コーエン兄弟バートンフィンク26a

コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖26「アナグラム」

さて、今回は「ロス市警の刑事」のシーンからだね。

前回を未読の方はコチラ!

第25回「あんたらマンハッタンに何しはったん?」

あのシーンは、めっちゃ不吉な予感をさせるシーンやったな。

この日の朝リプニックが発した「ユダヤ人への侮辱発言」と、直前に露見した「LAでの出来事=聖書の内容」という衝撃的事実が、バートンの精神不安に拍車をかけたんだ。

だから新しい「妄想キャラ」として、あの「二人のロス市警刑事」が登場したというわけだね。

やっぱり刑事もバートンの妄想キャラか。

もちろん。

だって二人の名前が完全にジョークなんだもんね。

片方の刑事は「Deutsch(ドイチェ)」っちゅう名前やったな。

つまり「ドイツ刑事」や(笑)

別にそれはジョークでも何でもない。普通によくある苗字だ。

え!?そうなの!?

天才コーエン兄弟が、わざわざそんなギャグにもならないようなことをすると思う?

ドイツ系だから「ドイチェさん」なんて面白くも何ともない。秋田出身の秋田さんとか、香川出身の香川さんみたいなもんだよ。

それに、もし単純にドイツ系だから「ドイチェ刑事」だとしたら、相棒のイタリア系の刑事も「イタリアーノ刑事」にするはずだよね?

「Italiano」っていう苗字も、よくある苗字だから。

でもコーエン兄弟は、イタリア系の刑事の名前を「Mastrionotti(マストリオノッティ)」とした。

わざわざイタリア風に聞こえる「造語」をこしらえて…

あれ、造語だったの!?

なんのために!?

おそらく理由は2つある。

まず1つが…

<続きはコチラ!>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?