「輸出管理措置の見直し」- その後の市場展開。韓国経済破局シナリオ?

前稿で書いたが(あくまでも筆者の推定)、どうも市場はいわゆる「最悪のケース」も想定して動きだしているようである。今朝の目立った動き ↓

Samsung Electronics   44,500 KRW −1,150 (-2.52%)

LG Electronics           70,900 KRW −1,700 (-2.34%)

ドル/ウォン        1,175.94  ← 一時はドル安により1.150までウォン高

韓国総合株価指数          2,081.91  −28.68 (-1.36%)

日経平均株価      21,605.13 −141.25 (-0.65%)

まず個別に見て、ヘッジファンドなどが筆者と同じ見立てならば、サムソン、LG売りから入って、マイクロンテクノロジーなど米国の半導体関連株の買いというポジションの取り組みをしてくるだろう。東芝や台湾のTSMCも候補となりうるが、FRBによる利下げなどの方策をカードとして持っている米国株が最適であろう。

当然これらの韓国主要株が売られれば韓国総合株価指数にも下落圧力となり、政府が下値の目処として意識しているとされる2,000ポイントを巡る攻防が今後あるかもしれない。ドル/ウォンの為替レートしかり、トレーダーやファンドにとってこういった「危機シナリオ」は最大の儲けどころであるから、そちらに突っ走る可能性がある。特に今の韓国政府はこの辺よくわかっていないようであるから、民主党政権の時にドル円が80円割れになったときのような事態に陥るかもしれない。

メディアや政界の一部に、これはあくまで日本の選挙対策であるから、選挙後に元へ戻る、といったような「楽観論」もあるが、筆者の見立てが正しければそうはならないだろう。アメリカに工場拡張や買収で1兆円とか2,500億円とかお金を出させておいて、後戻りは出来ないはず。中国や欧州も巻き込んでいるならなおさらである。

さて、問題は日本。半導体材料や完成品の輸出入先の確保が出来ているのは良いが、韓国が経済的に破綻、といった状況になると話は別。政府や経済産業省もそこまでは望んでいないだろうから、ある程度の所での軟着陸を考えているのであろうが、果たしてうまくいくだろうか。2008年10月から始まったの韓国通貨危機では、2009年2月20日に1ドル=1.5000を突破する極端なウォン安が進むに至り、結局日本が韓国に通貨スワップでドル供給を行い支援する羽目になった。

半導体だけで済んでいるうちはよいが、さすがに韓国経済破綻となれば日本への経済的打撃もただごとではなくなるため放っておくことはできまい。(一部のネット民は「破綻」を声高に叫んでいるようだが.. )ただ今回危機になった場合でも、2009年のように日本が韓国を単独で救済するのは政治的に困難な状況が予想され、1997年のIMF案件のようになる可能性が高い。

筆者はシナリオに「最悪のケース」(=与党の参院選惨敗)を設定していたが、このケースも追加する必要が出てきた。この場合、「日経ロング+ドル円ショート」のいわゆる「ドル建日経ロングポジション」は一旦解消して様子見ですね。市場の状況次第だが、日経を20,000円割れ(あるいはもっと下か?)で拾い直すような戦略に変更する必要がある。

思わぬ大相場になるかも。こういうのを何回も見てきた損切丸としては、ちょっと背筋がぞっとしている。リスクは一旦縮小かな。とか言ってる間にドル/ウォンは1.1790台(←1.1750)。少しぐらい損しても相場はまたやり直せます。やばい、と思ったら気楽に「損切り」(当然利益確定もあり)。

昨今大雨警報や津波警報が出て「自分は関係ないと思わず避難して下さい」「なるべく高いところへ移動して下さい」というようなコメントが気象庁から出されることがあるが、あれとマーケットにおける損切りはよく似ている。結果何もなくても「何にもなかったね」と後で笑って言えることが大事。くれぐれもあの時ああすれば良かった、と後悔しませんように。

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