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勝負に出るFRB。ー 気になる「中国」「原油価格」の異変。

 5月米CPI(前年比) +4.0% 予想 +4.2% 前月 +4.9%
 コアCPI +5.3% 予想 +5.6% 前月 +5.5%

 「何だ、FXの画面壊れたのか?」

 低下が予想されていた米CPIだが、やや弱めの数字。直後の市場は荒れ模様で、ドル円は@139円台前半から後半まで "秒" 単位で行ったり来たり。指標前後に取引をしていた "Mrs. Watanabe" はさぞ大変だったろう。

 荒れたのは米国債も同様。2年債が売られるのに10年債が買われたりイールドカーブはグチャグチャ。だが、「利上げ」は止まるかもしれないが...。ー Money Changes Everything. 「お金」の魔力。|損切丸 (note.com) に落ち着いたようだ。

 政策金利>CPIの状況になったことで、ここからは「利上げ」を急がなくても「インフレ」抑制効果は期待できるこのタイミングで一旦 ”お休み” は、まあ取り得るリスクではある。

 ここで「利上げ」休止という勝負に出るFRB

 6/14の「利上げ」は見送ってもとてもじゃないが「利下げ」を言い出せる状況には無い。|損切丸 (note.com) はマーケットのコンセンサスになりつつある。CPI発表直後米国債には買いが入ったが徐々に頭が重くなり、本格的「利下げ」期待は2024年後半まで後ずれ

 FRBの判断の根拠には(表)(裏)の2つの側面がある:

 (表)米地銀破綻等による信用収縮(クレジットクランチ)の悪影響
 (裏)「中国」の異変 ≓ 不動産の不良債権化の深刻化、原油価格の急落

 表向きにはウォール街を中心に繰り広げられた「利上げ反対運動」≓「逆イールド」への配慮。@4%を超えるMMF(マネーマーケットファンド)への大量資金流出による中小米銀の「資金繰り」逼迫は無視できないレベルに達し、これによって融資が滞り市場に出回る「ドル」が激減政策金利が@5%に達する中、一度立ち止まるのは有り得る選択肢だ。 「利下げ」しないと株価は上がらない?|損切丸 (note.com) に対する配慮もあろう。

 そして公式にはコメント出来ないものの(裏)でかなり気になっているのは「中国」の異変だろう。米国の覇権政策上は "敵" ではあるが、度が過ぎれば "毒" は自分にも及ぶ。

 巨額の不良債権問題については 眠れる?「灰色のサイ」。 ー 予想外の中国「利下げ」が示唆すること。|損切丸 (note.com) 等で折に触れて書いてきたが、「バブル」崩壊後の日本同様「信用収縮」と「デフレ」圧力を生み出す。その動きは中国株の不調、国債金利の低下 ↑ 標題添付)という形で顕現化し、事実人民銀行は「金融緩和」に転換

 「中国」経済から恩恵を受けるBRICS等の国々にも悪影響は及びつつある。@5/23に@5.5% → @5.0%(▼0.5%)「利下げ」したベトナム中銀然り、CPIが急落して「利下げ」転換したブラジルもそう。「中国」に多額の輸出をしている独仏も景気が減退し、やはりCPIが低下しているスペイン、ギリシャ等も同じだ。トルコやロシアも様子がおかしい

 「中国」の異変は原油価格にも影を落としている。WTI(NY原油先物)は一時@67ドル台と安値を更新し不調が顕著。あれだけ*サウジアラビアを始めOPECで減産合意を繰り返しても下落が止まらない

 *一番困っているのは戦争中のロシア中印に原油を安く売って戦費を捻出していたが、両国の貯蔵タンクが一杯になる中再輸出を規制されては "懐" 具合は大分苦しいルピーに至ってはインドから売りを規制されている=インドから何かを輸入するしかない。南米、アフリカ諸国、パキスタン等売り先を開拓して「お金」集めに奔走しているようだが、所詮量は限られる。需要の先食いになってしまい、価格下落に歯止めがかからない。

 こういう "気持ち悪い現象" が出て来る中、ここからは 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) をどう判断するか。ただ「インフレ」が収まる保証はなく、最悪「スタグフレーション」(インフレと景気後退の同時進行)もある。その確率は20%を下回らないだろう。

 ちなみにリスクを取っているという意味では、実は日銀も大勝負に出ている。CPIが+4%もある中で「マイナス金利政策」「YCC」を継続するのはかなりの博打「ハイパーインフレ」にならないとたかをくくっているようだが、さてどう転ぶか。

 日経平均が@30,000円を超えたと思ったらあっという間に@33,000円超え。政治家は喜んでいるが「お金」の価値は益々減る一方「赤信号みんなで渡れば怖くない」日本人だけに動き出すといつも一方方向1,100兆円もの「預金」が大移動を始めれば「YCC」なんて代物は到底維持できなくなる。そう言う意味では今後JGB(日本国債)は要注意である。

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