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レパトリ(Repatriation)=「損切り」祭りが始まる?

  "マーケットは5年@1.0% ↑ とか10年@1.40% ↓ とか相場を振り回して「損切り」を迫ってくる。" 

 前稿でこういう ”預言” をしていたら、本当にそういう展開になって筆者も苦笑い。まあ実体験に基づいているのである程度は ”リアル” なのだが、いくらAIが発達したと言っても所詮 ”人” のやる事は変わらない

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 最も酷いダメージを受けたのがイールドカーブで長短金利差拡大に賭けた「スティープニング」トレード。6/16のFOMCを挟んだたったの3日間で

 5年-10年 @0.71% → @0.57%=▼14BP

 5年-30年 @1.40% → @1.14%=▼26BP

 金利系のトレーダーに取ってこれは3日間でドル円が5円ぐらい動いたに等しい衝撃だ。1年間でやっと+60BP拡大してきた5-30年の「スティープニング」が3日で半分になってしまった訳だから( ↑ 標題添付)。画面からトレーダー達の "阿鼻叫喚" の叫びが聞こえてきそう。さっさと逃げないとこういう事になる、という典型だ。

 こうなるともはや "理屈" ではない目の前でどんどん損が膨らむ ”恐怖” はポジション、特に大きなリスクを張った人にしかわからない。頭に血が上り体中から汗が噴き出してくる(あまり思い出したくない。苦笑)。

 大学生の頃「麻雀」にハマったが、学生だから「点3」(1,000点30円)とかせいぜい「点5」で負けても▼5万円ほど。それでも学生には大金である。隣の卓の社会人は「点ピン」で打っているので▼10万円ぐらいまで負けが込むことも。更に "その筋" と思しき人達は「点デカリャンピン」(1,000点2,000円)で打っているので一晩で▼200万円 ”溶かす” 可能性もある。勝負事は面白いもので「点5」でも「点デカリャンピン」でも打つべき牌は同じはずなのだが、▼5万円なら切れる牌が▼200万円では打てなくなる。やはり打ち手の ”恐怖”に対する「許容量」が問題。マーケットも同様である。

 「2021年は ”回収の年” 」

 筆者が言ってきたのはこういう事。2019~2020年は、いわゆる「コロナ相場」で一般庶民も「富裕層」も良い思いをした人が多かったはず。だが本当の勝負はここから**一般庶民と「富裕層」が「K字型」に分かれてしまうのはこういう「回収」局面の対処の仕方に尽きる

 ** ↑ 「麻雀」に例えれば、調子の良い時「リーチ」をかけまくって攻めるのは誰でもできるが、調子が落ちた時に「降りる」決断がなかなかできない。最後に+100万円得る人と▼200万円失う人の差はそこに尽きる。勝負が長くなればなるほどその差は顕著となる。

 今回は ”びっくり米国債” が主役だが、他の市場も段々雲行きが怪しくなってきて "利食い" を急ぐ人々。↓(4/23稿)が増えつつある。レパトリ(Repatriation)=他のポジションの「損切り」の穴埋め、も必要だろう。

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 筆者は未だ「インフレ」が起きるシナリオを変えていないので、アメリカもヨーロッパも日本も今の金利水準が妥当だとは思わない。いずれ「あるべき水準」まで金利は上がっていくだろう。だから例えば米国債ショート(金利上昇方向)を持つのは理にはかなっているのだが、問題は例えば***個人で「▼200万円、▼500万円失ってもいい」と腹をくくれるかどうか、だ。

 ***ここは考え方1つだが、例えば今▼@90.00で持っているショートを@100.00で一旦「損切り」(▼10負け)しても、その後▼@120.00でショートを持ち直せば「@100.00で買い、▼@120.00で売り」で+20トレードで勝った事になる。その後相場が@80.00まで落ちれば「損切り」分を取り返しておつりが返ってくるトータル+30)。▼@90.00の ”重荷” を抱えたまま胃をキリキリさせて、儲けがたったの+10で終わるよりましだろう。

 つまり「損切り」=損を出す事、と考えずに、将来のもっと大きな利益を得るための「コスト」、と割り切って考えてみる。これも言うは易しで、今 ”嵐” に巻き込まれている投資家やトレーダーの気持ちは痛い程わかる。「損切り」に対する考え方を変えるのも、筆者がさんざん酷い目にあった上で編み出した「自分コントロール法」の一種だ。各々が自分なりの対処方を見つけていければそれでいい。

 「14か月ぶりに消費者物価(除.生鮮食品)が@+0.1%に」

 余談になるが、昨日辺りから多くの日本メディアがとうるさいほど報じ始めた(総合は未だ@▼0.1%)。先進国のCPIが全てプラスに転じFRBが利上げに踏み出したことで、さすがに ”バツ” が悪くなったのだろう。相変わらずの「黒船頼み」で何とも情けないが「正常化」に一歩踏み出したのは喜ばしい事多少の「賃上げ」には寄与するだろう。オリンピックも強行するようなので、せめて「侍スピリット」「大和魂」を取り戻して欲しいものだ。

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