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道具滞在記Vol.02【愛知県名古屋市/陶芸作家 熊澤 文太さんの器】

【道具滞在記とは】「作家物の生活道具たちの短期滞在をきっかけにして「くらしを豊かにできるか」の実験をしようと思う。」という個人的な企画です。

今回は、名古屋市内に工房を持つ陶芸家 熊澤 文太さんを取材しました。
熊澤さんの器の多くには、躍動感ある魚の絵付けがされています。
魚の絵付けを始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

「陶芸を学んだ学校が絵付けに力を入れていて、同級生は、絵の上手な人ばかり、自分は何で勝負できるだろうかと考えていた時に魚を描こう!と思いつきました。
子供の頃から釣りが好きで馴染みがあったのと、周りに自分がよいと思える魚の絵付けの器が無かった。それから自分で釣った魚を観察して描きはじめました。」(熊澤さん)

工房の棚に並ぶ様々な作品(写真)

作風によってガス窯と電気窯に分けて焼成、写真は、ガス窯

今は、縄目文様を生かした作陶にも力を入れているそう。
「子供の粘土教室で講師をしていた時にワークショップを行ったことがあるのですが、その一つに色々な質感を粘土に写すというものがありました。
子供達が楽しんでくれたのと同時に僕自身も楽しかったんです。
改めて粘土の特性を考えた時に模様を写すことで、質感も伝わる気がして、
それが面白くて、それから縄文土器の資料を見たりして、色々な文様を考えるようになりました。」(熊澤さん)

無国籍な感じが良い。(写真 手前:片口 奥:香炉)
縄文土器と安南(ベトナム)の器のイメージを自分の中に取り入れて作陶したシリーズ
手前の片口の口は、急須の口作りになっている。
見た目の楽しさだけでなく機能的。湯切りが最高にいい!と評判

自身の工房で定期的に開催する陶芸教室では、時折お茶を振る舞うそう。
「展覧会にいらっしゃったお客さんの紹介で茶道の裏千家を習い始めました。
抹茶碗や菓子器などの茶道具を作陶することがあるのですが、実際お茶の教室に道具を持って行って皆さんの意見を聞いて次に繋げるようにしています。」(熊澤さん)

陶芸教室でのお茶は、改まったものではなく気軽に楽しんでもらえるものにしている。

棚にまとめられた茶道具(写真)


【熊澤 文太さんの酒器滞在記】

熊澤さんは、お酒好きとの事で徳利や酒杯の作品も多くあり、お酒が美味しくなる口作りを心かけて作陶されています。
私自身(筆者)、酒の席で梅酒やカルーアミルクを頼むようなお酒の楽しみ方を知らない人間なのですが、燗付けして日本酒を楽しもうとのことで、熊澤さんの酒器(縄文徳利、酒杯)と魚型の豆皿が我が家に短期滞在することとなりました。

(熊澤さんよりおすすめの燗の楽しみ方)
・燗付けは純米酒が良い
・沸騰したお湯に入れて燗付け
・湯せんした方が美味しく感じる
・オススメの酒の肴は、“ホタルイカの沖漬け”

今回の短期滞在の酒器達。徳利の形は、粘土を叩いて変形させ作っている。
粘土の柔らかさが感じられて面白い。

日本酒慣れしていないので、酒の肴は重要。
左から日本酒 七ツ梅(燗付けに適しているそう)、ドライマンゴー(冒険おつまみとして)、Ca Va?(サヴァ缶 サバのオリーブオイル漬け 山形県のアカオニデザインさんのパッケージに惹かれて購入)、酒かすクリームチーズ、ホタルイカの沖漬け(熊澤さんのオススメ)

撮影があった為日中に燗付けした日本酒を頂きました。
日のある内にお酒を頂く背徳感。

おすすめされたホタルイカの沖漬けはとても日本酒に合いました!
酒かすクリームチーズも合う。
日本酒を飲み慣れていないので、私の感想は「こういう感じなのね~」なのですが
酒飲みの父が美味しいと言っていたので、お酒好きにもオススメできそうです。

【今後の活動】
自分の工房での陶芸教室を行いながら、定期開催しているグループ展で展示販売を予定。詳しくは、熊澤さんのInstagramをご確認下さい。

熊澤 文太 くまざわ ぶんた (陶芸家)
愛知県立芸術大学 陶芸コース卒業
Instagram: https://www.instagram.com/buntakumazawa/

岡松 愛子 おかまつ あいこ (写真家)
道具滞在記の取材、文章、写真を担当
建築写真を中心に撮影
HP: http://okamatsuaiko.com