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サウナ感想文①-南青山 清水湯-

『思い出補正』

それは、過去を美化し、その経験の嫌だったところ、気分を悪くしたものなどを忘却してしまうことをいう。さながら写真の補正のように、暗く写った箇所を明るくし、綺麗に写った箇所はより煌びやかに見えるよう処理を施す。

数年前に一度だけ訪れた憧れの観光地...
たくさんの思い出が詰まった母校の校舎...

だけど、あれ?久しぶりに見たらなんか違う。なんか感動が薄れちゃったなあ。...なんて思いをしたことが誰にでも一回はあるはずだ。しかし、それは決して悪いことばかりではない。確かに落胆を感じるのはちょっと残念なことかもしれない。でも、本当に嫌だった部分を忘却し、良いところだけ覚えていて、そしてハッピーなまま人生を終えられるとしたら、それは幸せなことではないか?

誰が言っていたか忘れたが、「忘れることができる」は人間の持つ結構イカした能力らしい。そんなイカした能力が備わったイカした人間である私はこう思った。

「思い出補正だけで日記書いたらおもろそう」

『南青山 清水湯』へ

というわけで本題。
1ヶ月前、お初サウナに行きました。ハロー『南青山 清水湯』♨︎

充実のリラックスが欲しくなったので。脳みそが叫んでいたのさ。
「頼む!遠赤外線で俺たちのミトコンドリアを震わせてくれよ!!」
ってね。

※実際に入ったのはロッキーサウナではなくコンフォートサウナだったため、遠赤外線が発せられていたかは不明

定時の19時を迎えた瞬間弾丸のようにオフィスを飛び出した私こと弾丸は、電車を乗り継いで約20分ほどで青山に着弾。夜の青山は思いのほか人通りも少なく、その静けさはまるで、固唾を飲んで王の帰還を待つ群衆の静かな興奮を思わせた。帰還したことないから知らんけど。

弾丸兼王である私はひとまず最寄りのセブンイレブンでどら焼きを購入。お腹が空いていたが、かといって満腹状態でサウナ⇄水風呂を繰り返すのは吐く未来しか見えなかった。和菓子ならいい感じに血糖値が上がって、立ちくらみとかを回避できるらしいですよ。どうでもいいけど、どら焼きを食べるときはいつもドラえもんの気分になる。

血糖値の上昇を感じながら歩き、路地を入ったところでついに弾丸兼王兼ドラえもんは今宵の ”安楽の地” にたどり着いた。

鍵がピックみたいになっている。
根がオタクなので乃木坂46を意識し、46番を選択。

受付を済ませ、意気揚々と入場。脱衣場は広くもなく狭くもなくといった感じ。その場には2,3人くらいしかいなくて、「これ結構空いてて快適なんじゃない?」と興奮する。この時点で私の精神状態は4度目の変態を遂げ、晴れてバズ・ライトイヤーとなった。

「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」

無限の彼方は、真っ白な世界だった。湯気が立ち込めた洗い場には静かな音楽が流れ、視界の先で微かに人影が揺れる。なんだ、極楽じゃん、とか思いながら身を清める。ちなみにシャンプーもリンスも設置してないので、初めて行く人は気をつけてね。私はシャンプーで全身を洗いました。

パーフェクト・綺麗・ボディになったら、まずは湯船でしっかり体を温める。乳白色のお湯がなんかいい感じだった。”乳白色”とか”ミルク色”ってなんか無条件に美味しそうに感じる。

温まったら、体の水分を拭き取っていざサ室へ。

室内では男性が1人、しわくちゃの本を持って礼拝の体勢を取っていた。実に敬虔である。私は無宗教なのでシンプルに背筋を伸ばして瞑想に入る。何℃だったのか覚えていないが、めちゃくちゃ暑かった。5分と経たないうちに全身を玉汗が転がり始める。心拍数も上がってきたところで退室。敬虔マンはいまだに礼拝を行なっていた。強者である。

熱いシャワーで全身の熱を保ちつつ、汗を流す。はやる気持ちを抑えながら水風呂に体を浸すと、一気に全身の熱が奪われる。いや、それは奪われるというより”捧げる”に近かった。私は全身の熱を水風呂へ、サウナを司る神へと捧げた。すると、恩寵に包まれた私の体の中心部から、感謝が溢れ出してきた。

人は生かされている

気がつくと、私は休憩スペースの白い椅子に腰掛けていた。ふと、先ほどの感謝の意味について考える。それは、おそらく人間の本質だった。

ここに至る道中、私のエゴは膨れ上がっていた。自分は弾丸だ、王だ、ドラえもんだ、バズ・ライトイヤーだと思い込み、その心地よい幻想に身を委ねていた。しかし、それは本当の自分などではなかった。偽りの鎧は過酷な環境において何の防御効果も持たない。それらはすっかり取り去られてしまったが、それでも私は生きていた。いや、生かされていた。

”人間は、生かされている”

これが感謝の意味であり、人間の本質的な姿なのだと気づいた時、私の目の前にある高濃度炭酸泉&シルク風呂に身を浸していたおじさんがこちらに微笑みかけた気がした。あなたが神…….?

信仰の旅は続く

その後、3セットの礼拝(そう、先ほどの敬虔マンは私の先を行く存在だった)を終えた私は無事にブッととのったのであった。

ステッカー(150円)買っちまいました

平日夜のサウナは時間帯と土地柄によって雰囲気、及び心地よさが変わるような気がしている。例えば錦糸町の黄金湯は住宅街に位置していることもあり、高校生か大学生かわからんガキンチョが連れ立って来店しているので少しやかましい。清水湯も21:00を過ぎたあたりから若干騒がしくなってきた感があったので、夜の早い段階で行くのが◎かもしれない。

思い出補正どころかフィクションも混じってるけど、清水湯がとてもよかったのはガチ!また行きます!

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