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1997年か1998年の12/29コミケレポを見つけた

コミケの話題を見ながら「そういえば昔、友達に連れられて行ったアレはコミケでは?」「何か書いて残してた気がするぞ」と昔のデータを探したところ、ありました。

1997年末か1998年末のどちらかだと思うのですが、明記していません。タイトルには「12/29」とあるので日付は確定です。

でも約20年前、25歳前後の自分目線と経験が残っていたのは面白い。コミケ超初心者、お上りさん状態。中を知る人はまた違うところに興味が出るかもしれない。ということでnoteに出すことにしました。

まだ松本在住で、同僚に連れられて日帰りで参加したようです。広告営業の2年目か3年目、将来書く仕事をするとはつゆほども思っていない頃。当時、HTMLを手打ちして開設していたホームページに載せたものです。

どこからこんなに人が?

松本発の高速バスに乗ったのが朝の6時半。揺られ揺られて新宿西口に着いたのが9時半。出勤する風な人たちもちらほら歩いている。空腹を癒すため立ち食いそば屋に寄ったあと、会場である東京ビックサイト直通のバスが出ている東京駅に。

警備員のおじさんたちが「コミックの方はこちらでーす」と叫びながら誘導している。バスは何台も並んでいて自分らが乗ったバスには15の番号が付いていた。並んでいるときにバスの横でおじの一人が青いざるを持っている。何だろうと思ったら料金を入れるためだったのね。「二百円でーす、準備してくださーい」と言ってからバス待ちの列の横をざるを持ってすたすた歩く。乗る人はおじが掲げている青ざるの中に二百円を入れていく。おじはただ通り過ぎるだけなのに、チャリーンチャリーンとリズム良く二百円がざるに収まっていくので面白い。都バスも稼ぐなあ。

ぎゅうぎゅうのバスに乗ったまま会場へ。カーブのとき後ろの方を見たら同じバスが何台も何台も続いている。豊洲駅から出ているバスも途中横をすり抜けていった。そいつはフロントにある番号が51。少なくとも51台は動いている。会場はどうなってるんだ。

橋をいくつも越えて東京湾沿いを走っている頃、連れのy氏が自分をつついて後ろを指さした。すぐ後ろは東京ビックサイトの東側で、その時点ですでに1000人くらいの頭が建物に向かって並んでいる。あまりの人の多さに笑ってしまった。「東京湾見たし、帰るか」と半ば本気で思った。これから自分はどうなるんだ?

建物を通り過ぎて開けた北駐車場に到着。さっき驚いた人並みはほんの一部で、大部分がまだ北駐車場で待機中。人、人、人。何てたとえればいいんだろうなあ、3つくらいの小学校が一斉に全校朝礼をやったくらいかなあ。それよりも意気込みが全然違うのだけれど。5人1列の人が80メートル位の長さでびっしり並んでいる。このカタマリが6つくらいある。ある程度の人数がまとまると列を切って、新しいカタマリを作る。この整理をしているのはピンクの腕章を付けたスタッフの方々。カタマリの後ろに工事中に使う赤い三角の置物をおいて紙を貼る。自分らの横のカタマリには「58列目」とあったので、このカタマリがそれまでに50個くらいは会場に吸い込まれている。あまりに会場が広いのでスタッフは自転車で移動していました。

指示通り座って待つこと10分ほど。思ったより早く入場。誘導されるまま300メートルくらい先の会場までカタマリごとにだらだらと動く。整理されて入場するとはいえ、お昼の時点じゃ入った人はほとんどまだ中にいる。ビックサイトの会場内も通路も、びっしりという表現が一番合うくらい人が詰まっている。もうお目当ての本を買って座って読んでいる人が壁の花状態になっている。入った途端、人しか見えない。どこに行っていいのやら。

コスプレの皆さま

てっきり出展する人がコスプレをやるのだと思っていたら、ただ本を買いに来ただけの人でもコスプレ状態でうろうろしている。もちろん普通の格好の人たちが8割方。本当は写真を撮ったりもしようと思ったのだけれど、あまりの人込みで身動きできないのと、あまりにもいろんな所にコスプレの人がいるので誰かをピックアップできるような状況になかったのもあって、断念しました。

寒いのにレオタード系の薄手の衣装の人もいる。みんな楽しんでる。構内放送で「3時半に更衣室を閉めます」というのが流れていたので、みんな衣装を持ってきているんだな。更衣室を使わない人はトイレで着替えてその辺で念入りにメイクを施している。

