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「機械的買い相場」 vs 「人間的売り相場」Ⅴ - 久々にAI、アルゴ、HFTの出番か。「人間」は蚊帳の外。

 またNYダウは「市場最大の上げ幅」=+2,112ドル98セント(+11.4%)だそうである。3/13の+1,985ドルを簡単に上回ってしまった。↑ 標題のようにチャートで見ると、まあ▼40%近く暴落する中の反発なので大した事ではないのかもしれないが、それにしても*マーケットに全く高揚感がない

 ロンドンやNYが「都市封鎖」(Lock Down)され、東京も続くのか、という雰囲気の中での株価暴騰である。違和感があって当然だ。ここまでいわゆる「世間の雰囲気」と株価の動向が乖離するのを初めて見た。山一証券が潰れるなど日本が金融危機に陥って株価が急落した時は、銀座も人並みが完全に途絶えていた。「景気」は「気」から、は最早過去の話か(苦笑)。

 極めて異例づくめである。今日(3/25)も19,000円台まで戻している日経平均もそうであるが、ここまで上がると日銀や年金の買いだけでは説明がつかない。確かに待機資金を抱えて買い場を狙っていた「富裕層」「上級投資家」がいたのは事実であるが、なるべく安く買いたい彼らは慎重に買いを進めたかったはず。出動した金額もそこまでではないだろう。

 「損切丸」的観点から言うと、やはりこれは**「機械的買い相場」の発動と言う事になる。なにしろ実需を伴った買い相場にはやたらと強いAI、アルゴにHFT(高頻度取引)。1,000億円の買いでも先回りして50倍、100倍に増幅して取引をするのだから所詮「人の手」には負えないのかもしれない。

 **1月後半、大手欧米金融機関がこぞって「パンデミックは株買い」と言っていた頃、「売られたら株買い」プログラムはまだ稼働していた。そこの買い相場で踊らされた「人間投資家」も多かったと思うが、その後の暴落で結局「機械的買い相場」「人間的売り相場」に破れることになった。

 「騙しの買い」に乗って「後悔」した投資家もかなりいるのでは。しかし機械は(学習はするが)「後悔」したり、がっかりしたりはしないHFTなどはただ淡々と実需の買いに反応して何万回も売買を繰り返し稼ぐだけ。究極の薄利多売だ。株価の水準とか、売られ過ぎ、買われ過ぎなどは考慮しないし、当然日米欧の財政出動や金融緩和など関係ない。

 ただ冷静に考察すると、NYダウはまだ一次的下値支持線(2018年12月)にも到達しておらず、買い基調に戻ったとは言い難い。日経平均も同様だ。

主要株価 24 Mar 20

 AIHFTがまだあまり入り込んでおらず、「人間的相場」の代表とみている「金利市場」も反応は薄い。「人間」同様、今回の株式市場を遠巻きに傍観している印象だ。

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実質金利G8(after CDS)@24Mar20

 更に「クレジット・クランチ」(信用収縮)の一指標としてドル3か月物LIBOR(London InterBank Offered Rate)を見ると、金利上昇基調に変化はなく、「信用危機」が去った、というにはほど遠い状況だ。

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 しかしいくら「損切丸」「人間的」解説を加えようが機械には関係ない。底値でこっそり株を仕込もうと考えていた長期運用狙いの投資家などにとっても甚だ迷惑な「機械的買い相場」である。まして短期で日計りのトレードをする人達などは「口あんぐり」なのではないか。まあ、これが今の相場と割り切って取り組むしかない。

 ただし...どんなに上下動が激しくてもマーケットは最後にはあるべき値に必ず戻ってくる。特に信用リスクに関わる部分は「機械」も「人間」も関係ない潰れるところは潰れる。少し遠巻きに見ながらも、この辺を頭に入れつつ株式市場も見ていこう。長期運用の投資家もここまで高くなれば深追いして買いにはいかないだろう。相場は昨日、今日で終わるわけではない。


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