コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖26「アナグラム」
さて、今回は「ロス市警の刑事」のシーンからだね。
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あのシーンは、めっちゃ不吉な予感をさせるシーンやったな。
この日の朝リプニックが発した「ユダヤ人への侮辱発言」と、直前に露見した「LAでの出来事=聖書の内容」という衝撃的事実が、バートンの精神不安に拍車をかけたんだ。
だから新しい「妄想キャラ」として、あの「二人のロス市警刑事」が登場したというわけだね。
やっぱり刑事もバートンの妄想キャラか。
もちろん。
だって二人の名前が完全にジョークなんだもんね。
片方の刑事は「Deutsch(ドイチェ)」っちゅう名前やったな。
つまり「ドイツ刑事」や(笑)
別にそれはジョークでも何でもない。普通によくある苗字だ。
え!?そうなの!?
天才コーエン兄弟が、わざわざそんなギャグにもならないようなことをすると思う?
ドイツ系だから「ドイチェさん」なんて面白くも何ともない。秋田出身の秋田さんとか、香川出身の香川さんみたいなもんだよ。
それに、もし単純にドイツ系だから「ドイチェ刑事」だとしたら、相棒のイタリア系の刑事も「イタリアーノ刑事」にするはずだよね?
「Italiano」っていう苗字も、よくある苗字だから。
でもコーエン兄弟は、イタリア系の刑事の名前を「Mastrionotti(マストリオノッティ)」とした。
わざわざイタリア風に聞こえる「造語」をこしらえて…
あれ、造語だったの!?
なんのために!?
おそらく理由は2つある。
まず1つが…
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