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【縦書きの電子書籍】Web記事との違い、表記のルールをまとめてみたよ

こんにちは。主婦でライターの岡田清代です。
先日、執筆をお手伝いした電子書籍が無事出版されました!  

Web記事やブログはバンバン書いているのに、書籍の原稿となると迷ってしまうことってありませんか。そもそも横書きが縦書きになるだけで大きな変化。気にもとめなかった箇所が気になってきます。わかりやすいところでは、あれ、数字って縦書きではどう表記するの? とかね。

自分の本ならいざ知らず、人サマの書籍。しっかりとルールを確認し「信頼のおける本」にしなくては……。
ところがネットでは、ズバッと答えてほしい部分までは辿りつけません。そこで、20年以上書籍(紙媒体)の校正をしている大先輩に厚かましく頼みこみ、レクチャーしていただきました。

本noteには私が迷ったことやネットで見つけにくかった情報をまとめておこうと思います。恥をしのんで、失敗談も投入。電子書籍に挑戦するあなたのモヤモヤが晴れますように!

※注:ルールと慣例の区分けは私がしました。(先輩に本noteのチェックまでお願いする厚かましさはありませんでした)。あくまで私の受けとった感覚ですので、もしかすると「慣例」と「ルール」が混在しているかもしれません。ご了承ください。

出版業界の基本ルール5つ

①改段(段落をかえる)したら、必ず字下げ
書籍と Web 記事で大きく異なるのは、字下げと改行です。

まずは、字下げについて。
字下げとは、行の頭にスペースを入れ空白にすること。段落をわかりやすく区別し、読みやすくするためのものです。
ところがこちらは、Web記事ではあまりみかけないですよね。段落を区切るときは、字下げをせず一行分スペースをあけることが多いように思います。横書きで字下げがあると、かえって読みにくく感じる方もいるのではないでしょうか。

恥ずかしい告白をしますが、実は私、一冊目の自著では字下げをしませんでした。「Web媒体の書籍だから、そちらの方が読者さんも慣れているのでは」という自己判断から。けれども、これは出版の大原則だったんですね(汗)。字下げのない自著を今みかえすと、かなり違和感があります。とくに縦書きの電子書籍では、字下げするだけで「しっかりした書籍」感がでるように思います。

次は改行と改段落について。
web記事では改行を頻繁にいれますが、紙媒体で改行するのは段落を変えるときのみ。そして段落の頭を字下げします。つまり、改行する場合は必ず字下げが必要になります。

余談ですが、私の文章をみて真っ先に先輩が指摘したのは、「行をあけすぎ」ということでした。こちらもWebライティングの影響ですね。紙の書籍では「よほどのこと」がないと1行あけはしないそうです。
とはいえ電子書籍はWebで読むものです。ある程度カタマリがあった方が読みやすいかなと考え、今回は紙媒体の読みものよりは多く、Web記事よりは少ない分量で1行あけを入れてみました。

ここまで読んで「あたり前のことを長々と書きやがる」と思われた方、申し訳ありません。個人的にはずっとモヤモヤしていたあれこれが整理されたので。
次からは述べる②〜⑤については、比較的耳に入ってきやすい情報です。サクッとまとめていきましょう。

②特定商品名(商標登録されている名称)は避ける。
商標登録されている固有名詞は使用しないのが原則(ただし、あえて固有名詞をつかい臨場感を出すケースもあるとのこと)。商標が浸透し混合されやすい代表的な商品名をあげてみますね。

 例)・宅急便→宅配便
   ・万歩計→歩数計
   ・タッパー→保存容器
   ・ピアニカ→鍵盤ハーモニカ
   ・タバスコ→ペッパーソース
   ・ワンカップ→カップ酒

③表記は統一する
同じ語句に対し、表記が異なっていることを「表記のゆれ」といいます。書籍の中で表記がゆれないように統一します。書きながら、ゆれそうだなと思う語句がでてきたら都度メモをとり、執筆時に傍らにおいておくと便利です。表記のゆれには、主に以下のようなパターンがあります。頭ではわかっていても、ゆれがちです(汗)。ご参考までに。

※送り仮名
 例:引っ越し/引越し
 
※英語とカタカナ
 例:好感度UP/好感度アップ

※漢字とひらがな
 例:言う/いう 

※漢字
 例:製作と制作
先日書いた書籍では聴くを「聴く」と表現し、「聞く」は「きく」に統一しました。

※算用数字と漢数字
 例:1番と一番
先日書いた書籍には数字が多く、こちらについては頭を悩ませられました。
悩んだ末に算用数字と漢数字を混在させ、使用法をわけています。
『記者ハンドブック』にならうのが楽かもしれません。

