見出し画像

Cioran-ish aphorisms Ⅱ

1.確かに、言葉にしなければ伝わらないが、形容されたものは、そうでない場合よりも醜さを増す。今このことを言葉にしたのも、とても無粋な行いだ。ただし、黙ったところで何があるというのか。その恐怖からでしか、私は言葉を紡げない。

2.世界と私の折り合いが付かないからといって、何故私が引き下がってやらねばならないのか。そんな義理はどこにもない。貴様が私を排斥するように、私も貴様を排斥する権利がある。世界からリタイアするくらいなら、考えうる限りの全てに復讐してやる。その方が、何倍もマシだ。

3.メランコリア。魂が黒い液体に浸され、一切の生気が穢される。ああ!内なる黒液が、ペンの先にまで満たされてくれるなら!

4.静かな空間に、人の息遣いは無粋である。静かな場所に居続けると、誰もが窒息してしまうことが、それを証明している。

5.不安。大事な感情だ。一切の隣人を引き裂かんと爪を研ぐとき、精神の磨り減る音によって、私の心は慰められる。そしてまたしばらく爪を噛み、布団に潜り込む。

6.風がそよぐだけで、全てが救われる日がある。何かが在るだけで、全てを恨む日がある。

7.問題を大げさにすることだ。それだけで人は一夜限りの哲学者になれる。

8.玄関に鏡を置いた。身だしなみを整えるためではない。来客を追い返すためである。

9.語らせてはならない。その言葉以上に。その言葉以下に。ただし、留めてもならない。その思考を。その違和感を。

10.近頃私は、人々を属性としか認識できない。トイレの人型のような「属性」が、無数に蠢いている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?