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2022年J2第28節東京ヴェルディ-横浜FC「アキの訪れ」

味の素スタジアムから出てきて追い越したヴェルディサポーターはこう口にしていた。「来年人はいるのかなぁ。理仁は出た、次は誰だ?森田か?馬場か?瑞希と凌我はいないでしょう。来年の編成次第だなぁ」と既に来年に目が向いていた。現在11位の東京ヴェルディは自動昇格圏とは勝ち点差が18離れプレーオフ圏内までも8の差がある。 残り試合15試合と考えると自動昇格はほぼ絶望、プレーオフ圏内も確実とは言えないラインにいる。コンコースの階段を降りると昼の暑さとは打って変わって涼しい風が吹いていた。秋の始まりを感じさせた。

さて味の素スタジアムから帰路につく。向かうのは飛田給の駅ではなく、中央自動車道の高架下のそばにある「クリスマス亭」。味の素スタジアムから徒歩10分程。ここのオムライスが美味いのなんの。来年もまた来たいなぁ。その時の対戦相手のユニフォームの色は青赤がいいのだけど。食後は調布の銭湯「鶴の湯」で湯船に浸かる。ここはサウナが無料で電気風呂もあるのがいい。サウナで試合を振り返っていた。整えていたのは身体と文章だったのかもしれない。

夏休み

千葉戦から東京V戦までのインターバルの間に、横浜はトップチームは5選手が新型コロナに感染。週末のゲームに出場するのは難しくなってしまった。前節までほぼスタメンだったブローダーセン、控えGKだった六反の名前がメンバー表から消えている。キャプテンの長谷川の名前もない。GKは市川と2種登録の西方が名前を連ねた。西方は日本クラブユースサッカー選手権もある中で緊急帯同か。誰が新型コロナに感染したのか特定することはしないが、深刻な症状がなければ神様が告げた夏休みと割り切って考えるのも選手にもサポーターにとっても重要だ。その分、これまでスタメンを張っていたメンバーがいないと不安がないと言えば嘘になるが、不安があるというのは出場している選手へのリスペクトに欠ける。

監督が交代してから上昇ムードにある東京Vとの対戦で何人も選手が離脱するのは苦しいはずだったが、東京Vは前線からの圧は連動性に乏しくチームとしての戦術にはめられたケースは少なかった。相手のビルドアップで左右のサイドは中々タフな戦いを迎えたが、亀川がバスケス・バイロンを止め、中村拓が前半は杉本を後半は苦労しつつも新井を抑えた事で中央への決定的なボールを遮断できた。決定的なピンチはなかったと言ってよい。

黄金色

風はあるが蒸し暑い味の素スタジアムは消耗戦に。東京Vの新井が入ってからの後半は横浜はずっと押されっぱなし。右サイドを蹂躙され振り回されるが、最後の精度を欠き横浜は難を逃れる。こうした展開で同点にされたのが徳島戦や金沢戦だった。その二の轍を踏むか踏まないか。

この日最大のピンチ、後半26分新井がカットインして放ったシュートをGK市川が渾身のセーブで右手一本ではじき出した。ホーム三ツ沢の新潟戦で、ブローダーセンが当時新潟に所属していた本間の同じような距離と位置からの巻いたミドルシュートをセーブしたのがオーバーラップした。ブローダーセンが乗り移っていたようだった。
この日、苦手のキックも無難にまとめピンチらしいピンチを招いたり、ミスで相手にボールを渡してしまうことも少なかった。第3GKというと不安に思うサポーターもいると思うが、昨年はJ1もルヴァンカップも経験し、J2でゴールマウスを守るのが初めてなのが驚きなほど。売りであるセービングで魅せた。ドイツ東京五輪代表ブローダーセン、元日本代表六反との競争は熾烈で中々割って入ることは出来ていないが、そこで腐らず心も身体も準備をすれば良い結果がついてくることを証明した。市川ここにありを見せつけた。

この試合GKのユニフォームは黄金色。黄金色は秋の季語。アキの季語か。立秋は2週間後。少しばかり早いアキの訪れとなった。

克弥サマ~

長谷川の欠場でキャプテンマークを巻いた岩武。耐え続けた後半26分、コーナーキックのボールがファーサイドに流れたところをヘディングで押し込んで横浜が待望の先制点を挙げた。その昔、「セナ様♪」のCMがあったがこれはまだまだ暑さ忘れぬ「克弥サマー」だ。まだまだ俺たちの夏は続くんだぞと言わんばかりのゴールだった。
GKマテウスがプレーを妨害されたともいわれるが、あのボールがニアなら前にいたゼインが邪魔したと言えるが、ファーなら目測誤って前に出たがボールが伸びたのでバンザイしてしまっただけである。前半もガブリエウがコーナーキックにクロスバー直撃のヘディングを放った時も転んでいた。ハイボールの処理に弱点があったのかもしれない。
東京Vは失点してから新加入の染野をいれたが大きなインパクトはなく横浜は助かった。横浜もハイネルに代わって高橋をいれてロングボールを跳ね返しては前線に大きく蹴りだして時間の浪費を狙った。
東京Vの選手たちは勝てた試合と試合後口にしたが果たしてそうだろうか。後半はボールを持って仕掛けることも多かったが、それは新井がいたからこそ。新井以外の選手はチャンスでも枠に飛ばせないまま空砲を放ち続けた。シュート数でも横浜を下回っていて、それで勝てた試合とは自分には中々合点のいかないコメントだった。

暑中お見舞い申し上げます

アディショナルタイムは6分。6分もどこで時間を消費したっけ、と腕時計を見る回数だけが増えていく。勝利の女神に会いたくて時計をさかさにまわしてしまう。今年の夏は心もはずむ。
苦しい時でも選手が入れ替わっても同等にチームの戦いを遂行できている。苦戦を強いられた昨夏とは違う。リーグが異なるからと言えばそうだが、同じ時期に降格した他のチームが苦戦を強いられているのを見ていると、不思議な不思議な夏だ。
タイムアップ6分経過。好調だった東京Vは夏の暑さにやられてしまったのか。横浜は0-1の勝利。前節の様な派手な圧勝劇ではなかったが、コロナ禍で選手を同じ週に5人も欠く中で代わりに出場した選手が結果を残せばチームとしても盛り上がる。

この節では新潟、そして仙台が破れており勝利したことで新潟には勝ち点3、仙台には勝ち点6の差をつけた。それでも残り14試合、得失点差を考えると2連敗で3位以下に脱落する可能性のあるジリジリした戦い。シーズンも2/3が終了。残り14試合の時点で首位に立っている。程よい緊張感を感じつつこれから実りの秋に入っていく。順位表を大きくかき乱す台風の襲来を避けられますように。黄金色のメダルを手にできますように。


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