※全角・半角
 例:1番と1番

※記号
 例: "" と“”


④句読点は文頭に置かない
 例:
  ✕ 忍耐力、チャレンジ力、自ら考える力
    、問題解決力。

  〇 忍耐力、チャレンジ力、自ら考える力、
    問題解決力。

⑤英単語は文頭と文末に分離させない

出版業界10の慣例


①3点リーダー…やダーシ(ダッシュ)―はダブルで使う
  例:このように……。
※行末と行頭に分かれるのはNG
※ダーシの入力方法は「ダッシュ」で変換
 
②「!」「?」のあとは全角スペースをいれる
  例:知っていました? コレ。
※Web記事の場合はスペースを半角にした方が読みやすいのでは、という主張もある模様。
※ただし、?のあとに」がくる場合はスペース不要。
  例:✕「こういうことでしょうか? 」
    〇「こういうことでしょうか?」

③縦書きの算用数字は2ケタまでは1文字として表記。3ケタ以上はタテに1文字ずつ
※よって、2ケタは半角、他は全角に(フォントによる)

④「」と『』の使いわけ
※「」は話し言葉や強調したい語句に使用。
※『』⇒作品のタイトルや「」内で上記を表現する際に使用。

⑤改段の頭に「がくる場合は半角下げにする
※Web媒体ではスペースをいれずに普通に入力するとそのようにみえる。
※紙媒体の場合は、印刷会社さんがやってくれる。
※段落をかえない箇所で、偶然「が行の頭にきた際は天ツキ(半角あげ横の文章と頭をソロエル)にする。

⑥引用の書きだしは引用元にならう
※引用箇所が字下げされてたら、字下げする。文章や段落の途中で字下げがなかった場合は頭から書きだす。
※引用部の前後は1行あけるとよい。(引用部の前後のスペースは同じにする)。

⑦引用文が離れている際は(中略)を使う
※引用文どうしが近ければ、…………(中略)…………
※引用文どうしが離れていたら
  …………
  (中略)
  …………
※章をまたいで離れている場合は、囲みを分けるのもあり。

⑧表紙制作などご協力いただいた方を載せる場合【STAFF】とし敬称はとる
※【STAFF】などの表現は自由。あくまで巻末に小さくそっと(笑)。

⑨アルファベットの表記については業界としてのルールはない
※出版社によりルールが決まっている場合あり。
※例えば、小文字混在の場合はヨコ書きで、大文字のみならタテ書きにするなどルールにするとよい。

⑩文末が()でおわる場合は()の後に句点をうつ
  例) 
  ✕ これは出版の大原則だったんですね(汗)
  〇 これは出版の大原則だったんですね(汗)。
※ただ(笑)や(汗)などの使用はおすすめしない。少なくとも多用はしない方がよい。

  ✕ 商標登録されている固有名詞は使用しないのが原則。(ただし、あえて固有名詞をつかい臨場感を出すケースもあるとのこと。)
  〇 商標登録されている固有名詞は使用しないのが原則(ただし、あえて固有名詞をつかい臨場感を出すケースもあるとのこと)。
※()内の内容がその前の文章の内容を補っている際は、その前の文章の「。」を最後にまとめてつけるイメージ。


ルールを理解し、自信をもって電子書籍を書こう!

以上、出版業界の基本ルール5つと10の慣例でした!
書籍とWeb記事との違いなど、少しクリアになったのではないでしょうか。

先輩とのやりとりで気づいたのは、「はっきりしたルールはないけれど、○○することが多いよ」という回答が多かったということ。要は「読み手にとってわかりやすい」ことが大切なのだろうなあと感じました。その上で、校正のプロとして「書籍の体裁が整っている」かは気になるようでした。ですから、裏を返せば「何をもって『体裁が整う』とされるのか」さえ押さえておけばよいのだという結論にいたりました。

電子書籍の執筆には、迷いや苦しみがつきものです。毎回反省点はありますが、執筆~出版、プロモーションを通して得る学びは他に変えられないものがあります。また、今回は執筆代行でしたので、お客さまの歩みや情熱を共有させていただくすばらしい経験もできました。
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