キャラクターを模したものが確かにたくさん。でもオリジナルを知らないと誰のコスプレなのか良く分からない。分かる範囲ではピカチュウとピンクハウス(コスプレじゃないけど)が多かった。

コミケ本の買い方

目的もないままうろうろする。出展者同士が知り合いというケースもたくさんあるようで、どうも馴れた感じの人が出展の机のそばに多い気がした。それは本当に気のせいで、コミケは全国から一見さんが集まってくるイベント。

人が集まっているところはどさくさに紛れて本を見たり出来るけれど、少ないところは近づくのに勇気が要った。でも出展する人もデパートの売り子さんのように手取り足取り案内するわけではなく、本人たちも他から購入したコミケ本に没頭していたりしてあまり商売熱心という感じでもない。

時間が経つにつれてだんだん雰囲気に染まってくる。ブース間を行ったり来たりして好きな絵柄を見つけたら、実物を手にとってぱらぱらと見てみる。これで中身の絵柄がしっかりしているか(表紙はきれいだけど中身はそんなでもないことがある)、どんな内容なのか(コミックだと思ったら小説が主だったりする)、確かめたあとにお財布を出す。

会場の一角には宅配コーナーがある。キャリーカートの貸出もしている。これで宅配から段ボールを買って、それを乗せたカートを引きながらブース間を行脚している人がたくさんいる。常連はわざわざ貸出を利用する前に自分でカートを持参している。旅行用のスーツケースを引いている人も珍しくない。みんな買い込んでいる様子。確かに気に入った絵柄のサークルの本はなるべく全部揃えたい気持ちになるかも。

コミケの醍醐味「やおい」

ニュースなんかでコミケの映像は見たことがあるし、そこでどんなものを売っているのかも聞いたことはある。でも本当に普通の女の子が普通に「やおい」本を売っているのだなあ。通りが全部この手のサークルだったりする。

いやに「ヒコブン」という言葉を聞くと思ったら、これはジャンプに連載中の「封神演義」の登場人物、飛虎(ひこ)と聞仲(ぶんちゅう)のこと。「飛虎×聞仲」と書いてあったらこの二人のカラミネタということ(もちろん二人とも男性)。

いろんな対談で「○○×△△」と表記することがあるので、てっきり作者の名前を掛け合わせているのかと思ったら違った。知っているキャラの名前が掛け合わさっていて初めて気が付いた。みんなこれを頼りに好きなキャラクターものを探すんだな。ちなみにさっきの言葉は「この通りはみんなヒコブンだからねー」というように使うらしい。

他にもエグいものはたくさんある。おそらくはロリータ系のネタでいっているコミケ本があってちょっと好奇心が湧いたのだけれど、いかにも!という感じのお兄さんが3人、机の前にがん、がん、がんと座っていて手が出ませんでした。精進が足りないや。

終わってみて

日帰りの高速バスで戻ってきました。ある程度予想していた通り、「そんな感じの人たち」がたくさんいました。そういうのは一種の偏見になってしまうのかなあとも思ったし、一人一人と話をすればそれぞれにいい人だと思うのだけれど、やっぱり何か一つのもので括れてしまうような気がする。それが良いか悪いかは全然別で。悪い、ってことはないか。とりあえず眼鏡よりもコンタクトの方がいいのかもな、とぼんやり思いました。眼鏡ってその雰囲気を作りやすい。

y氏は事前に1400円の会場パンフ、といっても厚さが2センチくらいあるちょっとした電話帳並みのものを準備。注意書きが細かくかかれていて、スタッフの「無事に終わらせるぞ」感がとても伝わってくる内容。実際のスタッフもきびきび動いている。

都バスの警備のおじさんや、車を降りたあとの整理係、会場の出入口をチェックしているスタッフ(きっと一日これで仕事が終わる)、会場で案内するスタッフ、その他参加者からは見えないところで動いているスタッフを足しただけでもきっと何百人、ひょっとしたら1000人を越えているかもしれない。

イベントは29日と30日。これを事故なしで来年につなげるってのはえらいことだな。それこそ参加者は何万人、何十万人。でも参加者を含めてみんな好きでこのイベントをやっているのが分かる。機会があったらまた行ってみよう。

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