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「国債・無制限指し値買いオペ」はマーケットの ”最後の貸し手” ? - 「円」を犠牲にして唯一人「過剰流動性」を供給し続ける日銀。

 しばしば中央銀行”最後の貸し手” (Lender of last Resort)と呼ばれたりする。 ”金融危機” など「お金」が目詰まりを起こした時に「緊急貸出」などで銀行に流動性を供給するからだ。

 世界中が「インフレ騒ぎ」になり一斉に「利上げ」「金融引締」で "火消し" に動く中、颯爽と "薪" をくべる国が2つある。日本トルコである。後者は「インフレには利下げ」という独特の ”エルドアン理論” に基づいているが、はっきり言って通貨(リラ)もインフレも諦めた様子。経済規模から言っても、世界的な影響力は無い。

 だが日本はそうはいかない。6月単月で「国債・無制限指し値買いオペ」を含めた+16兆円は過去最高額。実は始まったばかりのFRBによる「QT」(量的引締)▼475億ドル≓▼6.5兆円を上回っているナスダックが▼30%近く売られるのを ”金融危機” と認識すれば、日銀が ”最後の貸し手” だ。

 米株の買い戻しと日銀による追加資金供給は偶然?

 。 買い向かう「日本人」の「円安デモクラシー」 Ⅱ。ー 「円安は投機」の嘘。|損切丸|note で6月最終週~7月第1週には日本人が+2兆円近く海外株を買い越しというデータに出ており、繋がりがあると見るのが自然だ。7月第2週以降も同じ傾向が続いているのか、注目される。

 では日銀による「追加資金供給」は世界景気にプラスか?

 これも残念ながらFRBが何の為に「利上げ」「QT」に踏み切ったかを考えれば判る。そう、「インフレ」を抑えるためだ。ある意味ドル高を通じて他国に「インフレ」を "輸出" し、自国の被害を抑えようとしている

 これに対し、日銀による「国債・無制限指し値買いオペ」この炎をドンドン国内に呼び込んで火事にしようとする策であり、日本人が「お金」を海外に運び出すのは正しい自衛行為であろう。実際@93ドル台まで ”鎮火” していたWTI(NY原油先物)は株価の反発とともに@100ドル台に戻してしまった消えかけた種火に "薪" をくべれば再び燃え上がってしまう

 こうなるとせっかくウォール街が ”リセッション運動” + ”逆イールド” で@3%に抑え込んだ "天敵" 10年米国債金利がまた上がってくる@3.5%程度が到達点だった「利上げ」予報も再び@4%に向かい始めた

 まあ奴らにとっては株さえ上がれば ”リセッション” でも「インフレ」でも何でも構わない訳で、「国債・無制限指し値買いオペ」はまさに”神風” 。ただ6月にJGB売りで挑んで失敗したファンド勢は同じ様な仕掛けにはいかないだろう。「チーペスト」JGB先物の現渡し銘柄。e.g. 7年国債)まで買占めてマーケットを殺すような対策を打たれては為す術がない。

 一方 "身銭" を投じる投資家はそう単純ではない2022年相場で「過剰流動性相場」の反動はもうコリゴリだろうから「インフレ」の行方が気になって仕方が無い。そこで有用になるのが「イールドスプレッド」 ↓ 

 ヒストリカルにS&P@▼3%が一種のベンチマークなので「@▼3%以下で売り(割高)、@▼2.5%に近付く局面は買い(割安)」が主流。7月に入ってから業績改善も相まって株価は堅調@▼3%以下を維持している。日本の個人投資家も大分勉強しているので、この辺りは参照しているだろう。

 「鶏と卵」の議論になってしまうが、そうなるとまたぞろ「イールドスプレッド」を押し下げる「金利上昇」が邪魔になる。要は「インフレ」が収まらない限り「金利上昇」は止まらないわけで、株価の圧迫要因になる。2022年初も「金利2%限界説」で一時的に株価を支えようとしたが、結局失敗かえって株の下落を招いた。まさに「無理は通っても無理」

 そして最近気になるのが「ドル高」に限界が近付きつつある事昨年来一方的な「ドル高」で「インフレ」を輸出してきたが、それも "陰り" が見える。*とても日本だけでは受け切れまいFRBやECBが「インフレ」退治を真剣に目指すなら、本当なら日銀にも参加を促すべき局面のはず。それが "真逆" を向いているのだから、必死の「引締め」も効果が削がれてしまうトランプ前・大統領なら「為替操作国」と噛みついてくるだろう。

 今でも ”デフレ” の日本では金融緩和が必要」と論じる向きが多くて驚く。 デフレ?MMT(現代貨幣理論)支持者と同じ臭いがする。笑)。給料が上がらない・生活が苦しい ≓ デフレと言い換えているのなら、それはスタグフレーションである。周りを見渡しても値の下がるものはほとんどない「金融緩和」も「財政出動」もスタグフレーションには逆効果だ。

 米株以外で「インフレ防護壁」がついているのが日本株。こちらも銘柄を選べば自己防衛策にはなる。①「円安」により交易条件が改善②「過剰流動性」の恩恵が少なかった ≓ PERなど「割安」③「利上げ」が当面ない等等、実は日本株を指向する海外投資家も多い。旅行先としてもそうだが、何と言っても「日本は安い」2022年に入ってからの意外な日経平均の健闘振りがその事を証明している。このまま「夜明け」を迎えられればいいが....。

 とにかく一度 「リスク」と「リターン」の考え方。 ー 「安全資産」を疑ってみる。|損切丸|note こと。おそらく金利も付かない「円・現預金」の "危険度" は相当高い「生活実感が苦しい=現預金の価値が減っている」であり、「投資」で考えれば大幅なマイナスリターンのはずだ。生活の「資金繰り」も含め、一度見直してみる事をお薦めする。

 もはや 「お金」は「貯める」より「使う」。 ー 「インフレ時代」に必要な "逆転の発想" 。|損切丸|note に突入したのは間違いなく、 "平成デフレ時代" ようにじっと待っていてもモノは安くならない。特に必要なモノ・コストは(可能な範囲で)「借金」してでも早く買う・払うが得策”デフレ” などと愚痴ってないで行動を起こさないと苦しさは増すばかりだ。

 ただ 「弱いところを攻めろ!」 Ⅱ。ー リスクは「金利」から「信用」へ。|損切丸|note で指摘したように、今後デフォルトによる「突然死」は頻発することになるので、その点だけはご注意を。バブルを経験した者として老婆心ながら。




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