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選んだことは全て正解 夜間救急病院でもらった言葉

今この話を書くことはとても勇気がいる。今も辛そうにしているからだ。明日、どうなるかわからない。どうかどうか良くなってほしいと願いながら書き始める。


我が家に11歳の熟女が住んでいる。名前はチェリー。シーズー犬。ご縁があって3年前に我が家にやってきた。しかも持病の宝石箱を抱えて。

今私が覚えているだけで、アトピー性皮膚炎、腎臓結石、尿道結石、膀胱結石、水腎症、胆泥。治療食や通院費用、お薬代で、何人の諭吉様に別れを告げたのだろう。怖すぎるから数えない。

日頃元気に過ごしているが、時折持病が悪さをする。今日もそうだ。朝からぐったりしている。ご飯も食べない。しかもこの子が調子を崩すのは決まって火曜日。かかりつけの動物病院の休診日だ。

かかりつけでない近くの動物病院で、とりあえず経過を話し痛み止めの処置をしてもらう。帰宅後はご飯も少し食べて活気が出てきた。ホッとしたのも束の間。夜になってまた辛そうにし始めた。

様子を見ながらもだんだん痛みが出てきたようだ。この状態で一晩過ごすのは辛いだろう。近くに夜間救急の動物病院がないか、スマホで検索し始める。

実はかかりつけ医からは「夜間救急はここへ」と勧められている病院がある。しかし遠いのだ。家から高速を使って40分かかる。しかも今日は強い雨が降っている。なんとか近くで見てくださる病院はないものか。

しばらく検索すると、救急当番をしている先生が見つかった。しかも車で10分ほどの距離。今まで何度もその病院の前を通っている。すぐに家を出て病院へ向かった。


診察室でチェリーの長い長い病歴を話した。でも今望むことは「辛い状態を少しでも楽にしてもらうこと」先生も「応急の処置しかできないから、明日かかりつけの先生のところに行ってね」と、解熱鎮痛剤を注射をしてくださった。


帰り際、先生と少し話をした。


本当は手術を勧められている。腎臓・尿管・膀胱の結石をとるべきだけど、高齢だからせめて膀胱だけでもと勧められている。だけど私と夫が選んだのは、手術をしないこと。経済的な負担も大きい。それよりもチェリーの体への負担も大きい。だからこのまま、だましだましやっていこうと。

だけどそんな決断は、今日みたいな日が来るとやはり後悔しそうになる。やっぱり手術をするべきだったのかと。こんなふうに結石が悪さをする。もしかすると命に関わるかもしれない。



そんな話をすると、先生はこう言ってくださった。

「そんなふうに腹を括っておられるなら、どんな道を選んでも正解ですよ」

張り詰めてきた気持ちがふと緩む。ついでに涙腺も。



本当にありがたかったのだ。だって、日頃はいつも違う先生にお世話になっている。なのに、こんな夜遅くに初めましての患者の治療をしてくださる。ありがたいという言葉しかない。そして温かい言葉までいただいた。


私は最近こんな記事を書いた。

どの選択をしても、正解を作っていくしかない。そんなことを書いている。

しかし実際はこのザマだ。やっぱりこの選択は間違いだったのか、そんなふうに思い悩む。


だけど、私のそんな気持ちを、包んでくださった先生。夜間救急で診療してくださった上に、患者家族の気持ちにも寄り添ってくださる。本当にありがたかった。


そして「投げ出さずによくしてあげてますね。アトピーも結石も長く付き合わないといけない病気ですから。僕なら逃げ出してるかも」と笑って話される。

その言葉にも涙が出る。定期的な通院、こまめなシャンプー、ご飯と薬の管理、散歩もそうだ。もう一度子育て期をしているみたい。なかなか手間も気も時間も使う。でも塗り薬はよく忘れるし、シャンプーだってなかなかしてあげられない。そんな状態でも、よくしてあげられてるんだと気づかせていただいた。



こうしてソファに座ってPCを開けてる横で、チェリーは寝ている。少ししんどそうだけど、眠れているようだ。

明日もかかりつけの病院に連れていかなきゃ。

本当はチェリーが元気になった時点でこの記事を書くべきなんだと思う。だけど、夜間救急の先生がくださった言葉がとてもありがたく、不安な気持ちを温めてくださった。だから書かずにはいられなかった。


本当にありがとうございます。


そして、私も医療人の端くれ。医療事務として忘れてはいけないことを思い出させていただいた。医療事務は医療を提供することはできない。医師や看護師その他専門職が医療を提供する。医療事務が提供できるのは「安心感」病院に入って最初と最後に言葉を交わす。私は医療事務がその病院の印象を左右すると言っても過言ではないと思ってる。

今日出会った先生のように、不安な気持ちこられた患者さんに、安心して温かい気持ちでもらえるような仕事をしよう。そう思う。


どうかどうか、チェリーが元気になりますように。







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