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【Kindle監修】ロイヤリティを正しく理解していますか?

こんにちは。ライターの岡田清代です。
Kindle監修を通して学んだことを、少しずつまとめています。

いざ、出版! というときに迷うのが、70%と35%のロイヤリティオプション。各ロイヤリティは、どのように算出されるのでしょう。また、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。

あなたが本を監修するとしたら、著者さんにしっかり説明できますか。

このnoteでは、「印税の出し方は2種類ではなく、実は3種類なんですよ」ということを中心に、押さえておきたいポイントを書きます。ロイヤリティについて、ふわっと理解しただけで自著を出した、過去の自分へ。

正しく理解するだけで、各ロイヤリティのメリット&デメリットは自ずとクリアになります。あまり見かけない情報も書いてあるので、ぜひ参考にしてださいね! 

◆参考:KDPヘルプページ
電子書籍のロイヤリティ オプション: https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210
KDP セレクト: 
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200798990




ロイヤリティは「2種類」だけど、印税の計算方法は「3種類」

まずは、大前提。Kindle本のロイヤリティは、70%と35%の2種類です。

〈70%のロイヤリティ〉
・価格:250円~1,250円
・KDPセレクトに登録必須
 (読み放題の対象・KDPのみで販売可)

〈35%のロイヤリティ〉
・価格:99円~20,000円
・KDPセレクトの登録は任意
・KDPセレクトに登録しなければ、Kindle以外でも販売が可能

2つの違いを押さえた上で、印税の計算方法が3種類あることを理解しましょう。
なぜ3種類になるかというと、「Kindle Unlimited」で購入された場合と、普通に購入された場合では、印税の計算方法が変わるからです。

【ロイヤリティ別 印税の計算方法】
※35%のロイヤリティは、「B.KDPセレクトに登録した場合」と「C.登録しなかった場合」があるので、分けて考えましょう。

印税の計算方法は3種類。
◎70%のロイヤリティ
◎30%のロイヤリティ
◎KDPセレクト基金の分配 ※Kindle Unlimited(読み放題)で購入された場合

ここで押さえておきたいポイントは3つ。

①読み放題で購入された場合、ロイヤリティの%は関係ない

①KDPセレクトに登録した書籍の多くは、「読み放題」で購入されます。この場合、ロイヤリティが70%だろうが35%だろうが関係はなく、KDPセレクトグローバル基金の分配金が支払われます。この分配金は、「読まれたページ数」をベースに算出されます。

〈KDPセレクトグローバル基金の分配金〉の算出法 
その月のKDP セレクト グローバル基金の金額 × 登録された作品のはじめて読まれた既読ページ数 ÷ Kindle Unlimitedで読まれたすべての本の既読ページ数
◎KDP セレクト グローバル基金の金額=毎月変動する原資

読み放題ではなく、普通に購入された場合のみ、自分の選んだロイヤリティレートが適応されます。

〈70%のロイヤリティ〉の算出法
(希望小売価格- 適用される付加価値税等 -配信コスト)×70% 

〈35%のロイヤリティ〉の算出法
(希望小売価格 - 適用される付加価値税等 - 配信コスト)×35% 

②KDPセレクトグローバル基金の分配金の算出には、「はじめて」読まれたページ数だけがカウントされる

あまり知られていませんが、KDPセレクトグローバル基金の分配時に、”既読ページ”としてカウントされるのは、「はじめて読まれたページ」だけ。同じ読者さんがくり返し読んでくれたとしても、分配金には反映されません。

③35%のロイヤリティを選んでも、KDPセレクトに登録できる

せっかくKDPセレクトに入るのだから、35%のロイヤリティを選んでもうま味がないと思いますよね。ですが、たとえば以下のような場合には、このプランを使います。
◎価格を1,250円以上に設定したいけれど、読み放題対象には入りたい
◎出版時キャンペーンなどで、一時的に価格を250円未満にしたい

各ロイヤリティのメリット・デメリット

先ほどご覧いただいた表の下に、「小売り価格の要件」を加えてみましょう。

表を参考に、各ロイヤリティのメリット・デメリットをまとめます。
※B(35%でKDPに登録する)のプランは、レアケースなので割愛。

◆70%のロイヤリティ(読み放題対象)のメリット

70%のロイヤリティのメリットは、無名の著者でも多くの方に読んでもらえること。読み放題対象者に、お試しで手にとってもらえるからです。多く読まれればKindleのサイト内で露出が増え(ランキングなど)、新たな読者を獲得する機会も増えます。また、間口を広げるための施策として、無料キャンペーンも用意されています。

◆35%のロイヤリティ(読み対象なし)のメリット

35%のロイヤリティのメリットは、読まれたページ数に左右されず、本が売れれば印税が入ることです。70%に比べれば低い印税率ですが、小売価格を高く設定でき、KDP以外の市場でも販売できます。

ですから、著名な作家さんや有名人以外でも、「SNSのインフルエンサー」「メルマガやLINE公式の運用者」など集客の仕組みや熱烈なファンをお持ちの方は、35%を選んだ方がよい場合もありそうです。

著者さんに「どちらのロイヤリティがいい?」と聞かれたら

以上をふまえ、監修を依頼してくれた著者さんには、どのロイヤリティをおすすめしたらよいのでしょう。現時点での私の考えをシェアします。
あくまで私見なので、参考程度にとらえてくださいね。

<著者さんが著名でない場合>

◆著者さんが集客の仕組みを持っていない(持っていても弱い)場合
⇒70%のロイヤリティをおすすめ。
 ※正確には「KDPセレクトの登録」をおすすめ。

◆著者さんが、強い集客の仕組みを持っている場合
(メルマガやLINEの登録者が多く、ファンが多い場合)
⇒出版の目的に配慮して検討。

・目的が「集客」の場合(例えば、講座の申し込みを増やすetc.)
⇒70%のロイヤリティ(というかKDPセレクトの登録)をおすすめ。
 ※正確には「KDPセレクトの登録」をおすすめ。

・目的が「印税」の場合

①出版時は70%のロイヤリティ(読み放題対象)で拡販。
(もし小売価格をあげたい場合は35%のロイヤリティで読み放題対象にしてレビューを増やす)

ここからは、著者さんとご相談。35%のロイヤリティを選んだことがないので正直やってみないとわからないことをお伝えしつつ、
②数カ月して勢いが落ちついたころ、試験的に35%のロイヤリティプランに変更し、双方の印税を比べてみる(のも、ひとつの手)。

<著者さんが著名な方の場合>

⇒35%のロイヤリティ。
正直、著名な方から監修を依頼される想像がつきませんが、様々な市場で販売できる点、小売価格をあげられる点から、こちらをおすすめする気がします。

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以上となります。
読んでくださり、ありがとうございました。

Kindle監修から得た学びを、ときどき書いています。
よろしければ、こちらもどうぞ。



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