「お金」は「中国」から「日本」へ? Ⅱ ー 「人」も国内回帰へ。
「お金」は「中国」から「日本」へ? ー 「円安」を利することができるか。|損切丸|note の続編(標題添付は日中不動産価格の推移)。
”複合機” とはいわゆる ”コピー機” のことだが、またぞろ中国が「無理」な要求をしてきている。「無理」といっても、向こうは「どうせ断れないだろう」という算段のようだが、ここは日本も正念場だ。
「分断」に向かう世界 Ⅲ。ー 金利から見る「ドルからちぎれた経済圏」。|損切丸|note で双方とも「敵国扱い」しているのだから、*かつてのような「協業」は無理。ここからは全て「奪い合い」になる。結局目先の「お金」に拘る陣営が全てを失うことになる。
大手メーカーの中には既にベトナム等に開発拠点を移した企業もあるようだが、問題は関係部品の工場が中国に多く残っていること。某電器メーカーの知り合いが「インフラ」という言い方をしていたが、10年以上に渡って築き上げてきた生産設備は簡単に ”捨てる” と言えないほど膨大。4~5年で交代する "サラリーマン社長" なら誰だって「減損処理」などしたがらない。こう言う所を「どうせ断れないだろう」と見透かされている訳だ。
「経済安全保障」を謳うなら①政府も本腰を入れて「お金」で支援するか②欧米と協力してパテント(特許)や特殊技術の「強制移転」を禁止するルール作りをする必要がある。そうでもしないと "サラリーマン社長" では動きが取れず、かつての「日の丸半導体」と同じ過ちを繰り返す事になる。
「失われた20年」は今や「30年」に延びつつあるが、失敗の本質は全て「目先の利益」に囚われてきたこと。これは民主主義の弱点でもあるが、国民の間に不満や不都合が生じると「選挙」を意識した政治家はとりあえずの「対処策」に奔走するしかなくなる。片や独裁専制国家は**一人の指導者が5年、10年先を見越して戦略を打ってくるため「長期戦略」上は有利。この30年、日中の差を劇的に生じさせたのはこの点だろう。
今の日本で分かり易い例が「エネルギー問題」。福島県民の筆者は「原発再稼働」には反対の立場(感情的なものではなくコストの問題)だが、これだけ電気料金が上がるとすぐ「原発」と言い出す人が増えて辟易とする。
2011年の事故以降、国も電力会社も一体何をやっていたのか。
原発の安全コストに係る費用があれば太陽光にしても供給の不安定化を補う蓄電池の開発は補えたはずだし、他の電源開発にも取り組めたはず。これを阻んだのは「原発村」であり、関連メーカー救済のための「既得権益」。「長期的視点」に欠けると言わざるをえない。
100歩譲って今の「電力危機」を乗り切るための「再稼働」を認めるにしても、3年なり5年なりの期限を区切って行うべき。そうしないとズルズルとなし崩しになり「原発村」の思う壺。最近の「電力警報」もただの脅しにしか聞こえない。これでは「失われた30年」が「40年」に延びるだけだ。
しかしこの国の交渉下手はどうにかならないものか。今回の複合機の件もサハリンのガス権益の件も「強奪するぞ!」と脅されてからカウンターアクションするだけ。これでは交渉優位に立てない。過剰に強気に出る必要は無いが、少なくとも「敵側」の前提を崩す努力は必要。例えば「中国にある設備の放棄」。これで初めて対等に渡り合える。ケツをまくられて困るのは向こうなのだから。ガス権益も同様。「攻撃は最大の防御」である。
思えばミサイルを撃たれてからの「敵基地攻撃能力」、急激な「円安」→「インフレ」→「金利上昇」が起きてからの「無制限国債買取オペ」等等、全てがカウンターアクションだ。事後対処だけでは「それでお終い」であり、将来の「ビジョン」を基にした "Forward Looking" な施策が無ければイノベーションや付加価値は生まれない。米中との差がこれだけ開いたのはこの点に尽きる。日本人そのものの素質が失われたわけではないが、何事も「人が死ななければ動かない警察」のような施策では発展は望めない。
幸か不幸か、今の「円安」は「人」を日本に戻すには絶好の環境。政府・日銀もそこまで判った上での「円安誘導」なら大したものだが、それは今後の政策展開を見ていればはっきりするだろう(正直、日銀にはあまり期待できない)。***「失われた雇用」を ”再輸入” できれば、自ずと ”お給料” は上がる。「安い日本」は大いに武器になるはずだ。
まずは半導体工場が国内誘致されているが、他の産業も続けるかどうか。マーケットの「リトマス試験紙」は日経平均になる。腰を据えて取り組めば@30,000円どころか@40,000円も狙える展開になるはず。教育や職業訓練強化で「人手不足」を克服できればポテンシャルは高い。あとは政府、経営者の ”腹” 次第である。今後「投資」する側も注意深く見ていくべきだろう。
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