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⑦終わりと再会

Bさんは私を大事にしてくれた。

優しいし、楽しいし、一緒にいるのは心地よかった。

しかし、BさんとSEXするのは大丈夫だったが
キスが本当に駄目だった。

いつもはなんとかやり過ごしていたが

ある時、咄嗟にBさんに口を手で塞いでしまった。


それがきっかけで気持ちは崩れ始め


Bさんとはあっけなく終わった。





好きになってくれてると思っていたけど
拒絶されるくらい嫌な人と一緒に居ても辛いだけだよ。


とBさんから言われて、私たちは別れた。

優しいBさんを、利用して
傷つけてしまっただけだった。



その後3~4年は、紹介された人と遊んだり
合コンで知り合った人と遊んだり
どれも付き合うわけではなく、
ただ遊んで、気が向いたらSEXする関係で
誰とも長くは続かなかった。


Aさんのことも徐々に思い出さなくなり
転職したり、引っ越したり、毎日、なんとなく過ごしていた。





そんなある日、
また私を狂わせる相手と出会った。



正確には、“再会”した。


とあるイベント会場で、私の補助についてくれたCさん。

私の名前を聞いて、驚きながらこう言ってきた。


「澪ちゃん、俺のこと覚えてる?Cだよ、昔近所に住んでた!」


覚えている。

私の姉の同級生のお兄さんだ。

私が小学生まで住んでいたところは
住宅街の近くに公園があって、当時近所の子供たちはみんなそこで遊んでいた。

その公園に行けば、必ず誰かいて
学年や性別関係なしに皆で楽しく遊んだ。

年上の子たちがとても面倒見がよく
いつも遊んでくれた。

その中の1人、Cくん。

当時と変わっていない、困ったような笑顔
声は低くなっていたが、優しい口調も変わらない。

7つも離れているから、一緒に遊んだ時期は少ないけど、兄弟で運動神経がよくて、運動会ではいつもヒーローで、よく覚えていた。

『Cくん、久しぶり、よく覚えていたね』

「だって澪ちゃん全然変わってないもん」

そこからは暫く昔話に花が咲いた。

その時はただ純粋に懐かしい幼馴染に会えて嬉しかった。

でも、この後にあんな思いをするくらいだったら

楽しかった思い出が、辛い思い出になるくらいなら。

再会なんてしたくはなかった。




つづく

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