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「タラントンの例え」と日本人

 「タラントンの例え」(マタイによる福音書 第25章14~29節): 

 主人がしもべのひとりに*5タラント、ひとりに2タラント、もうひとりには1タラントを渡して旅に出かけた

タラント ≓ タレント(英語)=「賜物」「能力」「才能」
 単位としての1タラント=6,000デナリ、1デナリは労働者1日分の給料、e.g., 1万円×6,000デナリ=6,000万円

 5タラント預かった者は商売をしてさらに5タラント儲けた。同様に2タラント預かった者もさらに2タラント儲けた。ところが1タラント預かった者は地を掘ってその主人の金を隠した

 しもべたちの主人が帰って来て、彼らと清算をした
すると5タラント預かった者が来てもう5タラント差し出して言った
『ご主人様。私に5タラント預けてくださいましたが、ご覧ください。私はさらに5タラントもうけました』
主人は『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう』

 2タラントの者も『ご主人様。私は2タラント預かりましたが、ご覧ください。さらに2タラントもうけました』
主人:『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう』

 ところが、1タラント預かっていた者は『ご主人様。あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。私は怖くなりあなたの1タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたの物です』
ところが主人は彼に答えて言った『悪いなまけ者のしもべだ。私が蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めることを知っていたというのか。だったら、おまえはその私の金を、銀行に預けておくべきだった。そうすれば私は帰って来た時に利息がついて返してもらえたのだだから、そのタラントを彼から取り上げてそれを10タラント持っている者にやりなさい』

 娘がいわゆるミッション系の学校に通っていた関係でこの話を聞いてきた奥さんがショックを受けていた。曲がりなりにも英銀に22年勤めていた筆者は何となく理解できたが「清貧思想」が染みついている日本人には理解し難い話かもしれない

 この例え話には「お金」以外にも様々な解釈があるのだが、ここでは敢えて日本人と「投資」の話にしてみよう

 真っ先に思い浮かんだのは「地中に埋めた1タラント」≓「銀行預金」
ゼロ金利だから実際は銀行に預けても利息も付かないのだが、1,000兆円も地中に埋めたままはいかにも勿体ない。だがこれには理由がある

 そう、20年以上続いた「デフレ」である

 何度も書いているが筆者は「インフレ」礼賛主義者ではない(苦笑)。実際 「お金のマニュアル」-損をしないコツ- 其ノ3 「清貧思想」と日本人の投資②|損切丸 (note.com) では株に走った母を必死で止めている(2007年後半)。「デフレ」下ではまさに ”Cash is King" (現金は最強)。持っていればどんどん物の値段が下がるのだから最強の「投資」だった

 だから「預金」が "完全悪" だと主張するつもりはない問題は「デフレ」を認識し「投資」として主体的に「お金」を保持していたかどうか

 「2016年から日本はインフレ転換」が自説の「損切丸」note. を始めたのが2019年4月からなのでずっと「預金は危ない」という趣旨の書込みが増えてしまった。「デフレ」の後遺症がまだ色濃く続いていた中で当時反応が薄かった事を記憶しているが、最近ようやく同じ意見・言説を目にする機会が増えてきた。そう、「インフレ」=物価上昇下で「お金」は目減りする

 「お金」だけでなく「タラント」を「能力」「才能」と位置づけると、「安定」だけを目指して公務員を希望するのはまさに「地中に埋める行為」欧米を見れば今やベンチャー全盛でもあり ”良い大学を出て大企業に就職” 的な発想自体が「タラント」の無駄使いなのかもしれない

 「国境」を巡る「戦争」なんて...。ー "Society 5.0" 時代に思う。|損切丸 (note.com) 的に考えると、"Society 5.0" "Web3.0"中央集権的な社会構造を「分散型社会」に変えようとする大変革

 実際「お金」もかつてのように銀行が一手に集めて「貸す」のではなく「クラウドファンディング」や「マイクロファイナンス」など多様な資金調達が可能になってきた。株もFXも今やネットが主流で、売買注文を集めた大手証券会社の優位性は薄れているテレビがSNSやユーチューブに取って代わられつつあるのも同様で今や「個人の時代」

 マーケットでも大儲けが出来なくなった「ドル円」や株式市場を尻目にビットコイン等暗号資産が大暴れ。まるで「国家」が一括管理する「法定通貨」の網をかいくぐろうとしているかのよう。「税」への反発然り70代の独裁者が仕掛けている「戦争」はこの ”大変革” に対する抵抗とも読める

 いずれにしろ「インフレ時代」に突入した日本でこの「タラントン」は面白い例え話になりうる。大学生の就職内定率が91.6%(!)にもなったが、 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸 (note.com)

 これからの「個人の時代」。特に若い世代はくれぐれも「タラント」を地中に埋めたりしませんように「お金」「才能」の無駄使いは勿体ない。来週3/19に予定(?)されている「マイナス金利解除」がその号砲となる


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