東京都写真美術館で、やっと自分の嗜好がわかった
目黒で打ち合わせがあったので、隣の恵比寿にある東京都写真美術館へ行った。実は初めて。今日の展示は3つ、写真誕生期と11人の写真家の作品を並べた『建築×写真』、新進作家5人による『小さいながらもたしかなこと』、活動45年を迎えた『マイケル・ケンナ写真展』。
最近は背景をぼかして撮るふわふわ写真が流行っているけれど、建築とマイケル・ケンナの写真のほとんどはモノクロで、全画面でピントが合っているものだった。特に建築物の全体にピントが合うと、ものの質感まできっちり写し込まれる。
今にも崩れそうなレンガの積み上がりだったり、一見きれいな曲面を描く鉄板も実は表面がザラザラだったり、木目や石の表面が美しく揃っていたり。何十年も前の物体が、今ここで平面ながら残っている。
そうか、手触りの感覚までわかりそうな、細かく緻密な表現が好きなんだな。何十枚も見ているうちに「これ好き」「これそうでもない」「これ好き」という蓄積ができる。自分の「好き」の共通点はかっちりとピントが合っているところだった。
軍艦島や桂離宮、伊勢神宮を撮ったものは、光と線の構図が計算されているのが素人でもわかる。このアングルで撮りたかったし、このアングルでしか撮りたくなかったんだろうな。画面の刻み方も写真家ごとに好みが分かれるところ。
マイケル・ケンナの作品も構図がきっちりしている。余計なものは写っていない。珍しく写真撮影OKというフロアで、いろんなところからスマホのシャッター音が響いていた。
自分も写真を撮るときは無理にボケを狙ったりしないで、結構絞って全体をきっちり写すほうが気持ち良いのかもしれない。ボケが入ったほうが「工夫した写真ぽい」雰囲気になるのはたしか。でも、雰囲気に流されない撮り方を心がけてみよう。
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