「機械的買い相場」 vs 「人間的売り相場」Ⅱ - FRBによる利下げ幅を巡って金利も右往左往。
NYダウは1週間で▼4,000ドル強下げた後なので、まあこのくらいの反発(+1,293.96)は予想できたが、主な理由はFRBによる利下げ観測。「機械的買い相場」の発動だ。話は少しくどくなるかもしれないが、この局面、「マーケットの迷子」になるのを防ぐため少し細かく追ってみたい。
これに伴って米国債市場も乱高下。昨日(3/2)の東京市場で急伸、金利が▼-0.50%利下げ確定の水準まで買い進まれたと思ったら、NY時間には株価の反発等により買われる前の水準まで戻してしまった。
いったい何をやっているんだか...。利下げ観測 → 金利低下 → 株価上昇 → 米債下落(→ 株価下落?)これではまるで「シーソーゲーム」(2.19稿)↓だ。でも実際は空は飛べないので、どちらかが地面に墜落することになる。
ヨーロッパも相変わらず酷い相場付きだ。イタリア、ギリシャなどの国債を売る動きは続いており、*CDSも急上昇している。反対にドイツ国債などの買いは止まらず、実質金利のマイナス幅は更に拡大。「褒め殺し相場」が続いており、違った意味で「危険信号」を発し続けている。
*CDSマーケットも通貨オプション同様、売り手口=相場が動かない方に賭けて手数料だけ貰ってしまおうという手法、が蔓延していたはず。何しろ時間が経過すればまるまる手数料が貰えるのだから「おいしい取引」だ。実際には今回のような相場の急変動が起きると「損切りの買い戻し」に迫られ大怪我を負う。マーケットの歴史の教訓でもある。
テクニカルでいうとNYダウの戻しはフィボナッチでいう「3分の1戻し」(38.2%?)といったところか。半値まで戻らないと弱気相場終了ということにはならないらしい。ここで筆者が着目しているのが「プログラム書換」の可能性だ。
AIやアルゴでは2018~2019年の「学習効果」から「株が売られたら買い」のプログラムが稼働していたのは間違いない。今回のNYダウ+1,200ドルの反発もその類いかもしれない。ただ、今回の戻しが弱く、再度株価が下げた時どう「学習」するか。
相場には基本「売り」か「買い」しかない。ただ局面によって「売り」から入るか「買い」から入るかで損益には雲泥の差が出る。例えば売り相場に転じているのに「買→売→買→売...」を繰り返せば「損切り」の嵐だ。逆なら大儲け。基本、トレードはそれだけといっても過言ではない。
ではAIやアルゴはどうか。コンピューター言語は「0」か「1」の選択の集積、と聞いたことがあるが、「売り」「買い」をこれに当てはめればピタリ当てはまる。きちんと「学習」して売り相場を認識できれば、プログラムが「株は買われたら売り」に転換することもあるのではないか。
「Buy the Rumour、Sell the Fact」(噂で買って事実で売れ)
有名な相場の格言である。おそらくポイントは実際にFRBが利下げした後の株式市場の動向だろう。利下げは火事の延焼は防げても既に燃えている家屋の火まで消すことはできない。デフォルト(破産、倒産)そのものには無力だ。次回FOMCは3月17~18日なので、遅くともそれまでにマーケットは答えをだすだろう。この2週間は要注目である。
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