落ちてくるナイフ

「機械的買い相場」 vs 「人間的売り相場」- 投げ売り第一波は終了。

 とりあえず第一段階の下値目処で見ていたNYダウ26,000ドル日経平均21,000円は達成された格好だが、さあこれからどうだろうか。

 2.5稿.「新型コロナウィルス」がマーケットにも「パンデミック」ー アップデート6 ↓ で書いた「人間的相場」「機械的相場」が参考になるかもしれない。

 はっきりしたのは売り相場は「人間的相場」になるという事。HFT(High Frequency Trades、高頻度取引)について「買いバイアス」があるということは何度か解説したが、やはり実需の買いが細る急落相場では機械やAIはプログラムを実行できない

 NYダウで見ると今回の投げ売りはこれで第三波だが、やはり3番目の「叫び」が1番大きくなった「なだれ三羽烏」健在である。

DJ5日

なだれ三羽烏

  ヨーロッパに目を向けると、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、スペインなど経済弱小国を「攻撃」する動きが強まっている。このままユーロの「収斂基準」の原則にこだわり続けると危険だ。打てる弾が限られているという意味では日本も似たような状況にある。

ヨーロッパ国債@27Feb20

 ここに来て「アメリカの株は元々高すぎたから、今回の事をきっかけに売られただけです」などとしたり顔で宣うエコノミスト等「専門家」があちこちで出てきているが、それはちょっと違う。今回の株暴落の起因はあくまで*景気後退懸念によるデフォルト(=倒産、破産)リスクが拡大したこと膨大な過剰流動性と「インフレ政策」を考慮すれば、株が高すぎた、という指摘は間違っているあれはあれで市場の真実だったと思う。

 こぞって「パンデミックは株買い」と言っていた米大手金融機関が、今度は手のひらを返しように「成長率の下方修正」を言い出した。当たり前と言えば当たり前かもしれないが、やはり何か胡散臭い

 ひとつ忘れてはいけないことがある。アメリカの大統領選挙だ。「損切丸」の経験で言えば、リセッションを放置したまま大統領戦に臨んだことはない。トランプ大統領も何か景気対策、それもかなり大きな策に打って出るだろう。その中には当然FRBの利下げも含まれる。

 ちなみに米債金利は更に下げ、既に▼0.25%ではなく▼0.50%の利下げを要求する水準に達している。

$  FF- 2- 5- 10yr  28 Feb 2020(グラフ)

 つまり何を言いたいかというと、景気腰折れ懸念に対して適切な政策が取られデフォルトリスクが減少すれば、株式市場は再度金余りを原動力にした「機械的買い相場」に戻ると言うこと。日欧、そしてもっと言えば中国にもに政策余力がない今、**鍵を握るのは大統領選を目前に控えたトランプ大統領の政策だろう。大型減税などが打ち出されるかもしれないし、FRBが大幅な利下げに踏み切れば、前よりお金はもっと余ることになる

 **誤解して欲しくないのだが、この局面で株をじっと持っていた方がいい、というアドバイスでもない。「冷静な判断」を保つために一度相場を降りるのも選択肢だ。一旦損切りで売っても下値で買い直せば損は十分に取り戻せる。筆者も経験があるが、一旦損切って見ると「なんであんなに買いにこだわっていたのだろう」と目が覚めたりする

 2020年は生き残りをかけた生存競争が続く。サッカーでいえばイタリア流の「カテナチオ」(イタリア語で鍵、の意味)で行きたい。亡くなった野村監督も言っていたが、とりあえず相手を0点に抑えれば負けはない。そのぐらいの心持ちで今年は良いと思う。

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