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「利下げ」が先か「株安」が先か

 3月米小売売上高(年率)+4.0%  予想 ▼0.7%  前月 +2.1% ← +1.5%
 コア(除.自動車等) +1.1% 予想 +0.2% 前月 +0.6% ← +0.3%
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コアは昨年1月以来の大きな伸び

 予想を大きく上回った米小売売上高 ↑ をきっかけに米国債は急落。まあ物価が上がっているので名目値が上がるのは自然でもあるが、日本と違い ”買い控え” なんて起きない。いや、「インフレ」ならむしろ早く買わないと値段が上がってしまうので消費行動が活発になるお給料が上がっているから成せる技でもあり、これが「インフレスパイラル」の怖い所

 「利下げ」はやっと11月開始を織り込んでいるが、もはやその有無自体が問題となってきた

 NY市場開始時には買い戻しで始まった米株式市場も金利上昇で徐々に上値を切り下げ、引けには投げを誘発した。資産の2/3を現金に戻したというファンドのニュースも流れていたが、市場関係者の警戒感はかなり強い

 "Sell in May (and go away, don't come back until St Leger day)"
 *St Leger dayとは9月中旬の有名な競馬レースが行われる日

 これは有名な相場格言だが、アメリカでは5月で "税還付" が終了するのでそれが主因と考えられている。日本で言えば決算期(3月に集中)に係る "配当取り" のような現象。そういえば元・職場のボスも同じ様な事を言っていてポジションを変えたりしていた。当時は不思議に思っていたがこればマーケットのコンセンサス(同意事項)。知らないことは多い

 今の相場が「利下げ」≓「過剰流動性」頼みであることを端的に現すプライスアクションだが、投資家やファンドはビットコイン(BTC)やWTI(NY原油先物)の間で「お金」を動かすなど四苦八苦。やはり本家本元の「株」が思うように上がらないと厳しい。その辺りはFRBも重々承知しており難しい判断を迫られている

 「利下げ」が先か「株安」が先か

 「株価至上主義」のアメリカでは「株価」≓「景気」「物価」と言っても過言ではない。 ↑ の小売売上高も「株高」によって支えられている。だから「インフレ」抑制を目指すならある程度の「株安」が必要だが、その株価が「利下げ」頼みという一種のパラドックス(矛盾)に陥っている。おまけに今年は大統領選の年。株価を落とす訳にはいかない

 まさに 止まらない「過剰流動性」ゲーム - バローメーターはビットコイン|損切丸 (note.com) だが、株価を優先して「インフレ」抑制を後回しにすれば ”倍返し” が待つ。FRBが "金利のメッセージ" (Message in a Yield)|損切丸 (note.com) をどう受け取るか

 これは我が日銀にも同じ事が言える。差し詰め:

 「利上げ」が先か「円安」が先か

 ドル円の「キャリートレード」で1日▼2銭、1年で▼7円もの持値改善≓金利差益が見込めると解説したが、本気で「円安」を止めたければここに働きかけるしかない持値改善≓金利差益が1日▼1銭、1年で▼3円程度に縮小するだけで投資家やトレーダーの手は止まるFRBの「利下げ」が見通せない以上、日銀による「利上げ」しかない

 金融政策の発動は遅れるほどコストが嵩む。筆者の見立てでは日銀の「マイナス金利解除」は半年以上遅れており、ここでも日銀が「利上げ」を躊躇するとターミナルレート(政策金利の到達点)は上がる、e.g., @1.5%→@2~2.5%。もし財務官僚が真剣に財政危機を憂慮するなら「早く利上げしろ!」とハッパをかけるべき局面だが、定期的な "転勤" がその意志を阻む

 アメリカの「利下げ」≓ 日本の「減税」

 アメリカが「インフレ」を犠牲にして大統領選目当ての「利下げ」に走るのは "危ない" 、と書いたが、日本なら6月にあるかもしれない総選挙向けに安易に発動される「減税」が "危ない" 。どちらもポピュリズムの典型のような政策だが、これが無いとは言い切れない政治情勢だ

 そういう ”科学的合理性” に反した政策が何を呼び込むかはトルコやアルゼンチンが示している。日米は国力がある分デフォルトまではないが、 ”倍返し” は米国債のスティープニング(長短金利差が開く現象)や「円安」で還って来る。問題はそのツケが当の政治家ではなく一般庶民に回ってくる

  *ウクライナでもイスラエルで何であんな馬鹿げた「戦争」が起きるのか全く腑に落ちないが、結局は権力者が自らの地位を保つための政治的 "都合" "面子"「パンデミック」→「戦争」は歴史的必然でもあるが、こういう時に独裁者が跋扈する。国連等の国際機関も機能不全で何ともやり切れないが、どこもかしこも生活が苦しいことの現れなのだろう

 *ロシアが「戦争」に打って出た遠因が平均寿命67歳の国で「年金支給」を65歳に引き上げようとした事だと言われている。独裁者の観点からは人口が減った方がいい≓「戦争」という選択になったとしても不思議ではない。「少子高齢化」が進む日本も他人事ではなく、かつて70歳ぐらいで亡くなった親の面倒を+10~15年も延長する負荷は半端ではない

 人類学的に見れば「パンデミック」も「インフレ」も「戦争」も増えすぎた人間を減らそうとする自浄作用。そんな中我々生活民が生き残るには "変化を怖れない勇気" も必要。大袈裟でなく「投資」はその一部。もう政府は当てにならない。現状維持に閉じこもっているだけでは回避できないこともあり、個々の「覚悟」が試される

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