も同じだが、その "闇" を乗り越えてこそ ”成果” が得られる。

 もちろんこれは「投資」や「相場」を強く推奨するものではない ”失敗" も少なからずあるし、納得できずに手が出ないこともあろう(実際筆者はBTCには手が出ない)。だが厳しいことをいうようだが、それなら*後になって「あの時買っておけば良かった」などと嘆かないことだ。

 例えば「預金」を大量に抱えていてマンションを買うか検討したが結局購入せず、その後値上がりしたケース。自分の ”資産価値” が減って悔しいのはわかるが、「バブルだ」などと言わないこと。当時はそれで納得していたのだから仕方が無い。ただ「資産運用」が上手くいかなかっただけ

 「投資」「相場」は人それぞれの事情や好みもある。やり方は千差万別だ。筆者自身は既に「現金」「預金」はできるだけ他の資産に移したので、あとは金利の上昇を見極めて「戻す」タイミングを計っている。もちろん今「国債」なんぞは1円も持っていない

 ただ「借金」をしたり生活費まで相場に突っ込むのはやめておいた方がいい追い込まれての「損切り」には選択の余地がなく、どんなにおかしな価格でも "ぶん投げる" しかなくなる。それを ”餌” にしているトレーダーもマーケットには少なからずいるので、くれぐれもご注意を。

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